アベノミクスを評価する選挙らしい
アベノミクスを問う、つまり評価する選挙らしいので自分なりに評価してみる。
まず評価しろと言ってもアベノミクスなんかまだなんにもやっていないので困る。
これはまだましな言い方で、アベノミクスの評価というのは私から見れば現時点が“最低の評価”であるといえる。
「第一~第三の矢」の三つを持ってアベノミクスらしいが、結局やったのは第一と第二だけだからである。
しかもこの二つは第三の矢のために“場を温めておく”ものに過ぎず、評価というのは第三の矢に対してするものだ、と、この政策を聞いた時に受け取ったからである。
つまり第三の矢をまともにやっていない時点で、政権を放り投げて「さあ評価してくれ」といわれても私としては「はぁ???」なのである。
どうしてもというのなら「じゃあ0点」としか言いようが無い。
時間が無かったのならともかく、政権は二年も続いた。第一の矢、第二の矢がそこそこ効果を上げて温められたところで矢継ぎ早に第三の矢に移行しなければならなかった。
しかしその時点で安倍政権がやったことはなにか。
(既に順番は不明なのでそこは勘弁してもらいたい)
例えば第九条の改憲論議である。そして96条にまで話を及ばせてきた。
それをやるなとはいわないが、今(その当時に)やることでは無い。
結局、大ブーイングや論理構成の問題もつかれていつの間にやら引っ込めてしまった。
もちろんあの騒ぎで結局何も得られていないというムダをしでかした。
また秘密保護法案という法体系の新設である。
委員会などでも、また超党派であってもじっくりと審議してから上程すべき項目なのに、内閣府のあたりで“適当に”決めた欠陥法案を出してきて国会を大混乱に陥れた。
これもやるなとはいわないが、いや、むしろやるべきことだと私も思うが、やり方があまりにもおかしく杜撰だ。
法体系や運用上の規定が欠陥だらけであるという指摘を受け、ごまかしごまかし無理矢理通したとしか見えない。
そしてまだ耳に新しい集団的自衛権騒動である。
日本にも(個別的)自衛権があるのは明白であるが、集団的という時点で途端に胡散臭くなる。
“戦争ができる国への”という指摘は私は不適当だと思う。
相手が撃ってきた時点でこちらも撃ち返すのは当然の理であり、それを戦争という。
別に今だってそれはできるし問題だとは思わない。
私の論点は“戦争(テロを含む)に巻き込まれるリスクが増える”という点はどう考えても自明であるにも関わらず、それを政府などが否定するという姿勢である。
それには批判的態度を取らざるを得ない。
“リスクは増えるがこういうメリットもある”と説明してくれれば良いだけなのだがそういう話が全くないので、私はノーとしか言いようが無いのだ。
(よく無責任に言われる「米軍が助けてくれる」論には「はあ?そんなわけないだろ」と返すしか無い。日本人の為になんで米軍の青年が血を流してくれるのか、常識で考えてありえないことだ)
これらをやるべきではないとは私は全く思わない。比較的論議すべき事だ。
しかし本来やるべき緊急課題の「アベノミクス」を放り出してこれらの「あとでやるべき」ことに政権の二年間を費やしたのが結果である以上、この解散時点で「アベノミクス」を評価しろと言われたら、落第点をつけざるを得ないのだ。
他に安倍内閣のやったことはなにかあるのか。
経済政策だって小手先の、およそ岩盤規制などとは程遠い細かい話ばかりである。
それどころか細かい削りや政策の副作用で“少数の苦しんでいる人達”をどん底にたたき落としているのが実情である。
消費税の先送りの是非の評価という観点もあるようだが、私には意味が分からない。
消費税成立時に景気条項があり、それに従って景気が悪かったから見送りをしただけのことである。
それの是非を言うのなら野田政権含め三党合意で決めたことに対する批判にさかのぼることになる。見送りの“決断”とやらはごく“普通”の判断でしか無い。
景気が悪いのは安倍政権の問題である、というのであればそれはその通りだが。
アベノミクスは続けられるのか(第一の矢)
アベノミクスの一つ目の矢は金融緩和である。
金融緩和で市中でお金が“だぶつき”、経済がやや無理矢理にでも動くというのが主旨である。
しかし実際にそれでお金が動いたという観測はあまり見られないようだ。
実際に効果を現したのは円のだぶつきで生じる円安の誘導という結果である。
円安誘導で“異常な円高”から脱却でき、特に輸出産業は“死に体同然”から息をつけるようになった。
特に工場を海外移転せず国内に留まり輸出を頑張ってきた会社は大いにメリットを享受している。それが自動車メーカーと周辺産業である。
もちろんデメリットもあって、輸入品の高騰が発生した。
そして貿易赤字へと反転した。
このことを政府や与党などは「原発停止により火力燃料が」などというが実は円高の時と火力発電の燃料の“量”は変わっていないという統計があるらしい。
原発事故以来、どんどん電力消費量は下がっており原発程度の電力量はその下落と“新”エネルギーの増加等で相殺してしまっているようだ。
もちろん発電所の省エネ化もあるし、電力価格上昇で企業が対策としての設備へのリプレイスなどもあるし、各家庭の省エネ意識も当然ある。
殆どの人は気がつかないだろうが、最近は電力会社も一日の中で発電量を僅かだが変えてきている。本来は当然変えるべきなのだが今までは日単位でしか変えていなかった。
だから原発停止はほぼ関係なく“燃料代が円安で高くなったから”収支で赤字になったという一因にすぎない。
日銀は金融緩和の理由付けとして「物価上昇率の維持」を掲げているから、物価が少々しなければさらに金融緩和→円安を進めるつもりでいるようだ。
もちろんアベノミクスはこれにブレーキをかけるつもりは全くない。
実態はどうなのか。
食べ物やエネルギー等をほとんど輸入に頼っているから厳しいのは言うまでも無い。
普通に国内の工場製品も原料や燃料費の高騰でそれを転嫁できずに苦しんでいる。
さらに今の日本で隠れた問題となっているのは、日本企業の製品なのに実態は「輸入品」となっていることである。
例えば家電製品で高額な部類のテレビはいつのまにやらほぼ輸入品である。レコーダーも輸入品以外みたことがない。
日本企業の製品だから「実は輸入品だから円安の転嫁で高くするね」なんてできるわけがない。(アップルあたりはかなり値上げしているが)
他にも異常な円高の対策として海外に工場を移して「輸入品」になってしまったものはたくさんある。
価格競争で海外移転をして人件費低下と円高を利用し価格を下げざるを得ないものもあっただろう。
これらは今、急激な円安誘導によって苦境に立たされている。
その分はもちろん企業の利益(体力)を削っていくだけだ。
体力の無いところが“破綻”しての“市場の独占”やカルテルが生じて転嫁し始めるまで、円安誘導を進めるつもりなのだろうか。
実際に今の円安は行き過ぎという声は実に多い。
円高に慣れた体質(体制)には非常に厳しいのだ。
しかし政府や日銀は知らんぷりであり、それどころか日銀は解散を祝うかのようにさらに金融緩和を打ち出し、円安を進めたのだ。
つまりアベノミクス続行容認と言うことは更なる円安誘導容認ということである。
海外製品はどんどん高くなり、国内製品は高くできたところと、変わらないところもあり、その企業は体力を削られているので当然賃金を上げられない。
この構造を進めていけば景気上昇どころか悪化になりかねない。
問題はまだこの第一の矢の有効性を信じていることでもある。
もはやカンフル剤として効かなくなっていると考えるのが妥当だろう。
第二の矢
第二の矢は財政主導、要は公共事業での金のばらまきである。
公共事業実施による経済高揚というのはある意味、昔の経験則である。
効果が無いとは言わないが、かける金額の割には効果が薄い、特に近年は薄いといわれてきた。
民主時代にかなり止めて長らくやっていなかったからその増加分となる一年目は高く見えたが、二年目で既に効果が殆ど見えなくなっている。
再選しての三年目でもまだ効果があるか、というのは極めて疑問があるとしか言えない。
もちろん単年度で見ても借金依存の財政は悪化しており大問題だ。
その大きな要因が財政出動という何兆円単位の支出である。
第三の矢
第三の矢は、既に述べたように二年間もほとんどやっていない。
理由はどうでも良いがやっていなかったのが事実である。
それを三年目だからやる、というのはネットスラングでいうところの「今年からは本気出す」というのと大差ない。
期待する方が無謀であり、ムダである。
たまに何かやったという話があるとその裏で弱者へのひどい副作用のあるところをつっついただけという顛末ばかりである。
解散自体がアベノミクス放棄
今回の解散はこれらの方針がどん詰まりでそれをうやむやにするために解散した、という論調もある。
最悪なのは再選になってこの路線のまま進めて、第三の矢がまた不発だらけで構造改革は一切進まず、改革という名の改悪ばかりが起き、数字だけを維持するために円安ばかりが進むというシナリオである。
選挙対策なのだろうか、地方創生とか目先を変えているが、言っていることは本当にひどい。
だいたい地方創生なんて似たようなことはずっとやっているしそれとどこが違うのか。
地方自治を“飼い殺し”にしてきて今更“やる気のあるところは救う”などとはどの口が言うのか。
その点だけは違うが、実態でひどいところだけが違うのが安倍カラーなのだろうか。
経済にも絡むのでついでに言うと、エネルギー政策も問題である。
やるべきは「発送電分離」等の「電力業界という既得権益の塊の解体」である。
これも民主時代に大枠が決まったが進んでいるようには全く見えない。
むしろそれを進めれば原発事業がこれに馴染まなくなるから避けているのだろう。
原発事業全体もまた既得権益の塊だからだろう。
この点でもアベノミクスは逆行している。
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