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2020/05/15

10万円給付とマイナンバーカード

給付に絡んでマイナンバーカード周辺で大騒ぎになっているらしい。
根本的問題はどこにあるのか。マスコミが伝えることを参考にすれば

  • 給付は住民基本台帳、つまり各地方自治体のシステムにおけるデータに基づき配布する。
  • マイナンバーポータル(今回の給付申し込みするところ)は国のシステム情報におけるデータに基づいて認証を行う。

この二つが連携していない。要するに国と自治体の縦割行政の弊害である。
マイナンバーには制約があるから、などと知った口を聞く評論や報道もあるが、それならこの二つが連携できないのになぜマイナンバーポータルで給付を受け付けるようなことをしたのか、それこそがもっと深刻な根本問題である。

マイナンバーは日本国民であることの証明と言える。
一方住民基本台帳はその地域に居住している証明であり、微妙に意味合いが違う。
殆ど同じだろう、と考えてこのようなシステムで給付しようとしたのだろうか。とんだ勘違いであったといえる。

申請を受け付けて給付作業をするのは地方自治体である。
このようないい加減な指針のもと、給付システムを設計したから現場(地方自治体の役所)は酷いことになっている。

  • 電子申請だと「申請内容と住民基本台帳の突き合わせ(手動)」+「振込先銀行口座の確認」
  • 紙申請なら「振込先銀行口座の確認」

であるから、本質的に紙申請の方が自治体の作業量負担は少ない。
給付までの時間の律速段階は自治体の給付事務処理だから極めて重要である。

突き合わせが電子的に自動(機械処理)なら良いのだが、手動である。どうやら二人とかで読み上げて突き合わせをしているらしい。
スマートスピーカーに「アレクサ、キッチンペーパー買っといて」と喋るだけで届く時代に、日本行政の後進国ぶりにはもはや喜劇である。

しかし本当に問題なのはそこだけではない。

見かけの電子申請のほうがIT風で良い、迅速だなどと錯覚してしまう単細胞さ、浅はかさが問題なのである。
これはコンピューターやらハイテクに詳しいとかそういう問題では無い。(IT以前の問題)
いってみれば「ビジネス感度が低い」「経営センスがない」などというべき次元の問題である。

実際の処理では効率が悪いような仕組みになっているにも関わらず、現実を把握、理解できずに決定してしまう浅はかさである。
これは総務大臣を初め「マイナンバーポータルで申請して欲しい」「そのほうが給付が速いですよ」とのたまってしまうような人間全てに当てはまる。

私はマイナンバーカードを持っていない。それはその方がリスクやコストが高くなると思っているからだ。
(そもそも情報として伝えられるシステム設計、社会全体における位置づけや、ITとしての設計もどこかちぐはぐでおかしい。よく言われるセキュリティとかそういうのは私は比較的無頓着でその点の憂慮はあまりないのだが)

果たして今回の様な混乱でもそれを実証してしまっている。
何の問題も無く電子申請手続きができた人(ケース)ですら、実際に給付されるのは紙の申請の方が速いのではという話だ。(東京のいくつかの区役所がテレビの取材に答えている)

主な要因は上記にあげた「突き合わせ作業」の時間がかかるからだ。
紙申請ではなぜ突き合わせが必要ないかと言えば、そもそも紙申請に予め印刷されている情報が、住民基本台帳のデータを元に出力されているからだ。(もちろん修正記載があれば確認が必要だが)

別に紙申請という方式自体が優秀などと言うつもりは毛頭ない。しかし紙申請が、配布ポリシーにある住民基本台帳情報を元にして作成しているので無駄が少ない。マイナンバーポータルを介するという方式は実は遠回りであるということだ。

例えばマイナンバーポータルから、そのカードを使って認証された人に対して給付するシステムにすれば良かった。
ログインして「給付を受けます」ボタンを押して振込口座を入力すれば完了で良い。住民基本台帳と突き合わせ不要だ。
あとの処理としては機械的にやって(なんなら銀行に投げて)、口座が存在しないなどで弾かれた案件を確認すれば良い。

何を勘違いしたのか世帯の全員の申し込みができるようにしたことが問題なのだ。
副次的だがDV被害などの事実上別居状態における問題対応も軽減される。この事実からも世帯単位で考えることが問題の根源だ。
申込者の負担を軽減するかもしれないし、もしかしたら振込手数料をケチったのかもしれないが、一方で処理をする人の労力を多大に消費し、給付までの遅延を起こしてしまう。その損失の方がはるかに大きいのではないのか。
結果として挙げ句の果てに「人海戦術」で頑張っているのだという。現場の人には申し訳ないが、このご時世ではこれも喜劇である。

これはシステム設計、評価における基本的ミスである。(いや、そもそも評価なんかしていないのか?)

そういうことに気づかない、気づけない、さらに改善の気持ちさえ無いというのが、ITスキル以前の重要かつ深刻な問題である。
この国のIT後進国ぶりは相当に重症であるとしか言いようが無い。

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