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2022/05/15

いわゆるJR議員パス問題

有価証券偽造および詐欺事件として立件された、JR切符の不正入手問題。

ここぞとばかりにマスコミはバッシングをしているが、まさに参議院選を控えての行動なのだろうか。

いうまでもなく問題なのは元議員の行動なのだが、今回の案件は従来の「議員の不正利用」ではなく、元議員(要するにただの人)による詐欺事件であると言うことだ。(党の役員をやっていたらしいが、所詮は議員では無い)
ここで議員の行動モラルとか、そういう観点で叩いても何にも意味が無い。

ところがどのマスコミ報道も従来と同じように「フリーパスの根本的な問題」とか「本当に必要なのか」とか問題をすり替えている。
そしてどうせ大風呂敷を広げまくったあげくなにも変わらずに、印象操作だけして終わるのだろう。

一連の動きを見れば根本的な問題、不正防止の基本すらできていないのがわかる。
それを利用したのも悪いが、あまりにも杜撰なシステムでやっているのもどうかと思うレベルでは無いのか。
そこをなぜきちんと追求しないのか。

本人確認の話では無い。顔写真がどうとかそういうレベルでもないし、「国会議員バッジのようなもの」をつけていたからとかそういう曖昧な話以前の問題。

有効期限切れの鉄道乗車証が有効としてしまったことだ。これは由々しき問題だ。
毎年回収しているが実際は回収ができていない、とかそんなこと以前の問題だ。
回収率がどうとか追求しているマスコミもあるが意味不明。有効期限が切れていたらタダの紙切れなのだから本来なら回収する必要すらない。

それより有効期限切れでも使えるということがどれだけ異常なことなのか。
期限を一日でも過ぎたら定期券は使えないだろう。それぐらい当り前でレベルの低い話なのだ。

もうひとつ理解できないのは、特急券などの申請で提出する申込書のことだ。一緒に提出する鉄道乗車票には記名があり(これは当人の名前だろう)、一方で申込書には偽名(現職の他議員)の名前を書いたという。つまり両者の名前が異なっているのに、JR側はそれを通したということだ。まったく意味不明。

まるで「国会議員らしき人が来て特急券やグリーン車の発券申し込みがあったたら疑わずにタダで発行している」というようにすら見える。

この顛末を聞いて私は思った。それならば有効期限切れでも鉄道乗車証を入手さえできて、あとは適当なマイナーな議員の名前を書けば、切符をタダで入手できるのでは無いのだろうか、と。実際にそういうことをやっている悪人がいるのではないのかと。
あまりにも若造が来たら疑うかも知れないが、そこそこ貫禄のある人なら通るのでは無いのかと。

これは「結構回収率が悪いらしい」ということにも繋がる。故意に返却せずに横流しをしている、とまでは言わない。杜撰な捨て方や紛失してそのままなどがそれなりの数があり、それをたまたま入手してなどもないとは言い切れない。実は裏では不正が横行しているのではと疑いを持たざるを得ない。

しかも酷いのはこの議員は12年前の選挙で落ちた人という。ということは12年近くも前に期限が切れた鉄道乗車票でもJRは有効と見なしたということだ。数年前のなら「間違えて」があり得るかも知れないが、ここまで酷いのならさすがに疑うべきだろう。元国鉄のJR職員にとって「国会議員が怖い」というのはある程度は理解するが、杜撰にもほどがある。

一つ目はこのような特急券の発券時の問題がある。
二つ目に問題なのは、有効期限切れの乗車証、一般人で言えば期限切れの定期券でも改札を通れているということだ(入るときと出るとき両方)。
これらはあまりにも杜撰なJR側の問題でもある。

そしてこのようなシステム全体の金銭的な取扱いの杜撰さである。

いくつも問題があるが、最低限の問題なのはこれらの経費が「どんぶり勘定」であり、不明瞭であることだろう。
文書(中略)費も同様の話だが、経費で必要ならいくらでも使えば良い。そのかわり明細書を出せ。私はそういう考えだ。

今回の件で言えば、JR側のやるべきことはごく単純。
国会議員が発券をしてもらうために提出した書類のコピーと、それに対する請求額明細(明細と言っても特急券代とグリーン券代とか程度だ)をつけて、国会に請求をする。私企業としてはごく当り前の行為だ。電子化データだろうと紙ベースだろうとどっちでもい。
国会事務局はそれに対してJRに請求分の実費を支払う。これもごく当り前のことだ。
そしてその一覧を各国会議員への回覧を初め、請求があれば情報公開する。つまり議員にはなんら負担は増えない。
本当なら各議員に確認を取った上で支払うのが当り前だろうが、まあ、そこは負担が増えるだろうから良いだろう。

このようなシステムを取っているとしているだけでかなりの不正防止(抑制)になるし、今回の事件は起きなかっただろう。
「日の光が当たるところに不正は起きにくい」のだ。

そしてこれらは法律改正も、国会議員には何も要求していないし変化はない。やるのはJR側と、国会の事務方の作業だけだ。
「抵抗勢力」は存在しないし、極めて事務的な話だ。

それなのにこういうことをマスコミがきちんと指摘しないというのはまったく解せない。

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