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2024/01/04

ダイハツ不正問題について

年も越して色々なことがでてきた。

まずは第三者機関での認証の結果、対象の車種はいずれも安全性には問題がなかったという結論のようだ。
私はそれだったら生産の再開、流通や販売、納車なども行っていけば良いと思う。
しかし世間(?)ではどうも「それでは許さん」的な空気があるようで私の肌感覚とはズレがある。

体質改善とか反省とか、そんな抽象的な話はどうでも良いと私は思っている。
そんなのは会社のイメージ的な問題であり、聖人君子や清廉潔白などこの世には無いのだからどうでも良い。
ここで重要視すべきは「その製品がきっちりと決められた安全確認をしているか否か」だけである。
「その確認している安全性に問題がある」のならそれを決めている国土交通省に対して矛先を向けるべきである。
不正を行った会社の製品なんか買いたくない、というのは別に買う人の感情論であって、売ってはいけないという理由にはならない。

もちろん「ダイハツの安全認証が信じられない」という声は否定できないが、これの解決策は至極簡単である。
当分の間、ダイハツ以外で安全認証をすれば良い。
第三者機関で認証してもかまわないし、なんなら国土交通省にお任せしても良い。
そうするのが本来であり、それは国土交通省の負担もあるので各社でやっても良いよ、というだけなのだから。
また第三者に出さないのは単純にお金を外に出したくない(内製化したい)、という理由だろうから、緊急時、一時的と言うことで外に出してもなんら問題は無い。親会社のトヨタにやってもらうのも手だろう。
別に車種毎に上記の色々なところに出しても構わない。受けてくれるところに突っ込んでいけば良いだけのことだ。

 

では、体質改善の話に行きたいと思う。

第三者委員会による報告書から見える問題であり、品質管理、公的認証という立場から見て私には不可思議なのは以下の点である。
矢印の次が私の突っ込みポイントなので予め言っておく。

「すべてうまく行く前提のスケジュール」→まあ、うちの認証日程は守りますよ。きちんと試験に関する前提(必要な台数を揃えて持ってくるとか)をクリアしてもらえれば。むしろ他の車種の日程とブッキングすると大変なんでスケジュール厳守で持ってきてください。万全の体制でお待ちしておりますので。

「工程進捗の死守が要求される風土」→死守は当然。これは否定されるべきではない。ただし崩れたら再設定すべきなんですけどね。まあ、頑張ってください。もちろんうちは守りますけど。え?短くしろ?時間工数が決まっているんで不可能ですね。人を増やすか外に出すかしかないですね。

「前工程のしわ寄せをすべて最終工程に」→まあ、予めの日程は厳守しますけど、遅れたらその分だけ遅れるだけですよ。まあ一発合格のために事前にチェックできるところは可能な限り協力しますけど。(「しわ寄せ」というのは節目管理で遅れを生じているということ。この時点で工程進捗管理を幹部がしていないのが大問題。また節目での遅れを幹部にキチンとやっていない中間管理職の大問題。それを知ろうともしない幹部連中の怠慢。まさか節目管理すらしていないとしたら内部統制が全くなっていないということ。困ったもんですね。)

「試験は一発勝負で、不合格は許されない雰囲気」→試験は一発勝負なのは当たり前。試験は偶然合格するまで何度もやるものじゃない。問題点をクリアしてから再試験をするもの。当たり前じゃないですか。(え?そういう意味じゃないって?)不合格が許されないのはうちの問題じゃない。不合格のものを合格にできるわけがない。不合格なのはその製品が不十分だっただけであって、開発設計や製造部門が頑張ってくれ。うちがどうこうできる問題じゃない。

まあ、こんなところだ。なんか自分勝手で無責任に思えるのなら、その方が感覚が狂っている、と思った方が良い。
認証試験や品質保証に関する試験というのは公的試験ともいえるものもあり、品質部門がやっても、他の第三者機関や公的機関や、他社がやっても同じ結果がでなければおかしいのだ。だからあくまで物理的現象を測定して判定しているだけだから論理的であり科学的であることが最優先で「他人事」のごとく対応しなければならないのだ。だからトップがどう言おうと結果を覆すことは不可能。(もちろん社内規格レベルで僅かな不合格ならトップの判断で合格とみなすことはある)

一番の問題点としては、試験者が不合格判定を下した結果を上司に報告したとき「で?」(オレに不合格と上に言えというのか?言えるわけないだろ)というような反応。そういう社風になっていることが間違いである、と断言できる。
「で、レポートは?」と言ってその内容を精査し、問題(ミス)が無いことを確認した上で上申する。それだけのことだ。
最終的にはそれが会社のトップまで行く。そして不合格となった点に責任がある部門に雷が落ちる。それが当然の会社組織だ。
(もちろん根回しで雷が落ちる前に落ちそうな部門にも結果や情報は渡すぐらいはもちろんするのだが)

会社の組織図では品質部門は独立性が高いという位置づけのようだが、幹部レベルの認識がそうではなかったのが問題なのだろう。
幹部は「知らなかった」などとほざいているようだが、お門違いのところに雷を落していなかったか、猛省すべきである。

品質部門のトップも問題である。当たり前だが、最終的には品質部門と開発部門、製造部門との空気は悪くなる。
だから品質部門と開発・製造部門のトップ同士の仲は決して良くないのは当然である。というか、そうでなければならない。
品質部門に「しわ寄せ」が来そうな時点で遅らせた前部門(つまり開発・製造部門)に文句を言わなくてはならないのだ。
開発の遅延は色々な節目で見えるものだ(見えなければそれを節穴というのだ)。品質部門はそれを監視してそれを会社のトップに報告(チクる)ぐらいはしなければならないのだ。当然開発部門が快く思うはずもない。
品質管理というのは警察役、と表現する人もいる。憎まれ役上等なのだ。

そしてその仲の悪さを取り持つのがその上の会社のトップの役割である。

もちろんこの仲の悪さというのは組織上の役割の話である。
特に担当同士はお互いに仲が良かったり情報を交換している。でも最後の一線は守る。不合格は不合格。
お互いにプロのエンジニアなら理解できる。
「役職」とはよく言ったもので業務上の「役」に過ぎない。ドラマの役と本人の本性なんか真逆だって不思議じゃない。そういうものだ。

 

では、私の考える解決策。
当分の間は第三者認証に頼る。従来の部門はそこへの窓口部門となる。
徐々に自部門でもやるように移行していく。
体質が変わるまでは第三者認証も何車種にひとつかはランダムに(自分達以外は分からないように)行う、と宣言する。
それだけである。もし定着し空気が変わったらそっと第三者認証はやめれば良い(これはわざと宣言はしない)。

こうすることで品質部門がまず「他人事感覚」を醸成すること、他の部門も、もちろんトップもそれが当然であると認識すること。これが体質改善である。
第三者認証する会社に不合格に対する文句を言っても無意味なのは誰でも分かることだろう。
いくらバカでも文句を言ったらどんな返答が帰ってくるかぐらいは分かるだろう(分からないなら辞職したほうがよい)

第三者認証会社の代わりに社内でやっているだけなのだ、とすれば頭の悪い幹部や仲南管理職も理解も容易であろう。

厳しい日程厳守とか、厳しい環境とか、そんなものは簡単には変わらない。営利企業なのだから。
しかし、最後の締めを間違えてはならない。終わりよければすべてよし、である。
もちろんむちゃくちゃな日程で犠牲となるものは多い。しかしそれは製品の魅力の低下だったり質の低下だったり、労務的には人材を失ったり集まらなかったりするが、それは不正ではない。結果としてその会社の魅力が落ちる、それだけのことに過ぎない。そこまで干渉する義理立てもない。
今回の問題は不正という越えてはならない一線を越えて、それを隠し続けていたことが判明したことが問題なのだ。

 

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