オリンピック・ハーフパイプ報道失態に見えるNHKの問題
NHKのオリンピック報道で”やらかした”ようだ。
SNSはもとより、各社報道でも大きく取り上げられている。
読売テレビの報道が一番判りやすい(ヤフーでもこれの引用のようだ)
私はオリンピックにはあまり興味が無いが、NHKのこのような運営や編成に怒りを覚える。
はっきり言えば「こんな番組編成をするなら放映権を取るんじゃない!」である。
放映権争奪戦となるオリンピックにおいて、準国営放送であるNHKは放映権取得を大きく控え、どこの放送局もとらなかったマイナー競技の放映に徹すべきである。
前回、前々回と金メダルを逃し、今年こそと言う競技で人気とあるハーフパイプ競技は人気コンテンツになることは間違いなく、控えるべきではないのか。
それでも放送するのなら、天気やニュースなど吹っ飛ばして中継すべきだ。
吹っ飛ばすことに対して、いかなる批判を受けようと、その覚悟がないのならやるべきでは無い。
従来番組など吹っ飛ばしてきちんとオリンピック用の放送枠を取ってやっている民放に比較して、この点でNHKはこれら民放に劣る放送局であるとしかいいようがない。
報道ではサブチャンネルへの切り替えの不手際も問題視されているが、問題の本質は「サブチャンネル」で対応したということだ。
サブチャンネルが無かった時代、つまりアナログ放送の時代にはどのような対応をしていたのか。
一番判りやすいのは夏の男子高校野球全国大会で開始直前から終了までずっと放送していた。
その間にずっとニュース無しということはさすがにできないのか、NHK総合からNHK教育(当時の名称)に切替えていたのである。
そのしわ寄せが子どもたちが楽しみにしていた教育番組の中止にきてしまい、泣いた子どもたちもいた(母親からの苦情があった)というくらいだ。
この時代は「続きはNHK教育に切替えてご覧下さい」などとテロップやアナウンスが流れるのでチャンネルを変えれば済んでいた。
サブチャンネルの使いどころが間違っている
プロ野球のような、ある意味不要不急のコンテンツで、ナイトゲームで言えば9時前に終わるか判らない(大幅に早く終わる場合もある)番組に対して、例えば9時半や10時迄番組枠を取ることは無理。そんなことは視聴者も理解できるだろうし、サブチャンネルに飛ばすのも問題ないだろう。視聴者は、あとはニュースなどで結果を見るしかないか、レベルまで意識が落ちているので、画質が落ちても見られるだけ何倍もマシという心理が働くからだ。(これで優勝が決まるとかは別であるし、心ある放送局はどっちにしろ優勝決定後の余韻や様子を放送するために番組枠を拡大するだろう。少なくとも普通の感覚なら番組を打ち切らずに番組延長をする)
オリンピックのような特殊な番組はメインチャンネルで放送するように番組編成をすべきであり、それができないのであれば、そもそも放送すべきではない。
サブチャンネルでやればいいと思っていたのが大きな間違いであり、視聴者、オリンピックを、そしてこの競技を馬鹿にした(軽視した)行為であったことを深く自覚し、NHKは猛省すべきである。
ことは切り替えの問題では無い。サブチャンネルは画質が悪いという批判があり、実際、技術的に480P、HD画質ではなくSD画質、いわばブルーレイではなくDVD画質である。アナログ放送時代の画質レベルに近い。そんなことは百も承知のはずである。
ハーフパイプは結構引き画面でのカメラワークもあり、これを低画質で放送するという感覚もおかしい。
そもそもNHKはハイビジョンの主たる推進者であり「オリンピックはハイビジョンで」とずっと言ってきた。今はハイビジョンどころか、4K、8K、でとすら言っている。この点でもNHKだからこそ許されざる行為ということだ。(ちなみに民放は昔からあまりハイビジョンを歓迎していない傾向にあり、ごく一部の番組だがハイビジョン推進を公然と批判すらしていた。)
もっといえば日本の快挙と呼ばれるだろう瞬間を、低画質で放送して良いと考えていたとすれば言行不一致も甚だしい。酷い放送局である。
プロ野球でもサブチャンネルへの切り替えがよくあるのは確かであるが、この時はアナウンサーが「続けてみる場合はリモコンの・・」と何度か案内をする。
ああ、そろそろ切替え時間か、といつものことにすら思うし、初めての人もいきなり感がない。
試合運び次第で案内の温度感も違ったりする。だから視聴者への寄り添い感もあり、違和感や怒りを覚えることはほぼない。
「サブチャンネルへの切替え」を周知するために強制的に切り替えを告知するサブチャンネルへ切替えるという愚行
これが全く理解しがたい、許されざる行為だ。「誰得?」の行為でもある。
オリンピック競技を続けて視聴したい人への配慮を考えれば、時間になったら競技を放送しているサブチャンネルへ自動的に切替えてもらえれば良い。
画質は落ちて違和感を感じる人も出るだろうが、まあ、見ることはできる。その点についてはアナウンサーなりが補足すれば良い。
その人にとっては放送を中断されることの方が問題で、勝手に案内チャンネルへ切替えられることが何よりも問題である。
競技途中の空白時間を見計らってならともかく、どうやら単純に、定刻通りに、競技が始まる直前辺りで切替えるなど、嫌がらせととられても仕方ないことをしている。リモコンを準備して待ち構えていても一瞬でも見られない時間が生じるからだ。(デジタル放送ではテレビの性能にもよるが、チャンネル切替え時に数秒のタイムラグがどうしても起きることを無視できない)
一方(さほど競技には興味の無く)番組表通りに天気予報やニュースを見たい人への配慮を考えれば、そんな案内は意味が無い。その人たちにとっても勝手に「案内番組」に切替えられると迷惑だ。
では、なんのために切替えてまで案内を出したのだろうか。私には理解に苦しむ。
理屈上は視聴者への意向を無視して勝手にサブチャンネル放送へ切替えるのはダメということなのだろうか。
しかし案内を放送しているサブチャンネルには勝手に切替えるという行為を行っている。どういう理屈なのだろうか。
ひとつにはおそらく案内チャンネルの後にはまたメインチャンネルに戻しているのだろう。
だから問題は無いという理屈だ。私には理解しがたいが。
ただの「案内はしたんだよ」という下手くそなアリバイ工作なのだろうか。
NHKの金儲け主義がちらつく
民放のプロ野球中継では「アナウンサーが切り替えを示唆する」という事を述べたが、今回のオリンピック中継において問題なのは生中継にも関わらず、そして番組編成を知っているはずの実況アナウンサーが、サブチャンネルを意識して放送の中で切り替えを示唆したのか、ということに疑問を持つ。
生放送の「この瞬間」の視聴者への想い(思い)をめぐらせるのなら、視聴者が見逃しをおこさないように、操作を間違えないようにサブチャンネルへの切り替えを誘導し、適切に切替えるように肉声で案内すべきだろう。果たしてそれが行われたのだろうか。
すくなくとも私が色々な報道やネット記事を見た限りではあったとは全く見えてこない。
ではなぜそういうことをしなかったのか。穿った見方をすればひとつの考えが浮かんでくる。
この放送を後々に「コンテンツ」として販売する計画がちらついていたのではないのかと。
生々しさを伝えるという点では切り替えを示唆する言動も、ある意味アリと私は想うのだが、まあ、嫌がる人もいるだろう。
なぜなら、そもそもサブチャンネルをの切り替えをすること自体が、番組編成上の「失態」ともいえることであって、後々まで映像証拠として残ってしまうからだ。そのままDVD/BDにして販売するのを嫌がる人がいるだろうし(NHKエンタープライズの連中とか)、修正するのも生中継の音声差し替えとなる(無音はもっとまずい)ので嫌がる人もいても不思議ではない。
だから放送時の切替だけでなんとかやり過ごそうと考えたのではないか、そういう行動に出たのではないかと考えざるを得ない。
その結果として被害を被ったのが、本来一番大事にすべき、生で見てくれている視聴者たちだったのだ。
これが放送局として一番の大罪である。
放送第一主義をうたっておきながら、この体たらくである。
NHKとしては、放送料として国民から金をむしり取っておいてそれは膨大にかかる制作費や放送にかかる経費として処理して儲けが無いかのようにみせかける。そして子会社にそのコンテンツを流して軽微な制作費で普通に売れば楽して大儲けできる。そういう構図が定着すればこのような、放送よりもその後のコンテンツ事業を考えた番組作りになるのはごく当然と言える。
別にこのことをNHKに問いただしてもなんら適当にごまかすだけだろう。法的にもなんら追求できる事実はない。
せいぜい、国民感情が爆発しないように、もう少しバレないようにうまくやれよとしか思わないが。
なお、ぶっちゃけていえば録画していた人達の”被害”も表面化しているが、こちらは問題視しない。基本的に放送側にとっては録画機器というのは”敵”なのであって、それへの嫌がらせが的確にできたという意味ではむしろ良い結果とすらいえる。彼らにとっては、放送は生で見て下さい、今後何度でも見たいのなら録画機器で保存しないで、今後発売する映像コンテンツを買って下さい、というのが本音だからだ。(これはNHKでも民放でも同じなのでNHKを責めている訳ではない。)
私もこの考えに対しては、著作保護権の観点を厳密に取るほうなので原則的に異論を挟むことはしない。
どうしたら無難だったのか
文句ばっかり言っているのもアレなので補足しておこう。
一番無難なのはデータ放送を活用してチャンネル切り替えを促す方法だ。
放送局側でデータ放送を強制的に表示させることができる。某番組のじゃんけんゲームなどで「ピロ」という音と共に画面が変わるが、あの機能を利用するだけだ。
もう少しおとなしめの事例では、BSの放送大学では下にカラーボタンを押すとほかのチャンネルが見られるというガイドが出る。
今回の件もこの程度で十分に思える。
もちろん放送の中でも、アナウンサーが誘導をする。
これでも文句は必ず出るが、炎上まではいかなくて済んだのではなかろうか。
何度でも言うが、競技の中でクライマックスとなるところが、天気やらニュースが始まる時間と重なる可能性が十分に予期できなかったというのか。番組編成上の大問題である。
この競技のことはよく分からないが、さほど進行時間がぶれる要素があるように思えない。
各選手のスタート時間はよほどのことが無い限り決められた定刻であっても不思議ではないし、選手の競技順番もほぼ決まっているのではないのだろうか。
だとすれば「最悪のタイミング」になり得ることが「全くの想定外だった」という言い訳が成り立つのだろうか。
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