児童ポルノ禁止法改正
リンク: 児童ポルノ禁止法改正にMIAUが声明、真に児童を守るための施策を -INTERNET Watch.
法律のコンセプトというか大元の考えには賛同するのだが、どうも実際の法文やらを見ると問題の多い法律というのは存在するようで、この件もどうもそのようだ。
私が過去取り上げたりと懸念に感じている輸入CD規制やPSE問題と同じだ。
まず違和感を感じたのが児童ポルノと称しながら年齢の区切りが18歳をであること。
いうまでもなく日本では親の承認があれば16歳で結婚が可能である。
また、成年論議で18歳を成年と定義しようという論さえある。
義務教育卒業は13歳程度であり、逆に言えば正社員就職可能となり社会に出るのがその年齢である。
(実際に中卒で就職可能かどうかは別問題。法的構成を論じているので)
ちなみにG8で単純所持を禁止していないロシアでは13歳で結婚が可能だそうだ。
おそらく整合がとりづらいということもあるのだろう。
区切りの18歳という点であまり論議されていないのが不思議に感じる。
ところでG8の他の国では何歳なのだろうか。
18歳なんてことはほとんどないというオチだとずっこけるのだが。
さて、この論議で宮沢りえ「サンタフェ」でたそうで、あれは17歳となる。
親や当人が承認し(理由は報じられたのでいうまでもないが、生活に困窮して、ではないわけだ)撮影した物に対して、児童ポルノ法での保護が論じられるというのはどうみてもおかしい。
もちろん出版社が別に強行でもなく発売し、社会(一般人や政府・法曹界も含む)も最低でも黙認している。
つまり17歳程度なら本人にも十分が理解し、自立的精神を持って承認したと社会的にも思われているわけだ。
さらに問題と思うのは国会の質疑でこの件がとりあげられ、その答弁で「問題があると思われるのなら処分すべき」などという極めて曖昧でいい加減、無責任な発言がかえってきた(と報じられている)ことにある。
これがもう可決しようかという法案を論じている状態なのかと疑問に思う。
恣意的(いい加減)な法律を通そうとしているという何よりもの証左ではないのか。
「当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置」を求めている(引用の引用になるが)事業者責任において、他のメディアと比較して異なる点があることの認識が必要だ。
電話や郵便、小包便などでも“児童ポルノに係る情報”の流通は可能だが当然ながら今回の法案についても従来法においてもこのような措置は求められていない。
しかしネット業者において求められるとすればそれは整合性を持たない。
要するにメールでの送受信などに及ぶとしたらおかしい、ということだ。
もちろん、もうひとつの形はある。ホームページやブログ等の開示・陳列を行うサービスをするということだ。
こちらのことをさしているのならまだ分かる。
しかしこれは「送信を防止する」という意味が広いのでいささか違和感を感じる。
公開事前から検閲の類が行われるのか、もしくは公開の停止を求めたら直ちに応じることを指すのか。
私自身目に余るポルノについて(宗教を絡めているのでさらにたちが悪い)プロバイダに自粛を求めたことがある。大手であるからなおさら品格が必要だと思ったからだ。しかし拒否されたが。
単純所持についても、メールボックスにあればアウトとかいろんな話があるそうでよくわからない。
もしそうならひどい話だ。
メアドを複数持っている人も多かろう。
あるメアドはほとんど使っていなく放置状態で一ヶ月に一度掃除するだけ。
そんな人も別にも珍しくもないだろう。
しかし、もし他国からそのメアドにメールで児童ポルノ物が送られてきたとする。
それでアウトだ。まあ数時間ならともかく何日も放置していれば「所持」とみなされかねない。それとも未開封(そのアドレスへのアクセス記録がない)ならセーフなのだろうか。
いや、依頼をして送ってもらったという嫌疑があれば所持になりかねない。
写真はともかくアドレスでもアウトという話があるわけでそうすれば極めて厳しい。
一瞥したけれども自動削除にまかせたのでは、所持とされかねない。
また、自動的にやばいアドレス(ドメインをはじく)というのは、昨今の短縮URLサービスを使われたら不可能だ。
なんにせよ、またいい加減な法律のおかげで不安を感じる羽目になったわけだ。
「自分は児童ポルノなんかまったく無縁だから大丈夫」などと考えているのは大きな間違いである。
メアドを持っていて、いわゆるスパム、特にポルノや援交の類のメールがこなかった、ひとなどいないと思う。
それに児童ポルノが紛れ込み、それに気づかなかった、開いて特に気にも留めずそのままにしてしまった、たったそれだけのことでも所持とみなされ有罪扱いされかねないのである。
他にもつっこみどころがあるのだが、長くなるのでこの辺で止めておこう。
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