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2012/11/23

燃料費単価だけで電気料金値上げを審議する方向へ

リンク: 法制度・規制:電気料金の値上げを後押し、火力発電による原価増を想定した法改正 - スマートジャパン.

経済産業省が11月16日付で、電気事業法で定める料金算定規則などを改正する省令を施行した。この規則は電力会社が電気料金を改定するルールやプロセスを規定したもので、従来は電力会社があらゆる原価を積み上げたうえで電気料金の改定を申請し、経済産業大臣が認可する方法をとっていた。

しかし今回の省令により、電力会社は原価のうち燃料費の変動だけを理由に電気料金の改定を申請できるようになる。従来と比べて値上げが認可されるまでの期間が短縮され、電力会社が値上げを実施しやすくなることは確実である。

省令というのは法律に基づき各省庁が“勝手に”決められる、法律よりは弱いが一定の強制力を持つものをいう。
法律は国会の審議可決を必要とするので重く、発令も天皇陛下の名の下に行われるが、省令は省の大臣が行う、というレベルのものである。
今回は経産省の役人が作文して枝野経産大臣が発令した、ということになる。

簡単に言えば、いままでは批判があったにせよ“総括原価方式”に則り経費を積み上げて「これだけ経費がかかるので販売価格はこれだけにしたいので認めてください」ということだった。
それを今回の省令では「原料費がこれだけあがったので販売価格はこれだけ上げたいので認めてください」になる。

総括原価方式でもお手盛りし放題といわれて批判されていたのにそれをさらに大雑把にしたわけだ。
審議の課程は従来通りだが、従来は原価全てを提示しなければならなかったのに対して、次からは燃料費を提示してそれだけで審議されることになる。
審議会もこのような省令があると原価の詳細を追求することができなくなる。
電気会社はこの省令を盾に拒否することが可能だからだ。

これらは大変憤ることだが、この記事の図3はなかなか興味深い。

この表を眺めているとなんでこれだけ大騒ぎして原子力をまた使うのだろうかと不思議に思えてしまう。

まず水力の単価0が目を引く。当然だが水力は燃料費がかからない。
ひところは水力発電所の建設も批判・非難をあびていた。生態系の破壊や村を水没させることになるなどの問題があったからだ。
一方で治水と発電という効果から推進されていった。
この表を見ると年々減少傾向にあるようだ。これが不思議でならない。
新設は難しいにしろ維持をすることは可能で必要では無いのか。
老朽化に従い廃止していくのだろうが、むしろ新型の発電機に入れ替えることによって発電量を上げることすらできるのではないだろうか(といっても微弱だろうが)。
燃料費を議論の中心に持って行くのならば、単価0の水力を最低で維持すべきでは無いのか。
これは悪い意味でのダブルスタンダードではなかろうか。

もうひとつ水力を維持すべきなには理由がある。それは揚水発電である。
原子力などの出力を調整できない発電方式では夜間には電気を“捨てて”いる。
もったいないのでそれを使って水をダムに戻してやり、昼間の発電に使う。
物理学的に見れば“エネルギーの貯蓄”なのだ。

計画を全体的に見ると、石油系火力を激減して原子力に置き換える、というのが基本的な流れに読める。ガスも減らす方向だ。
石油系は単価16円前後と高額だから当然だろう。
中心となるガス系に移行すればそれは11円前後である。
ところで原子力とガス系との発電量の比率をみると、ガスを100とすると原子力は4である。
ある意味、誤差の範囲内である。
ただでさえ「調達費に問題がある」といわれているガスの価格。
数パーセントという数字では無く、何倍もの高額で買っているのでは無いか、と国会ですら問題になっている。(普通は数パーセントオーダーで切り詰めるのが民間の感覚である)

原子力をやるやらないで「電気の販売価格」が左右されるなんて理由にはならんだろう。
それよりもガスの調達費を僅か10%でも下げればチャラになるのではなかろうか。
もう一度言うが、ガスの調達費はもう下げられないギリギリとは程遠く、国際的な標準よりも何倍も高くかかっているのである。

もうひとつが石炭系の単価の低さである。4円台でガスの半分以下。
24年→25年で90億kwhも増やせているのに25年→26年では微増である。
これもコストカット努力が足りないと言わざるを得ない。
原子力をやるやらないに関係なく、特に石油系からの置き換えをさらに加速させる意味でも早急に推進を続けるべきことではないのか。

もちろん設備投資やら減価償却やらを考えればこんな単純にはできないのは自明だ。

しかし今回の省令で「燃料費だけで議論して良い」というのだからこのような議論をしてもおかしくはあるまい。
審議会においては是非とも最低でもこういう観点で追求をしていただきたい。
「差額がこれだけあがったので値段あげます」なんて生ぬるい説明で簡単に値上げを承認されては困る。
燃料費の観点から事業計画の不備を厳しく追及して棄却して欲しいものだ。

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