みどりの窓口閉鎖問題
JR東日本が「みどりの窓口」を閉鎖していくことについて、性急であったことを認めたのか減らすのを一旦停止することにしたらしい。
そもそもが暴挙としか思えないので当然の処置と思えるのだが、色々な意見があるようだ。
ネットを見ると明らかに単なる不安が多いし、世代の分断的な論もあって面白い。
私が思う根本的な問題は
「みどりの窓口でしかできないことが多すぎる」
であり、典型的な具体的問題の一つとしては
「みどりの窓口の方がおトク」
という事にある。
そもそもみどりの窓口の利用は、手続きが口頭なので楽という話だけでは無い。
ネットや自動券売機の類ではできないことが多すぎる。
例えば様々な企画・特典・割引制度などが窓口(対人)でないと適用されない(購入できない)ケースがあまりにも多すぎるのが問題なのである。
私はなるべくネットで購入したいと思っているのだが、窓口購入と比較して最終的に支払う金額に数百円、数千円の違いが出てしまえば、さすがにそれは受け入れがたいのである。
私はずぼらなほうなので数百円ぐらいならいいか、と思うことも多いが、世の中には1円でも安いと労力を惜しまずにそのスーパーに行くような人もいるので大きな問題である。
よく「高齢者が」「ネットを使えない人が」「たまにしか使わない人が」とかいう言葉が出るが、まだまだそういうレベルですら無いと言わざるを得ない。
私のようにコンピューターを趣味として30年以上経ち、鉄道旅も20年近く経って好きな人間であっても「ネットだけでは全てできず、使いづらく、分かりづらく、不満だらけ」なのが現状なのだから。
業務の棚卸しできていますか?
IT化するにあたって、まず重要な事は業務の棚卸しである。業務を全て洗い出し、業務負荷の評価を行う。
これは業務の効率化、構造改革、IT化、DX化、とどれであっても最初に着手すべきことである。
その次に業務分析をして・・・と進んでいく。これが無いと改革の類は必ず失敗に終わると断言する。
改善の類はこれらをせず近視眼的に進めてもそこそこ成功するが、ある規模の改革は絶対に無理である。
そもそも何をすべきか、費用対効果測定、そのあとの進捗確認、最後の総括に至るまでこれがベースで論議される。
みどりの窓口を減らす、無くすというのは、窓口業務、切符販売における大改革と位置づけられる。
推進すべき理由は人手不足やコストカット等でも全く構わない。普通の企業であれば当たり前だし、動機などはなんでもいいし、むしろそのような動機(目的)を明確化することでどのような対処をすべきかということが手段や目標(マイルストーン)が明確になる。
まずはどのような業務を行っているのか、どのような切符を売っているのか等々を最低限の情報として洗い出す必要がある。
もちろん一部は券売機で売ったり、ネットで売ったりしているのだから、それらの現状把握も合わせて必要となり、窓口での対応を含めて把握することは必須だろう。
しかし、それをやっているのか極めて怪しい。
事実として「異常な窓口への大行列」が発生し、止まらないからだ。
仮に何らかの理由で異常な行列が継続したら、即座にフィードバックがかかるべきだが、余りにも対応が遅い。
「無計画」で「ともかく減らせ」と進めたのでは無いかという疑いがかけられて当然である。
取扱商品の整理
切符を商品に例えるのなら、まずは「対面販売のみ」の商品が多くあるという問題点がある。
「対面販売のみ割引」(対面販売で買わないと割引にならない)という商品が多いのも問題である。
さらに言えば、対面だと「こういう買い方をすればおトクですよ」というオススメを言ってくれたりする。
こういう商品、販売手法が少なくない状態であれば、当然お客は対面販売をせざるを得ないか、対面販売を望むに決まっている。
相対的に言えば、ネットや券売機の方が損をするのだからネットや券売機での購入を望むわけがない、という当然である。
まずはこのような「不公平」を無くすのが先決であり、ネットに誘導したいのなら「ネットの方がおトク」であるようにしなければならない、というのが当然であろう。
様々な企画、割引制度を整理してネットや券売機でも対応できるようにする、対面販売である必然性をもっと無くしていくことが先である。
例えば企画切符としては有名な「青春18切符」などは券売機でも買える場合もある。
券売機やネットでもこれらの切符が買えるようにすること、むしろ、えきねっとやJRのトップページなどで紹介・告知・誘導して買えたら「つい買ってしまう」ことも期待できるだろう。こういうところで「早割」を動的に適用して、みどりの窓口では買えないのに、ネットで買えて安いとなれば「ネットで買った方がおトク」と思えるわけだ。
去年の購入履歴を利用して「今年も始めました」なんてやれば、「おお、もうそういう季節か」と客も嬉しいでは無いだろうか。
単純にネット割引も一つの方法である。ただしポイントは効果が弱いという点は注意が必要だ。年に数回も利用しない客も多いというのも客層の特徴だろう。ポイントというのは頻繁に利用する客にしか響きにくい。また、今もポイントはあるが、余りにもショボいので無いよりはマシか程度でこれでは「みどりの窓口の方が楽だよね」層には響かない。
窓口割増しや窓口手数料を取るというのも一つの方法でもある。
例えばキャンセル料(払戻し)についても発券済みとネット購入で大きく差をつける等も考えられる。
複雑な経路が難しいのは理解できる
券売機やネットで買えない切符として、ちょっと複雑な経路だと全然駄目という話はよくある。
私も鉄道旅は好きだし、仮想的に旅行企画を立てて経路を考えて楽しんだりもする。
路線図を見ているだけでも楽しい。
私は「乗換案内」というジョルダン社という専門会社のアプリを入れていて活用させてもらっている。
それですら思ったような的確な経路はなかなか示してくれるものではない。
別にこれが悪いわけではなく、むしろ世の中にあるものでは一番優れているものだと思い愛用している。
AIの最先端とされるBeingやChatGPTなどは酷いものだ。かなり細かく指示をしないと「旅の提案」にすらならない。
しかし、そもそも「最適な回答」など存在しない。各個人に様々な「思い」があるので一律解などないのだ。
実際、ある程度複雑になる目的地に対して「詳しい連中」が集まれば十人十色の経路が提案される。
その話をつまみにして何時間も酒を呑めるぐらい盛り上がれる。
一円でも安いのが良いのか、ともかく速いのが良いのか、乗り換えの少ない楽さが良い人もいれば、逆に自然なレベルで乗り換えもまた楽しいという人もいる。バランスを重視する人もいる。なるべく電車で座っていたい、逆に駅の中でなるべくうろつきたい人もいる。乗り換えはのんびりがいい(身体的に無理という場合もある)という人もいる。こっちの駅で一回降りて乗換えついでにあの景色はみるべきだとか言い出す人もいる。本当に要望は多様なのである。
話が長くなった。
要するに欲しいのは、書いた経路をそのまま発券をしてくれれば良い、というだけのことである。
私は窓口で例えば以下のようなメモを渡して買うことが多い。
A駅~B駅 ←A駅は切符を買う駅
B駅~東京駅(東海道新幹線・指定席のぞみXX号)
東京駅~D駅(東北新幹線・自由席)
D駅~E駅(○○線)
このようなメモを窓口で渡せば、望み通りの切符が手に入る。
コロナ禍もあったので口頭ではなく、このようなメモ渡しで買うようにしているのだがスムーズに買える。
発券する側も楽なようだ。
ところが現状、ネットや券売機ではこのような買い方ができないことが多い。
券売機では、A駅では買えず、新幹線停車駅のB駅では精算して乗車券をE駅までは帰る。もちろん東海道新幹線の特急券は買えるのだが、東北新幹線の特急券は買えない。
不可解なのはネットで東北新幹線の特急券を予約購入しておけば、B駅の発券機で入手できるのだ。(券売機での他の切符購入とは全く別の話でネット購入済みの発券を行う)
一方でE駅の券売機ではA駅までの乗車券、そして特急券を両方買えたりする。
この程度の単純な経路なのに、意味不明で説明すると複雑な話になる。
私はネットで経路提案をして欲しいとは思っていない。
では、何をして欲しいかと言えば、ネットでこのような「メモ」情報を入力すれば、その通りの発券をしてくれれば良い、という事に過ぎない。
Webのフォームでもチャットやメールでもいいから、受け付けて発券して欲しい。
そのチャットやメールの先が人間でもAIでもいい。途中で人間に代わってもらっても良い。
電子発券でも、駅での受取発券でも良い。
えきねっとの酷さ
余りにも酷い話が、えきねっとのアプリ版が、えきねっとのWeb版よりもできることが少ないということには呆れてしまう。
もちろん普通は逆だ。アプリ版の方が自由度が高いので豊富な機能を盛り込んでいるのが常識だ。
この点だけ見ても如何に取り組みがおかしいかということを表わしている。
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