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2007/07/18

ITmedia D LifeStyle:「コピー10回だからこそ、補償金制度が不可欠」――権利者団体が主張

リンク: ITmedia  D LifeStyle:「コピー10回だからこそ、補償金制度が不可欠」――権利者団体が主張.

さて、ITmediaからもう一点
あまり正面から取るのもバカらしいので茶々入れ風にやってみたいと思う。

この問題がでてからある勘違いに気付いている人も多いと思う。
それは「コピーワンス」という言葉についてだ。実はデジタル放送時代になると(現状では)コピーができない。できるのはムーブ(移動=元からは消える)だけである。
なのになぜコピーというのか。この記事にも書いてある。

デジタル放送のコピー回数がこれまでの1回(コピーワンス)から10回(放送からHDD/DVDなどへの録画で1回、その他機器へのコピーが9回の合計10回)

つまり空中を飛んでいる電波からコンテンツを取り出してHDDなりに“固定化”する行為がコピーなのだという。
まぁ、私にはこういう解説を聞くまで全く想像もつかなかった論理である。
「コンテンツに対する尊敬の念を持って頂きたいと思う。この機会に映像・音楽といったコンテンツについて、考えを深めて貰えればと考えている」(日本音楽作家団体協議会 服部克久会長)

これを見たときに思わず吹き出してしまった。
つまりは「俺を尊敬しろ」と言っているのに等しい。
仮に尊敬しようかな、結構凄い人だよな、という人がいたとする。その人があるとき「俺は凄いんだから尊敬しろ」などといわれて果たしてその人に尊敬の念を持つ人がこの世の中にいるのだろうか。
考えを深めるかもしれない。こんな尊大な人間が作っていたのかと。
それならもう要らないでも良いのではないのだろうかと。

緩和の前提に「コンテンツへの尊敬」と「対価の還元」(椎名氏)を挙げており、「ユーザーの利便性と権利者の権利保護を両立させるためには、私的録音録画補償金制度の維持が不可欠」

そういう立場をとるならば3回でも構わないと思う。正直9回でも3回でも大差は無い。
その代わり補償金制度はやめろ。
私が欲しいのは世代コピーである。それはなぜか。メディアは必ずいつか寿命が来る。DVD-Rメディアだと10年程度ではないだろうか。それが来る前に新しいメディアにコピーすることでコンテンツを生き長らえさせる。
本来コンテンツの存在が重要でメディアはまさしく媒体でしかないのだからその寿命でコンテンツの寿命を決めるのはナンセンスである。
そのためには世代コピーが不可欠であることは明白である。一度に3枚コピーを作れようが、9枚作れようが同じ時刻に作るのでは全く意味が無い。

そしてここでもコンテンツの尊敬である。
尊敬は要求するものではなく、自ら周囲に対して力を尽くし、勝ち取るものである。
なにをいっているのか意味がわからない。
このような意味のわからない前提を前提とするのであれば、3回が主張点であるのならば3回のままやって補償金制度の廃止を論ずるべきであろう。

制度の維持を再度主張する私的録音録画補償金制度については、「制度そのものの周知が足りないのは事実だと思う。ただ、この制度があることでメーカーやユーザーもメリットを享受している。そのことについて理解を深めて欲しい」と述べた。

メリットの享受にいたっては全く理解が不能である。
深めるもなにもない。何かヒントでもくれまいか(笑)

制度に対する周知が足りないのは単なる怠慢行為である。
いや、簡単だ。映像用DVD-Rや音楽用CD-Rなどに補償金が乗せられていること、またその金額を堂々とでかく表示してもらうようにメディアメーカーに働きかければよいではないか。
それが制度を認知してもらい、理解してもらう最も効果的な方法ではないのか。
しかもそんなのは実際に補償金を取り立てているメーカーに口を利くだけだから只も同然である。なんなら書くことをメディアを売っても良い条件にしてしまえば逆らうメーカーは無い。
メーカーだって印刷費など変わらないのだから別に痛くも無い。全メーカーが書くのであれば不公平も無い。
果たしてこの世の中に映像のDVD-Rに補償金がいくらかかっているのか知っている人がどれだけいるのだろうか。(*1)
そんな状況で補償金に対する理解もへったくれもない。
なぜやらないのだろうか。
それは実はとられていることを知られて欲しくないからではないのだろうか、意識されるほうがやっぱり困るということではないのか、という邪推しかできない。

また対価の還元という理屈もわからない。放送した段階で収支がとれているのではないのか。
いうまでもなく放送会社は民放であれば広告主からの収入、NHKであれば受信料から成立している。
一部のアニメではDVD化まで含めてようやくトントンという話もあるがそれは放送局の上の階層でぼったくっているから実際の製作会社がこんな歪んだ経営方法をとらざるを得なくなるだけで問題の本質が違う。
しかも放送局の従業員の生涯年収の調査結果をみたことがあるが、例えば製造業のおよそ3倍近くも高給なのである。
高給であるということは世間平均以上に金回りがよく、儲かっている仕事なのであり、文句を言うところが違う。

さて、話の方向を変える。
もともと法律では私的複製しか許されていない。その範囲で複製されることは広まる、という意義があるにしろ、損失を与えるものとは到底思えない。

もちろん海賊版はそれはそれで厳しく法律を固め、望むべきである。
今の海賊版に対する罰則は甘いと思う。
彼らは過失ではなく計画犯なのだからもっと厳罰を持って処するべきではないのか。
著作権元が損害賠償を求め、彼らが不正にあげた売上の例えば10倍の賠償を求めるぐらいが当然になるように導くべきである。そのことで補償されるのであれば誰も困らない。

なのにその問題を摩り替えてなぜこのような議論になるのかが理解できない。

(*1)いや、実は私も知らない。調べても判らない。どこかで見た話によると「補償金の返還」を求めた人がいて、その人によれば一枚あたり8円程度だったということである。ちなみに数枚の話なので手数料のほうが多くかかったらしい。

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