あれ?B-CASは誰が望んだ?
リンク: B-CAS問題やネット権について議論.
私はB-CASというのはてっきり放送局の要請かと思っていたのだが違うようだ。
今後も使わない、と断言しているのが目を引く。 B-CASは最初は衛星放送で求められ(これが赤カード)で、地上波デジタルではこの派生として必要とされたようだ(青カード)。 では誰が望んでB-CASを必須としたのか。 疑念が残る。それに対し、放送局の代表は、「現在はご指摘のとおり。有料放送受信なども必須になっているが、この見直しを進めている。現在の地デジでは有料放送はなく、機能を使っていないし、今後も使わない。特に、今後簡易チューナが増えることが予測されているため、はずす方向で修正を進めている(関委員)」とした。
これは
消費者団体の代表は、「B-CASがもたらす一番の不利益は、安くてシンプルなテレビが市場に出ないこと(川村委員)」と指摘。地デジチューナへのB-CASカードの支給条件について、コンテンツ保護の運用規定を満たすことに加えて、有料放送受信機能の搭載も求められているなど高コストかつ複雑な仕組みが求められているとの、パブリックコメントに言及した。
この発言を受けての話。
機器自体のコストもありますが、B-CASというのは手続き料金だけでも2千円かかるそうです。
携帯で言えば新規でも機種変でもかかる事務手数料みたいなもんでしょう。
ちなみにテレビを売買するときはB-CASカードについて会社に連絡して名義変更が必要なんだそうです。
ふざけた話ですが。
カードの話ということで言い訳していますが、カードがなければテレビがみれない訳で実質テレビの売買の制限になっています。
つまりB-CASが維持されるだけでもこれだけのお金がB-CASの運営会社に流されるということ。
みえない“税金の一種”です。
そもそもB-CASの問題というのはここもあります。
普通に考えれば放送局のいうB-CAS廃止テレビの要件は
・録画に関する機能が一切なし(現在はBSには録画用出力がついていますがそれの廃止含む)
・衛星放送もなし
この限定条件がつくのだと思います。
私としては衛星放送も含めて審議して廃止して欲しいのですが。
そもそも録画に関する機能がないものにコンテンツ保護のためのB-CASが必要だという自体が全くナンセンスであったわけで、やっと議論に乗るようになったのか、という感じなのですが。
それでも録画機には従来と同じようにB-CASは必須であるというのは変わりがないのだと思います。
コピ1だの10だのいうのはB-CASの仕掛けを含むコンテンツ保護機構に頼っている。
逆に言えば録画機や録画機能つきテレビ、衛星放送対応については従来どおりB-CASを必要とする。
だいぶデジタルテレビの販売数も増えているのでB-CAS会社にとってもさほど問題があるわけではないのでしょう。
その上での“譲歩”なんでしょうかね。
なんだかんだで日本ではプレミアム志向の人も多いし、録画機が売れてくれれば問題ないわけです。
さて、これがもし実現すれば衛星放送対応でないテレビがぐんと増えそうですな。
コストが大差ないということで衛星放送対応もしていたものもB-CAS廃止でも良いとなればそのコスト差は結構でると思われます。
1万円も差がないよ、といわれればいれていたものが、2万円の差となったらちょっと迷いますよね。
そろそろ10万を切るハイビジョンテレビも珍しくなくなり、価格がますます下落していけば誤差の範囲になりません。
ただでさえ衛星放送というのはコンテンツ不足で魅力がないです。
それどころか年を追うごとにコンテンツが貧弱になっているとしか思えません。
(赤字の負のスパイラルに落ち込んでしまっています)
いろいろと検討時間が経っているころには、この決断が衛星放送に最後の止めをさしてしまうのでは、とさえ思ったりします。
私としては衛星放送の廃止までいってしまうとちょっと残念なのです。
もちろんB-CASの不要論には賛成ですがねえ。
衛星放送も含めてB-CASを考え直して欲しいものです。
裏を読めばB-CASの廃止は有料放送業界へのいやがらせ、であるのかもしれません。
いまさら一般民放は有料コンテンツを配信できる能力がない。というか既存の有料コンテンツ会社に太刀打ちできない。
一方でテレビの視聴者は一般民放の質の低下(低さ)から金を払ってもいいから品質の良いコンテンツをみたい、という流れがでてきているのではないのか、と思っています。
これは有料コンテンツをもつ会社の日ごろの努力もありますし、レンタルビデオなどで金を払ってコンテンツをみるということに慣れてきたというのもあるのかと思います。
PPVでもレンタルでも考えて金を払うという行為から見れば大差ないのですから。
ネット配信もそうですし携帯電話のコンテンツでもそうです。
有料と無料の差を感じるひとは多いのではないでしょうか。
無料放送(これはネットの無料サービスもそうですが)のうざい広告をみせられるぐらいなら、金を払ってやるから本編だけみせろ、という理屈もあります。
はした金よりも時間が大事という意識も強まっているのではないでしょうか。
そんな中で一般民放の立場はどんどん危うくなってくるわけです。
契約だけで機器をいじらずに有料放送がみれる現在の機器のスタイルのほうが一般民放にとっては不利であるといえます。
昔はWOWOWをみるのにやたら不恰好で面倒なデコーダーをつける必要があり、それが加入への障壁になっていたのですが現在はそれがないわけです。
B-CASを廃止してしまえばその敷居がまた高くなってくれるわけです。
実質的に意味のない制度を維持するよりも、そういう方向に仕向けたほうが自分たちの利益になる、そう考えても不思議ではないでしょう。
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