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2017/12/21

改憲論議:衆議院解散規定が無いという問題

自民党で改憲論議がされているようですが、結局「自衛隊」「緊急事態」「教育充実」「合区解消」が提案されているようです(これは先の選挙公約にもありましたが)

「自衛隊」論議はともかく、のこり3つなど「どうでもいい」話です。
教育充実は憲法で縛る前に法律でいくらでもできます。

合区なぞは「一票の格差」を是正するために数理的に生じえた結果であって、それを否定するために憲法を変えてしまおうなどということは言語道断です。
合区が嫌ならその地域の人数を増やせば自然に解消されるうるものであって、憲法で強制するようなものでは断じてありません。
そもそも廃藩置県の時に行政の都合で分けた“地域”ごとにかならず国政代表をださねばならないなどという理屈は全くありません。
国政選挙であれば、例えば北端から一定人数毎に選挙区を切っていくのが最適解であると考えています(海外ではこれに近い考えで切っているところもあるようです)。それこそAIにやらせるような仕事です。こうすれば一票の格差など1%以下にもすることが可能でしょう。譲歩して今のやり方でも仕方ないな、と思っているだけです。

最初に改憲するならば、まずは憲法の“不具合”を修正すべきではないでしょうか。
9条は、現実との整合性がとれていないものであり、これも問題とは思います。
ですが、それよりも、本文文章だけを全体でみて不整合があるのはもっと問題です。

喫緊で問題となっているのは「衆議院解散」規定でしょう。
長らく続いた解釈運用により、特に安倍政権では“濫用”と言われるほど問題となっています。

憲法学者やら様々な識者の論議を見ていると、同じ文章を読んで、同じ筋の展開をしているのに途中で真っ二つに異なる解釈になって論議が別れます。
両方読んでも、それぞれに納得出来てしまうのです。
それは解釈の余地を残していると言うことであり、解釈に幅を持たせている、というのならまだ良いのですが、それが全く異なる解釈になるのは文章として問題なのです

これは憲法の文章の“不具合”が原因であり、直さなければならないでしょう。

そもそも最悪な論点を改めて示すと“内閣による衆議院解散”の規定が無いということです。

第7条における規定

第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

これを持って「内閣に解散を決める権利がある」と解釈されますが、どう考えても私は承知出来ません。
この条項は「天皇の国事行為」であり、いってみれば“形式的なこと”を定めたものであって、内閣の権限を一部でも、まして国会の解散というとても重いことを規定したものであると考えるというのは無理があるとしか思えません。
歴代の多くの政治学者や法学者が是と考えているというのは不思議です。

「内閣の助言と承認」とあります。
誰かが決めた、または他の定め(憲法や法律など)によって成立した事に対して、その上位者が「承認」をする、というのが合理性のある考え方でしょう。
しかし内閣が自ら提案し、同一者である内閣が承認をするのは意思決定システムとしておかしいものであり、そのようなおかしなことを最上位法である憲法でするわけがないと考えるべきです(是とするのは独裁国家ぐらいでしょう)。

「助言」についても「衆議院の解散を助言する」と読むとあまりにも無理があります。
このような重大な事に対して「助言」というのは奇異であって、この「助言」とは他の項目、例えば「栄典の授与」や「公使の接受」に係っていると考えるのが自然では無いかと思います。

更に言えば「国民のために」とあるので、「総理の専任事項」などと言うのは明らかにおかしいとしか言いようがありません。(これはマスコミの不見識ですが)

先般の解散において「消費税の使い道を変えるのだから国民に信を問うため解散する」という理屈が「国民のために」であるかどうか、というのも意見が分かれるかもしれません。

解散前に「教育無償のために使う」などという極めて曖昧な言葉では無く、どういう使い道にするのか一定の議論をし、ある程度の詳細を示し、その上で解散をするのであれば問題ないでしょう。
例えば今回、控除を大幅に変えたり、新たな税の導入を示した税制大綱が出されました。これをもって「新たな税を導入したりするので信を問うために解散する」というのであれば問題ないと考えます。

・・・とわざとふざけたことを書きましたが、これを読んで「そんな小さいことでいちいち解散していてどうするんだ」と思うのが普通です。
先の「消費税の使い方」などはほんの2兆円程度の話です。つまり「解散をして問う」ようなレベルの話では無いのが明白です。
これのどこが「国民のため」なのでしょうか。あまりにも無理があります。

選挙は国民のためなのだから、問題ないでは無いか、という論もみかけましたが、とても滑稽です。
それならば毎月のように解散し選挙をすることが国民のためという理屈になります。
いや、国会を開いたら開口一番に解散、そして選挙を延々と繰り返すことが(この観点では)究極の国民のための行動となります。

第69条における規定

もうひとつの解散に関する条項は第69条ですが、これも不可思議な文章です。

第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

明確な衆議院解散条項が無いにも関わらず、「衆議院が解散されない限り」とあるのです。

このような不可思議な状態を認識した上で「内閣は…解散されない限り」とあるので、逆に言えば内閣が解散をする権利があるという解釈すべきである、という理屈になっています。
一方で、これがあるから7条が解散権を決めていることになるのだ、という理屈が生じてしまっています。

解散条項は明確にしないと

「解散」という単語がこれらを含めて6箇所ほどあり、その一方で解散はどのような条件、だれが行うことが出来るのか、が書かれていないのです。
よってこれらを明確に書く必要があります。
逆に言えばそれだけのことであり、普通に考えて「加憲」になるでしょう。

改憲した上で7条は「天皇の国事行為として形式的な条項」であると認識し直し、69条の解釈で行うのでは無くきちんと運用していくことが必要でしょう。

野党第一党の立憲民主党も改憲対象の有力候補にあげていますし、自民党憲法草案でも「衆議院の解散は内閣総理大臣が決定する」と明示化しているところをみると問題点は認識している、改憲対象であるというのは認識されているのでしょう。
「加憲」に拘る公明党も乗りやすいのではと思われます。

ただし、自民党案では解散に関する言及が無い=無制限であるため、これは世界的に見ても奇異なものです(独裁国家とかは知りませんが)。
その点は修正する(加筆する)としても、もっとも改憲論議にのせるべきとことではないでしょうか。

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2017/12/17

2017所得税改正/自民党案

今回の改正、基本的には賛成です。
大きな理由は“給与所得控除”を減らし、“基礎控除”を上げたことです。
給与所得控除の上限を220万円→195万に下げたという点も良いことです。
下限も65万→55万と下げてはいますが、そもそも給与所得控除は廃止が妥当という観点とすれば良い方向です。

ただ問題点は2点あります。
1つは基礎控除の仕組みをいじったことです。
もう1つは「介護や22歳以下の子供がいるところは増税にならない」としたことです。

なぜ基礎控除をいじるのか

基礎控除を段階的に(年収2400万円あたりから)減らすという措置です。
「高所得者なんだから良いでは無いか」「そんな人は少ないんだから気にする必要は無い」という論は根本から間違っています。
「税というのは極力シンプルにしなくてはならない」が大原則だからです。
控除で行うのなら、給与で変動させている給与所得控除で行うべきであるし、高所得者云々で論議するのならばそもそもの税率(累進課税)で調整すべき事です。

そもそも基礎控除というのは「誰でも必要経費相当の金額は控除されるべき」という原則で設定されているはずです。
それならば所得額で変えてはいけないはずで、今回の改正はその原理原則を壊しているのです。

そもそも給与所得控除って何?

実にこれは不可思議な制度です。
不思議なことにネット検索してもこの控除制度の意味が書かれていません。
書かれているのは「会社員にとっての必要経費の控除」程度のことで、あとはその計算式が書かれていて終わりです。
酷いところでは(まあ、超初心者向けなのか知りませんが)控除とはなんたらの話から始めて結局疑問は全く解消しません。

もう少しマシなのは「必要経費のみなしであって、便宜上年収額に応じた控除が行われる」程度です。
なぜ、年収額でほぼ比例すると見なして良いのか、私はそこが知りたいのであって、また(現在の税制では)220万円~65万円もの開きがあるということが妥当であるのか、ということを知りたいのですがその論は殆ど見られません。

唯一、これに疑問を投げかけているのを見つけたのがこの記事(http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/0535.pdf)ぐらいで、これを書いている人も疑問と思っているということです。
この記事では所得に比例して“みなし経費”も高くなっていることは提示されていますが、では現在の控除額が適切なのか、というと説得力がありません。

つまり「そもそもなんなのか」はネットで調べても誰も知らないということなのです。
もちろん上位30件ぐらいをつぶさに見て諦めただけなので誰かが書かれているのかもしれませんが、簡単には見つからないということです。
この検索をすると上位に経理や税務のプロ(扱っている会社)が上位にくるのですが、これに対する疑問は持たないようです。

最近までは青天井で年収比例で認められていたそうで、民主党政権でやっと上限(現在で言う220万円)を設けたとのことです(あの長妻議員が言っており、横で自民党の野田議員が何もいわなかったので確かな話でしょう)。
今回は上限を55万~195万円と上限も含めて差も含めさらに下げたのですからそれは評価出来ることです。

要介護や子供がいれば増税の対象外の謎

増税となる年収850万以上でも、いわゆる扶養者がいれば増税にならないと言います。
今回の税改正のポイントを理解していれば、一体どうやってそれを実現するのか疑問に思うのが普通レベルの思考ではないでしょうか。
「850万以上とはいっても要介護者や学生がいる家庭は大変なのだからこの配慮は素晴らしい。それに反対するなんてとんでもない」という発想はあまりに幼稚すぎます。

ところが朝のニュースや昼ワイドショーレベルでは全くツッコミが無いので、とても残念です。(「控除」すら理解していない人もいたぐらい酷い)
ツッコミが厳しくていつも見ている「BSフジプライムニュース」では唯一話題に出てキャスターは「CM明けで」と振ったのですが、CM明けでは結局なかったことのように次の話題になってしまいました。

なぜ問題なのかと言えば、今回いじるのは「基礎控除」と「給与所得控除」の調整の話であり、「増税にならない」ということはこの2つの変更をしないとも受け取れるわけです。
普通に考えればそんなややこしいことをするわけがなく、仮にそうなら「シンプルさ」からかなりかけ離れてしまい大問題です。

なにより問題なのは自民党税調の重鎮クラスである、あの野田議員でさえもつっこまれて即答出来なかったことです。
「多分扶養者控除あたりで(ゴモゴモ)」と口を濁したレベルなのです。
仮にそう言うのなら、扶養者控除等をどういう設計にするのか、ということもセットで論議していなければならず、次は(隣に座っていたのがあの長妻議員ですから)そうツッコまれるのが火を見るより明らかで、だから口ごもったのでしょう。
想像するに「実はなんも決まっていない」状態で、リップサービスでこういっただけとも考えられます(安倍政権下ではこれが悪化しているのも顕著ですから)。

まあ、妥協策?

増税増税といいますが、ぶっちゃけ影響があるのが850万円以上なので私は関係ない(笑)。
増税という点では、局アナ含め、大手マスコミ関係は引っ掛かる人が多いだろうから敏感に反応しているのだけなのでしょう。
800万から850万に引き上げたというのもマスコミ対策では?と考えてしまいます。

平均所得は政府がなんと言おうとだだ下がりであって、まあ、殆どの市民にとっては関係ないということで、あまり話題にしても仕方ない気がします。

これがベストの策だとは到底思えません。
最終的には給与所得控除はもっと上限を引き下げるか廃止すべきと思いますが、大胆にやると影響が大きすぎるので仕方ないところでしょう。

たばこ税と森林環境税(?)

たばこ税なんかガンガン増税すれば良いというのがタバコ嫌いの私の観点ですので建設的な議論をするつもりすらないです(笑)。
徴収した金を一般財源では無く、健康保険会計あたりに全部流して赤字補填やら可能なら保険料減額してくれればいいな、と考えている程度です。

森林保全目的で税を取る話が出ていますが、これは論外です。
森林保護などはすべきと思いますが、これを導入する目的を公言している、その理由を聞くと全くトンチンカンで腹が立ちます。
全部で600億円近くになるのでこれの恩恵を見込める“関係者”達、つまりプロ達はほぼ誰も文句をいわないでしょうが。

様々な問題を言い始めるとひとつ記事が書けてしまうほどきりが無いのですが、こんなもの目的税でとらずに普通に一般財源の中で農林対策として行うレベルの話だ、ということです。
こういう目的税の話がでると「特別会計にすると問題だ」とかいって一般財源論まで出てきます。
仮に一般財源化するのなら単に「ただの増税」です。

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2017/12/16

議員のなり手が少ないなら、まずやるべきこと

若手の中に議員のなり手が少ないから議員年金復活の話。

なり手が少ないのは、議員への入り口、選挙エントリーへのハードルが高いのが問題では無いのか。
まずはここを見直す話が出てこないで、議員年金の話がでてくるのがとても怪しい。

「敷居の高さ」その1

べらぼうに高い「供託金」制度。

若い人の平均年収を見てみれば「(戻ってくるとしても)そんなの用意出来ない」っていう額ではないのか。
貧乏で毎月ギリギリの生活を暮らしているひとには今設定されている供託金の額は「到底用意出せない金額」ではないのか。

これは就職活動で言えば「エントリーシートを配布にあたって300万円(衆議院の場合)用意しろ」「もし入社試験で規定の点数以上とれなかったら没収な」っていう条件になる。
いくら優秀でもビビるし、そもそも若い人の殆どは用意すら難しいだろう。

もちろん現金一括で用意しなければならない。
大卒からこの額を頑張って、積み上げた頃には30歳を超えてしまっても不思議でも無い。

本来、議員という職業に資金力(資本金)は不要のはずではないのだろうか。
もちろん、選挙にあたって「事務手数料」ぐらいはとっても構わないと思う。
大学だって受験料を取る。
まあ、受かったら手数料返還ぐらいはしても構わないだろう。

だが、この供託金はどうみてもべらぼうに高い。
これこそ「世界にまれに見るおかしな制度」で、即刻廃止すべきでは無いのか。

そもそもこの制度は「立候補が乱立すると困るから」というのが理由らしい。
制限しているのが明白な制度なのだから廃止するのが当然のことではないだろうか。
(原則廃止にして、東京都知事など、なり手が多すぎて困るぐらいのものは条例等で設定しても構わないとすれば良い)

「敷居の高さ」その2

もうひとつは被選挙権の高さではないだろうか。
衆議委員で25歳、参議院で30歳。地方議員でもこのあたりになる。

就職どうしようか、という選択肢に入りづらい。
標準的モデルで大卒22歳なので、三年のブランクがある。
三浪以上か、院卒ぐらいが相当する。
ちょっと就職して何年かいてから、ぐらいだろうか。
30歳あたりだと、会社員ならちょうど仕事が面白くなってきたあたりではないだろうか。

こんな考えおかしいのでは?と思う人もいると思う。
しかしこれは「新卒一括採用」という、世界的にも奇異な制度が日本に蔓延しているのを前提にした話なのでしょうがない。

特に地方議員なんか、20歳、いや選挙兼が18歳以上になったのだから18歳から立候補可能として構わないのでは無いか。

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議員年金問題は非正規雇用対策論点で行うべき

自民党が「若い国会議員は落選すれば生活保護だ」「だから年金を復活するべきだ」とアホな事を言っているようだ。
地方議員などはそのせいで“なり手がいない”という。
これの代表となっている竹下亘議員の言葉を聞いているとどう聞いても怪しい。

これはごく単純な話で

議員は非正規雇用者

ではないのか。

自民党政権は「非正規雇用万歳!」のはずだ。

自民党の一部(大部分?)の論理では「最近の若い人は自由を選ぶので正規雇用より非正規が多いんだ」ってことらしい。
いうまでもなく非正規雇用とは「契約を切られれば生活保護」である。
それを「個人の選択の自由」というのなら議員も全く同じでは無いのか。
(「だから雇用されている間にある程度貯蓄をすべし」というのなら議員も同じ論理)

非正規雇用者(社員)は雇用期限が終わり、契約更新されなければ「生活保護」だ。
それすら不安定なのが現状だから、議員のほうがよっぽどマシでは無いのか。基本として“雇用”条件としてきちんと複数年数が決まっており、選挙という“契約更新”が行われる。参議院や地方議会ではほとんど解散という不定期な“雇用解雇”はない。
もちろん不景気だからという理由で解雇などされない。議員も職員待遇として厚生年金という検討がされているという。

まあ、以前の超好待遇の議員年金よりは大分マシかもしれない。

賛成しても良いかもしれないが、それには前提がある。
非正規社員も正規社員と同様に厚生年金(当然半額企業負担)を法制化すること。
それならば整合性がとれる。
もちろん派遣社員も派遣元会社の社員のはずだから厚生年金加入していなけばおかしい。これも法制化が必要だ。
この観点で「派遣を隠れ蓑にした単なる仕事斡旋」かどうかを判断するぐらいのことをして欲しい。

こういった観点を完全に避けているから「怪しい」としか言いようが無いわけだ。

も議員のなり手がいないという話では、まずもっとやるべき基本的なことがある。
それは次の記事に書くことにする。

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