派閥”解散”という茶番
派閥解散などと言う性善説に基づいた安易な手法で誰が納得するのであろうか。
そもそも派閥(政策集団)というのは法的にどのような位置づけなのか、これを考えればやるべきことは明白だ。
派閥(政策集団)は、ただの「お友達の集まり」ではない。
「政治団体」という立派な、いわば法人格が与えられているのであって、これが問題であると言えよう。
今般の問題も、このような位置づけだからこそ、「派閥との金のやり取り」というものが法的に成立し、責任が曖昧にされてきている。
「会計責任者」なるものが存在して「会長」などとの責任問題が曖昧になっているのもこの点である。連座がどうのとかの話ではない。
政党も政治団体であるため、多くの自民党議員は、政策集団という政治団体にも属している、ということになる。
そもそもこのような複数の政策集団に属していると言うこと自体もおかしいと考えるべきでは無いのか。
いやいや複数の政策集団に属してもおかしくはない、というのなら、複数の政党に属する議員がいてもおかしくはないのだが、あなたはそれを許容するのだろうか。また自民党において複数の政策集団(派閥)に属することは実質的に排除されている。この実態をどう説明するのか。
つまり、政策集団というものを政治団体として認めない、と法改正(法文的には対象から削除)すれば良い。
ただ、無党派(無所属)で当選した議員が集まって政策集団という形を取りたい場合を考慮すれば、政党と政策集団の両方に属することは禁止すると明文化した法改正するほうが妥当かもしれない。
派閥解消や是非論として「教育組織としての」「政策研究の集まりとしての」「自然と集まるものだから」とか色々いう人達がいる。
だからこそこのような法改正が妥当なのである。
別に議員個人が勝手に集まって勉強するのを制限するものでも無いし、その集まりを「○○会」等と名乗るのも勝手だ。
しかしその集団として金銭管理するようなことはできない。できるのはあくまで個人がやることの延長である。これは個人か法人格かという違いと同じ話だ。
教育だって個々の議員同士で面倒をみたって構わない。まとめて新人教育をやるのならそれこそ党としてやればいいだけだ。
もちろん党の教育部会が複数あったって、専門部会があっても構わない。あくまで党として行う建て前だ。
派閥(政策集団)は「政治団体」格を得ることによって「政治パーティ」をする権利も与えられる。よって政治団体の資格を与えなければそもそも「政治パーティ」を行うことはできない。もちろんパーティができないわけではなくて、普通に一般人(民間人)が行うパーティと同等のものに過ぎない。勉強会なども同じ話である。
もちろん利益を上げれば課税対象となる。勉強会なら収支ゼロ(集金した額が会場代や講師への支払、軽食等で消える)ならば課税対象にもならないだろう。百歩譲ってそこで収支報告、領収書や議事録を添付して申請すれば免税控除が受けられる等の配慮はあっても良い。(もちろんその対象の場合は一般公開が必須である)。これこそ一般民間人とのやりとりがある(支払をしている)のだから、きちんと適格請求書を取って控除申請すべきである。
そもそも、各国会議員には政策研究に十分なお金が与えられているはずなのに、一方で政策集団として集金したり資金の調達や運営するという合理性がない。
不足しているというのなら、党や国会組織に請求できる仕組みを作るべきだ。
それがいわゆる文書通信交通滞在費であって、それを拡大して基本無制限にしても構わない。
もちろん請求書(場合により明細)は最低限でも必須である。また、研究した成果はすべからく公開しなければならないとする。
政策というのは国に資するものであって、(国家機密に属するもの以外は)隠す必要など微塵も無いのだから、当然の理である。
国家機密に属するものであっても一定の期限をもって公開とする。
改革とか刷新というのにこの程度の素人アイデアの話すらでないのかと思うと落胆を禁じ得ない。
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