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2009/04/26

中国・悪質な非関税障壁発動か

リンク: ソースコード開示、中国強行…知財流出の恐れ : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞).
中国はとうとう前代未聞の身勝手制度を発動するようである。
いわゆるチャイナリスクが見事に発現したわけであるが。
ぶっちゃければ、これはいわゆる「非関税障壁」である。
つまり断固拒否、自由貿易の阻害という点であるとしてWTO等に提訴していただきたい。

ソースの提示というのは旧来においては回路図および技術資料の提示ということに等しい。
回路図の場合はそれだけではアナログ的要素がはいるために再現が必ずしもできるわけではない。
例えば音楽で言えば歌詞や楽譜とどまり、演奏者による付加価値ははいってこない。
ソースの提示というのは録音そのものに近い。
録音といっても最終品ではなく、パートごとの分離されたトラック録音データみたいなもので一部だけ改変してオリジナルと言い張ることも可能な代物である。
中国といえば世界的にみても海賊版・コピー商品天国であるのはいうまでもない。
ソースを提示の要求はパクりを目論んでいると考えるのが妥当なことである。
知財流出の恐れ、ではなく流出そのものになる。

要するに彼らの要求は全くをもって出来る相談ではない。
出来るわけがないことを条件にしてくるということは、すなわち「非関税障壁」による輸入拒絶である。
交易の拒絶である。ひいては国交の拒絶でもある。

セキュリティの問題というがそれを理由に差し止めをする理由にされかねない。
セキュリティにおいてはそもそも「問題がある」という基準が全く曖昧なのである。
相対的なものであり、時代によっても変化する。
つまり恣意的なものでこの制度を使って自分たちに都合の悪い製品を止めることが可能なのである。

その上でやや技術的な話を記述する。
セキュリティリスク云々に関してを理由にしているが全く的を射ていない。
ICカード等においては技術内容を絶対に開示してはならない。
その開示そのものがセキュリティホールになるからだ。
開示を求める自体がナンセンスであり、彼らにまともな判断能力がないことを露呈している。
判断能力のない人間に開示する自体がリスクばかり多く意味がない。

情報家電についてだが、これもリスクのほうが大きい。
セキュリティホールが仮にあっても影響などは皆無といって良いし、実際ない。
大分前にセキュリティホールらしき報道があったが、これはパスワードを設定しないで運用すれば結構危険なことになる、ってだけの話。
危険といっても他人に録画予約をいじられてしまうというだけで、それ以外はなんの問題もなかった。
(インターネット上に公開されているところにパスワードかけてないんだから他人にじられても当然といえば当然)
それに家電程度であればソース精査によるもの(ホワイトボックステスト)より、外部アクセステストによるもの(ブラックボックステスト)の方が遥かに有用である。
設計者によればグレーボックステスト(ソースからテスト内容を洗い出す)のもありだが、実際はブラックボックステストを丹念に行うべきである。
そしてホワイトボックステストによればまず不具合は抽出できない。(よほどソース記述がひどいものは別だが)
ブラックボックステストをして具体的に不具合が見つかった上で注意深くソースを確認してようやく不具合が見つかる、といったケースばかりでソースを漫然とみたりトレースをしていてもわかるものではない。
つまりソースの開示というのはパクリ目的であって検査精査であるというのはおかしいと考えたほうがいい。

一方でWindowsPCやMacなどPCがあがってこないのが不思議といえば不思議である。
セキュリティといえばWindowsでパッチが定期的といっていいぐらい出ているものである。
Microsoftは膨大な人員を用いて対策対応をしているわけである。
そもそもセキュリティというのは簡単な話ではない。
仮にWindowsを開示して中国側の検査員がその問題点を解消できるとすれば素晴らしいことである。
まあ、絶対無理といってもかまわないお話だが。
国内のセキュリティを維持するというのであればWindowsの開示がまず優先されることだろう。
しかしそんな話はどこかにいっている。

それを強行すればWindowsを中国から引き上げる、という政策をMSがとりかねないから及び腰なのだろう。
実際にコピーの蔓延、改善の見込み皆無と見て韓国から実質引き上げた例からすればない話でもない。

つまり情報家電がターゲットにされているのは日本のメーカーが舐められているということに他ならない。

今回の件は日本のメーカー各社の幹部の判断・決断力と経済産業省や政府の力を試されているのだと思う。
こんな制度が通れば日本のメーカー、特に家電など関連企業が壊滅的に崩壊しかねない。
自動車産業に飛び火もしかねない。自動車もソフト力が勝負になってきている。
自動車と家電が崩壊すれば日本の経済・産業がどうなるかはいうまでもないだろう。

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