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2025/06/14

ニンテンドースイッチ2 保証書の話

ニンテンドースイッチ2に保証書がない、というのが色々と憶測が飛んでいるようだ。

転売ヤー対策、ともいわれるが、まあそういう側面はあるのだろう。
ともあれ「メーカー保証」に関して話をしてみたいと思う。

そもそもメーカー無料保証とは何か。

購入してから1年以内に故障した場合は無料で保証します、ということだ。
一般的に1年が多いのは、1年以内の故障というのはそもそも普通なら起きないことだというのが前提。
起きてしまうのは比較的メーカー側の問題、製造不良や設計不良、または運搬時の問題によって起きることが多いという統計的な背景がある。
修理には当然費用がかかるわけだが、それはメーカー側が負担しましょう、という話なのだ。(場合によっては販売店舗側の問題もあるが、それも不良解析の結果によっては店舗側に費用請求が行く、注意喚起が行く場合もある)

そのため、その故障したものに関しては良品(新品)との交換となる場合も多い。これはお客さんの要求だったり喜ばれるのでそうする場合も多いのだが、なによりも故障した状態でメーカー側が不良品を確保できるので、故障解析する方としてはありがたい。(大きいものでは基盤だけ交換もあるがそれも同じ話)

本当は工場出荷後から1年と言いたいところなのだが、倉庫やお店で滞留することは多いし、やっぱり使用してから問題が起きるものなので、お客さんが購入後1年という、お客さんの納得感や業界的な慣習も含めてそうしているのだろう。

では保証書とは何か。

最初は単独の書面に、販売店が自身の店の名前や販売した日付などをハンコや記入をして発行していたのが最初の話だった。
それが取説への綴じ込み印刷になったり、箱への印刷になったりとどんどん簡略化していった。

個人販売店であれば普通に出来ていた”保証書発行”だったが、大型量販店や通販の拡がりによってこの手間を惜しむようになってきた。
保証書+レシートでもオッケーという店は大型量販店では普通ではなかろうか。
大型量販店では「うちに持ち込んでくれれば対応しますよ」的に責任を持つとして、自分のところのレシートがあればオッケーみたいなお店もでてくるわけだ。
さらにその店の会員になっていればいつ販売したかも分かるので、万一故障したらその時レシート再発行する扱いでできるので、レシートすら要らないという対応もある。(もちろんレシート持参の方が話が早いのだが)

通販サイトでも製品についてくる保証書はそれはそれとして、領収書発行しますので修理の際には申請してくださいというところも多い。
通販サイトだと修理は直接メーカー任せになるが、当然この運用で受けてくれることはメーカーにも了承を取っているのだろう。

こういう運用も含めてどんどん形骸化している。
「保証書」という紙に何の意味があるの?という話になってくるのは当然の話だ。

意味があるとすれば「無償保証の対象範囲を明確化している」ということだろう。
殆どのお客様はきちんと常識をわきまえている。一方でこれも「誰も読むわけないだろ」とか「そうはいっても・・・」とかいう形で形骸化する、ごねる客はいつの時代もいるわけで、少なくとも任天堂としては保証書で明確化しようとしまいと大差ないという結論に至ったのだろう。

そうなれば形骸化した保証書など廃止しても、その使用者がいつ、どこで買ったかが分かれば良い。

私の感覚でも値をつり上げる転売ヤー憎しという観点は抜きにしても、一般店舗より個人販売されたほうがやっかいだ。
個人販売者はなにより製品知識が乏しく、扱いも雑であることが多い(ちゃんと委託を受けている形のアマゾン配送ですら、といえば分かる人は分かるだろう)。今回の事例のニンテンドースイッチなら、もし炎天下の自動車の中に数十分でも放置されたら故障・不良率が爆上がりになるのは容易に想像が出来る。そんなものを「初期不良」とかで持ち込まれたら、メーカーとしたら「ふざけんな」です。(当然ながら解析、いや画面を見ただけで「高温で長らく放置された形跡」というのは分かるものなのです)

そもそも保証対象者は購入者たる転売ヤーであって、それを転売で買った人ではない、というのもポイントである。

転売、譲渡などは通常何年も使って飽きたから売る、であれば保証関係は過去の話なので問題は起きなかった。
やっかいなのはこういう素人同士による未使用品の売買だ。もちろん面識ないもの同士であれば、盗品絡みの疑いも発生する。

身バレするのが嫌だから転売ヤーは領収書を渡したがらないという論点もあるが、仮に領収書をもらえたとしても、そもそも領収書の(転売ヤーの)氏名住所と、修理依頼者(つまり転売品購入者)の氏名住所が異なる場合、メーカー側は怪しむのがごく自然。
形式的に考えれば購入者が盗品を修理に出したという疑惑もゼロではないと疑えてしまう。当然そんなものに関わりたくはない。
それに当たり前だがこれらの情報は修理履歴、品質管理の情報の1つとしてしっかりと社内データベースに蓄えられる。
これは当然昔から顧客満足度向上のためにやっていることなのです。

仮に疑われて「友人(家族)から買った・・・」などと口走らせようものなら「ならそのご友人から修理に出してもらおうよう頼んでみてください」と言われるのがオチである。

レシートを捨ててしまう人?

既に述べたようにレシート重視の傾向は別に今始まったことでもないので、店頭で購入した場合、まともな店なら「保証書代わりなので1年はレシートを保管してくださいね」と言われるはずである。これはあなたを思ってではなく、店側が楽をするため。

言われない場合もあると思うが、それはポイント目当てであなたが提示した会員証で売買記録とあなたが紐付けれられたから。なにかあったら容易にトレースできるという前提に立っていると考えることができる。(修理受付時に会員証が必要)

会員でもなくレシートもないというのであれば「本当にあんたはこの店で買ったの?」と疑われるだけの話である。

別に修理してもらえないわけではない

当たり前だが無償修理が受けられないだけであって修理は受けてもらえるだろう。
修理してもらえないのは改造品を含め異常な使い方をした類ぐらいである。
もう新品買えるじゃ無いかくらいの修理費用になるかもしれないが、修理はしてもらえる。

問題は仮に初期製造不良等のメーカー側の問題による不良だったとしても、あなたがその修理費用を負担することに納得するかどうかだけの話である。

転売ヤーとの売買は法的問題は無い、というのも事実かもしれないが、購入者本人以外からの初期不良対応をしないのも、法的問題は無い。

なお、電源を入れてとりあえずちゃんと動いている、よかった、では終わらない。数ヶ月後に故障・不良が顕在化する可能性も当然ある。

どんなに完璧に製造しても万が一というのは起こるもので、完璧な出荷検査をしているつもりでも、すり抜けて不良品はでるものだ。
出荷した時点では問題なくても、製造過程のちょっとした問題(ネジの締め不十分)を起因として運送中に不良になることだってありえる。

1万分の1程度の市場不良率なら十分と言えるぐらいの話だ。
ましてやスイッチ2はかなりの先進的、チャレンジングな試みをしている機器であり、小型の精密機器である。
いかにトップレベルと言える任天堂をもってしても、もっと不良率が高くてもなんら不思議ではない。
しかも毎日使う、さらに扱いが雑な子供が使うようなら故障率、不良化率はどうしても上がる。

だからこその修理保証なのである。その万一に当たらない自信がある、当たっても痛くない財力があるのなら転売品に手を出しても構わないと思う。

購入時レシートがなければ無償修理しませんよ、という宣言は、別に任天堂は損をせず、むしろ転売で買った人間が損をするような方向で施策し、それを明言化しただけの話である。

普通の購入より大損する可能性があっても求めるのなら、それはそれで仕方のないことで、それを社会正義とかで叩くのはおかしいと私は単純に考えています。

実際その数は大したものでは無いわけだし。

私自身もすでに順番待ちの中にいてそのうち呼ばれるだろうと思って安穏としている一人なわけです。まあ、急いで欲しいわけでもないし、それより積みゲーをクリアしていく方が先だよな、今呼ばれてもそれはそれで困るよな、もし呼ばれても気分によっては先を譲るかなと思っているわけです。ローンチが弱いというのも私のような層の心理をわざと誘っているのでしょうな。そっちの方が英断だわ、と思ったりします。

同時発売タイトルを用意する、クリスマス商戦狙って爆売りをするというのは長らく習慣化していたわけですが、それをあえてやめたほうが凄い話です。
そもそもそれはスタートダッシュで勝つという意味不明な市場競争から出ているわけですが、競争相手がいないし、初期は生産が追いつかないという事実があり、誰も幸せになれないという教訓を得てやめたわけです。

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