リンク: 伊豆大島72時間経過…迫る大雨、捜索に焦り : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).
72時間という言葉の前提
今回の災害で72時間という言葉がどうも耳についたのは気のせいだろうか。
救出の記事やテレビでの報道の中でこの72時間の言葉を聞くたびに却って私は苛立った。
72時間が今回の災害では当てはまらないのは、現場の様子を見れば一目瞭然である。
この72時間は地震や風などで家屋等が崩壊し、がれきの下などで幸運にも潰されず、もしくは机の下などに潜り込んで即死を免れた場合に適用される話である。
水没などが数十分にも及べばそれだけで死んでしまうのは避けられない。
今回は莫大な土石流による埋没か倒壊である。
後者は72時間以内の話が適用されるが、この辺りはいうまでもなく比較的救助活動が容易な範囲でありマスコミのカメラが入る前に救助が行われたように見受けられる。
なによりこの72時間がいわれるのと同時に映し出されるのはいまだに救助が難航している完全に土石流で埋没している地域である。
表面が水を含んだ土によって“塗り固められている”状態であり、その下に空間があってそこで呼吸が可能だったとしても、酸欠で死に至るのは数時間か、72時間も持つとは到底思えない。
72時間は空気は十分にある前提だ。
現場はもちろんそんなことは身をもって理解しているだろう。
報道による72時間がどうのという発言は現場の感情を逆なでしているだけではないのか。
もちろん現場での捜索はどうであれ迅速に行うのは当然の理ではある。
町の対応はまずかったのか
TBSの朝ズバは私もたまたま録画したものを見たが町長を出演させての“つるし上げ”はネットや一部の報道でいわれるようにひどいものだったと言わざるを得ない。
また今朝の日本テレビのウェークアッププラスでも声での出演があったが質問が妥当であったとは思えない。
今はまだ「反省会は後」の状態のはずでマスコミが取材するのはあまり良い話では無い。
私が今回顛末を報道で見た限りでは一概に町の対応がおかしいとは言えないと思う。
「深夜に避難を呼びかけることは却って危険だ」という発言は妥当だとも思う。
当然雨風が強い中であるし老人も多いようだ。
その中で避難による事故があって逆に危険な土石流などがなければ避難指示をしたことが非難されるのではなかろうか。
気象庁の警戒警報があったではないか、都からの連絡もあったという言い方もあるが、たびたびそういうものが発せられており結局何事もなかったことがたびたびあったのではないのか。都から出ていたのも勧告や命令ではない。
いわゆる「オオカミ少年」状態である。
町長・副町長の出張についても非難がある。
ここは確かにどちらかは出張を控えるという考えがあったかもしれない。
これも「結局今回もたいしたことはないで終わるのでは」という希望的観測があったのかもしれない。
難しいところである。
気になったのは町長へこまめに情報が上がっていたとはあまり思えない状況が報道されていることである。
携帯電話でいくらでもどこでも連絡がつけられる時代なのにである。
出張でもホテル待機で綿密に連絡を取り合うことは可能では無いのか。
また避難マニュアルなどがあったにもかかわらず活用されていなかったという点も指摘されている。
一度定時に帰宅指示がありその後の12時に再招集の指示があったのもちょっと解せない。
その間の役場への問い合わせに対して対応ができてはいなかったことである。
業務シフト的に対応して誰かが役場にいないとまずかったのではというのは言えるのではなかろうか。
それでも夜中の12時前まではさほど降っておらず決定的に動く材料は無かった。
そのまま終わればいつもの平常である。
しかし今回はそれから3時間異常なほどの降雨があり地滑りをおこした。
それが起るかどうかは判断できなかったであろう。
しかも深夜である。
そしてそれが分かってからアクションを起こしても手遅れである。
できたとしたら「なにも起らないかもしれないが念のため避難してください」を日没前に指示をするしか無かっただろう。
事前予防しか無いのかもしれない
仮に大騒ぎだけで終わっても良いから危険地域の人は年に何回かは避難移動するぐらいの閾値で考えたほうが良いのかもしれない。
台風ならある程度予見ができる。地震-津波ならある程度のタイムラグがある。
今回の件で言えば島全体がどこでも土石流が起っても仕方ない自然環境ということだ。
特に今回の地域は上方に土止めがあるような地域であり、多少なりとも日頃から土石流が起きている「危険地域」であるといえるのだ。
川は水が集まりやすい場所であり土石流もそこに流れ込みやすい。
今回では橋のところで“ダム”を形成してしまいあふれるという事態が起きた。
橋の周辺の家屋も特に危険であると言える。
町全体で避難という言い方がよくあるが、日頃から自分の住んでいる家屋が危険地帯にあるかどうかを自覚し、想像することが必要なのだろう。
防災マップとか整備されているが、そういうもので自宅がどういう危険性がありえるかを日頃から自覚してある程度は自分で対応することが必要なのだろう。
今回の場合では自宅はなんともないが隣の家が根こそぎ持って行かれたという例もあった。
そこは自分の兄弟の家だったという。
その時に一日だけでも隣に泊めてもらっていれば助かったといえる。
3.11の津波でも、海の近くが危険度が高いのはいうまでもないが、川の付近の家屋も海からの逆流で真っ先にやられている。
川自体が危険因子であり、その近くにあればあるほど危険度が高まるといえる。
堤防なんかあっても津波のような圧力では決壊しやすいし、狭いところに水が集中するので水位がただでさえ高くなっている海面よりもさらに高くなり容易に超えてしまう。
物理的な防御策はないといってよい。
ではどうするかといえば事前に逃げるしか無い。
自然と闘おう、抑え込もうといっても所詮は限界があるのだ。
科学や技術でできることなんか自然の大きさに比べればちっぽけなものなのだ。
そのことを勘違いしてはいけない。
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