« 年金天引き額と消費税上昇のトレードオフ | トップページ | Firefox3 »

2008/06/14

よくわからない補償金の意味

リンク: 本田雅一のAV Trends 補償金制度への「さらに大きくなった」疑問.

ほとんどが私と同じ感覚なので特に異を唱えることはない。
PCやHDD機器への補償金について私の考えるところを簡単に書いておく。

根本的にHDDに対して補償金をかけることはまったく異を唱える。
どなたかの記事にもあったがHDDは記憶デバイスとしては保存というよりはキャッシュ(一時性)の性質を持つ。
これは根本的にHDDが非常に壊れやすい、保持力の弱いデバイスであるからである。
寿命も使用時間という考えでは非常に短いという宿命を持っている。
もちろんその反面、高速で大容量な記憶を安価に得られるというメリットがあり、弱いのはデメリットである。
様々なデバイスの中でその用途とバランスから使用されているに過ぎない。

この弱いデバイスであっても、ひとつだけ回避手段がある。
それはコピーである。あるハードディスクの中身をそのまま全部、等しいかそれよりも大きいサイズのハードディスクにコピーすれば良い。
私自身、適当な時期に新しく容量の大きなハードディスクを購入し、コピーしてデータを継承してきた。
実際、もう20年も前のPCのデータさえ残しているが、これはコピーが無限にできるからこそ可能なことで、このコピーの無限性が保障されている条件の下で、ハードディスクは保持メディアとしての価値を認めることができるわけだ。

さて、録画に関しては全く該当しないということがいえる。
ハードディスク同士のコピーはおろか、自作機においてはマザーボードを交換したらもう再生ができないのである。
いわば自己再録しか保障されていないわけで、これは一時的保存としかいいようがない。
VTRでも他のデッキで再生できるのだからこれよりも劣化している。
つまりこのような厳しいコピー制限を強要するのであればハードディスクでの記憶デバイス=メディアと認めることは出来ず、当然ながら補償金の対象とすることは全く許容する気にはなれない。
ちなみにRAID1/5などでの運用による冗長性によるデータ保護はおそらくは今までの彼らの論理からはコピーとみなされるだろうから許容されないだろう。

もし保存とみなすのであれば、機器間のコピー、最低でもムーブを許容しないと話にならない。

CDからの取り込みが基本となるカーナビやiPodについては本田氏の論理そのものである。
機器から補償金を取るよりも、CDの段階で補償金相当を込みにしておくほうがよっぽど的確と思われる。
最近はCDをそのまま聞いている人は非常に少ないのではないだろうか、と思うからである。
一方でiPodではiT(M)Sでの購入や写真をいれたりPodcastだったり(VideoPodcastもある)、また容量を使い切っていなかったり(*1)と適当な補償額を設定するのは非常に難しいはずである。
携帯電話でも同様である。
PCでのハードディスクの使用はさらに多様を極めるのだから無理というものである。
CDから携帯やiPodやPCに複製される、ということを想定するのであれば、そのあまりに多様な利用法や相手の種類の多さに対して峻別せねばならないし、これから想定外の機器の登場を考えないといけない。
さらにいえばこれらで縛りにくい海外製品などはさらに話がややこしくなるか不公平になる。
さすれば、大本(ソース)であるCD単位で管理・課金したほうが遥かに合理的で的確な徴収になるとしか思えない。
CDでとるのはおかしい、CDでしか聞かない人もいるではないか、という論には、じゃあといって機器側でも全く同じ論理を張ることが出来る。
プライバシーに踏み込まない以上は、完璧な管理が出来ない。
これは比較論であってどこかで取らないといけないのであればCDのほうがましという論でしかない。
もちろん取る必要が無いという結論になれば極めて話は簡単なのだが。

(*1)私の現在のiPod80Gでは残量は30G近くもある。
40Gでは入りきらないから80Gにしただけなのである。
節約して40Gを使えばいいではないかという論は私の感覚では却下する。
すべての手持ちのCDを入れる、ということにiTunes/iPodの意義のひとつを見出しているのだから。

|

« 年金天引き額と消費税上昇のトレードオフ | トップページ | Firefox3 »

法律」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: よくわからない補償金の意味:

« 年金天引き額と消費税上昇のトレードオフ | トップページ | Firefox3 »