« 2017年7月 | トップページ | 2017年9月 »

2017/08/05

「省エネ性能カタログ2017」にみるエネルギー政策問題(3)

引き続き「省エネ性能カタログ」を元に話を続けていきます。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/
画像はすべて上記からの引用です。

まず目につくのはわざわざ赤線が引かれている「一般的に、視聴距離は液晶・プラズマテレビの場合、画面の高さの3~4倍程度が推奨されています。」という文字です。
これはまさに「大きなお世話」で一番好きなサイズを選べば良いのです。

この数字はブラウン管テレビ、というかいわゆるSD画質(アナログ放送やビデオ端子(いわゆる黄色端子)時代の画素が粗かった時代の話です。
これ以上近づくと画素が見えてしまうため、それ以上離れて見てね、というのがその主旨だったようです。(目が悪くなるとかいうデマもありましたが)

「でかい画面を近くで見るからいいんじゃないか」という人もいますが、全くその通りです。
どうみようが趣味嗜好の問題なのですから。

9
「明るくしたり」というのは大正解で、ちょっと明るさを変えただけで数Wもの違いが出ます。
(うちの40V/47Vのテレビの場合。片方はアクオス、片方はレグザ)
一方で「音を大きくしたり」というのは間違いです。いや、もしかしたら設計によって違うのかも知れませんが、うちのテレビでは2つとも音量の大小で電力計に全くの差が見られませんでした。
もっとも「音量0」と「これ以上でかいと近所迷惑だろ」で止めたのでそのレベル以上なら数Wの差が出るか分かりませんが。まあちょっと調整した程度でどうこうではないでしょう。
10
これはとても正しいです。
目が慣れてしまうので自分でいったん明るくしてしまうとそのままだったりしまいます。
明るさセンサーで調整させるのがなによりも楽です。
また無信号・無操作OFFはゲーム機やレコーダーなどを使っている人は有効にすると切り忘れを最小限にできて助かることが多いでしょう。
私もたまにお世話になっています。
海外ではこの機能が必須でオンにして出荷すべし、という国もあるようです。

さて、各メーカーの機種一覧をみていくと、不思議に思うことがでてきます。
それは「画素数」に「FHD」と「FHD以外」しかないのです。
そう、「4k」(かそれらしき)ものが無いのです
よく見るといわゆる4kテレビは機種にありますが、なぜか「FHD」と書かれています。
これはどういうことでしょうか。
戻って解説(表示の意味は?)を見ると
B
なるほど。FHD以上はすべて「FHD」ということらしいです。
調べると言語の意味を辿ると確かにこの定義は正しいです。
NHKが定義したのがそもそもらしく、もう何十年も前のいわゆる「ハイビジョン」が研究されていた時代のことです。
当然ながら当時は1920x1080画素表示の開発をするのすら難しく、これ以下の「ハイビジョン」つまりHDが多くありました。
そこで目標として1920x1080が掲げられ、これを超えることが出来れば、晴れて“フル”ハイビジョンを謳うという名誉に預かれたのです。

いうまでもなくこんなのはもはや昔話。
スマートフォンにすらFHDがありますし、PCモニタはFHD未満なんか特殊用途扱い、それ以上のものはゴロゴロしています。
そんななかで「それ以上はFHD」なんて言葉だと訳が分からなくなるので「QXGA」やら「WQXGA」やら様々なものが存在し、ご存じの「4k」が登場しています。
昨今はコスト面から「4k」に収束しつつあるようです。
この中で「FHD」とは1920x1080の解像度である、という暗黙の了解(業界慣例)になったというのが一般的な考えでしょう。

ところがこの冊子ではいまだに「昔話の時代」の定義を引きずっているのです。

このせいで「4kテレビ」と「FHDテレビ」が同じ土俵で比較されているという結果になっています。
全く解せない、というかこのカタログをみてもどれがFHDテレビか4kテレビか分からないので「4kテレビで一番省エネが高い奴」を探すことはこの冊子の範囲内では不可能です。

同じ土俵と言えば「機能が違うと土俵(カテゴリー)が違う」ことになっています。
その機能というのは定義されていて下記の4つのようです。
C
今時「DVDレコーダー内蔵」なんてないのにこんなものが残っています。
一方で、最近は「ネット動画対応」は普通にあります。
「ダブルチューナー」は評価されるのに「ネット動画対応」は評価されません。
また、いわゆるアンドロイドテレビの類も評価されません。

これらを悪意を持ってやっているとは思いませんが、時代への追従があまりにも遅いのはいわゆる「不作為の罪」です。

「テレビは国策」とすらされ、NHKを主導とする国策推進(ハイビジョンは典型例です)で進化を続けた一方で、それ以外は後進国となりつつあります。
「4k」や「8k」も同様です。
省エネが評価されるのは構わないことですが、このように「4k」すら別枠できちんと評価されないのはどうかと思います。
また「そのほか」の機能でなにかやろうとしてもなにかと足を引っ張っており、このような評価で優遇することもしません。

「トップランナー方式」も不透明で分かりにくい方式ではとも感じてしまいます。
海外のモニターやテレビを見てみると、この手の評価は、画面サイズから一定の式で導かれる「目標値」が設定されているものが目につきます。

また、「定格消費電力」と「年間消費電力量」の相関が不可思議な機種があります。
「定格消費電力」というのは
F
というように測定方法がかなりきっちりしており、条件も厳格に決められているようです。
この冊子を“作った”省エネ庁が決めたものではありません。
一方で「年間消費電力」というのはこの“省エネ庁”が作ったもので
G
とあります。
待機時消費電力もある程度は左右されますが、基本的に定格消費電力にほぼ比例してくるはずです。しかしどうみても無理があるものがあります
カラクリはどうやら「その条件」にあるようで
H
この「標準状態」とやらが要因では無いのか、というところに思い当たります。
既に書いたように画面の明るさでちょっと変えただけで数W変わります。
やりようによっては数十Wでも変わります。

つまり、いくら暗くしても「標準状態だ」と言い張れば何でも通るのです。

「そんなの店で見れば、バレルじゃん」というのは素人考えです。
まず「店頭モード」というのが存在し、当然ながら「下駄を履かせて」います。
とりあえず「店頭は明るいから下駄を履かせないと家で見たときと印象があわない」というのが理由はつけられそうですが、怪しいとしか思えません。
じゃあ「店頭モード」を解除すれば?と思うかも知れませんが、店頭では「特殊CASカード」(店頭専用カード)を使用するのが通例で、それを認識して自動で「店頭モード」にするのが一般になっているようです。(カードの抜き差しで管理出来るのでトラブルも減らせる)
CASは普通は抜けないようにしていますし、抜こうとすれば店員が全力で制止しますからまずバレません。(「フリーパス」らしく盗用されると大問題になるでしょう。)

取説には明るくしたいときのQ&Aを用意しているのは当然であり、それでお客さんが変えるのはこの件には無関係であると主張出来ます。

また、最近は「どれが好みですか」と最初の設定時に“並べて”選択させるものもありますから、「どれもうちとしては推奨状態です」と言い張れば問題ありません。

最後のは大分うがった見方ですが、それだけ“不明確な”条件で、(この冊子としては)購入の第一条件として提示しているわけで、罪が重いのです。

おそらくは「なるべく実際の使用状況に近い状態での消費電力(消費者の“負担”)」を締めそうとしたのでしょうが、それが曖昧さを招いている、という結果になっています。
結果として現実と乖離し、結局は消費者のための正しい情報からずれてしまっているのです。

とりわけ日本メーカー(大手)であれば「プライド」や「世間体」、「業界内同士の牽制」もあるでしょうから自制するでしょう。
しかし海外系メーカーやら店舗ブランドやらが「規則のギリギリ」をついてくるのは“グローバルスタンダード”です。

問題なのはそういうメーカーでは無くて隙だらけのルールを作っているほうです。
以前から問題は指摘されていると思うのですが、そろそろ猛省して変えないとかなりヤバイ気がしてならないのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「省エネ性能カタログ2017」にみるエネルギー政策問題(2)

引き続き「省エネ性能カタログ」を元に話を続けていきます。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/
以下の画像はすべてここからの引用です。

これの7ページから引用します。
5
なんと待機消費電力量が5%にもなるという私の感覚からは驚きの結果が出ています。
そこで出典元(上で出所)となっている「報告書概要」なるものを確認してみました。
概要にも関わらず218ページ(表紙目次含む)の大作です。
ポイントを列記すると
①給湯器・エアコン・電話機FAXなどの普通は元電源を切れない機器を含んでいること
②テレビやレコーダー等はクイック、高速モードなどの“待機”消費電力の高い状態を含んでいること(実地調査結果でこのモードの設定になっていたものが相当数あるためらしい、ただしこれは工場出荷時では切られているのが通常)
③CATV等のTA(受信機・変換器)が含まれていること
④オーディオ製品が含まれていること
これらが数値を押し上げているようです。

特に②においてはこの設定は問題が多く、通常は0.1W程度なのに、このモードにすると20W等と言った通常使用時動作とほぼ変わらない電力になるものすらあります。
つまり、「このようなモードにもし設定がなっていたらまずは切る」がポイントです。
しかしこのページにはその言及が一切ないのが大問題です。(おそらくこの報告書をきちんと読んでいないか、知識が無いのでしょう)

6

これを見て「おお、すごい、早速実践しよう」と錯覚しまいかねません。
まったく質(たち)が悪い騙し話です。
この記事の出所を見てみましょう。(図はクリックすると拡大します)
7

なんと映像機器が58.6kWh/年もあるのが前提なのです。

例えば液晶テレビで(アクオスでは普通の)0.1W/hであれば一年中待機時でも0.876kWh/年にしかなりません。
最低クラスではこの10倍である1W/hのものもありますが、それでも8.76kWh/年です。
いったいどこからこんな莫大な数字が出てきているのか不可思議です。

いえることは、2つあります。

ひとつは先に述べたように「クイックスタート」にしているものが勘定に入っているためで、これは主電源オフにすると切れるものが多く、確かに効果があります。しかしそれ以前にやるべき事は、こんなモードは切るということです。

もうひとつはいわゆるオーディオ機器が入っていると言うことです。
この場合、いわゆる“待機消費電力”が高い、またはその概念すらないものも多くあります。
これは“オーディオ”という機器は趣味嗜好の極めて高いものであり、待機消費電力低減とかいう努力は極力排除し、コストもしくは音質のどちらかを追求する二極化した世界になっています。

ほかのカテゴリーに目を移すと注目すべきは給湯器です。
給湯器には「オンオフボタン」がありますが、普段は面倒なのでオンにしたままだと思います。
これをオフにすると例えば洗面台のお湯も出なくなります。またうっかり切って風呂に入ると水しか出ません。(風呂を沸かしたときは無いですがシャワーのみは時々やります)
確かに待機電力は減らせるという点はあります。しかしデメリットが大きすぎるのです。
ところで待機電力はどれくらいなのでしょうか。給湯器の説明書らしきものには見当たりません。ほかのどこかにあるのでしょうか。

さて、これらのことは「省エネ性能カタログ」のほうから読み取れるでしょうか。
実際に出来るのは「テレビのオンオフ」ぐらいしか思いつかず、がんばって毎日こまめに主電源をテレビのところまで行って切るぐらいしか思いつかないでしょう。
説明したように、そんなもの年間で数十円にもならない(1kW以下=27円以下)のに、なんとも茶番です。
一方で“クイックスタート”を切らねば「ちょっと電源をリモコンで切った時」にも電気がダダ漏れです。こまめに主電源を切るという努力なんて文字通り桁が違うので軽く帳消ししてしまいます。

さて、「コンセントから抜く」を見てみましょう。
大きいのは「冷暖房・空調機器」です。この時も0.7Wありますからこれはエアコンのことと考えるのが妥当でしょう。

つまりこれ以外の冷暖房空調機器というと・・・何があるのでしょうか?
温風ヒーターやらは使わないときはコンセント毎抜かれるのが普通なので待機電力を考えていないものが多いそうです。
これには違和感は無く、使っているか抜いているか、が普通では無いのでしょうか。
つまり基本的に「待機状態」自体がほぼ存在しないものを「ある」と仮定して計算しているのでは?という疑いをせざるを得ません。
過大評価して(大目に見積もって)おいて「こんなに引けました」という詐欺的行為です。
こういったものの積み重ねが「5%も減った」になっているのでしょう。

もう一つ問題があるのは先にも書いた「CATV受信機」です。
今であればHDMI連動でテレビに連動してON・OFFできると思うのですがそういう機能があるものは少ない様子です。
これはコスト最優先でケーブルテレビ業者が作らせているためと思われます(パナとかNECが作っているようなので技術力はあるはずなんですがね)。
うちの実家にあるものは電源ボタンが非常にわかりづらく、実際に切ったことが無いようです。
また、切ってしまうと「アンテナ線が切れた状態」と同様ですから録画もできなくなる=クレーム続出という事情もあるのでしょう。
録画に連動して受信機がONになるというのは技術的には困難です。
要するに通常考えて「切れない機器」なのです。

本来の主旨に戻りましょう。

ここで一ページも割いて「待機消費電力」の話をしているのだから、「待機消費電力に注目して少ないものを選びましょう!!」と声高にすべきです。(もちろんコンセントを抜けば良い機器は構いません)
上で述べたように、0.1Whなら年間23.7円程ですが、1Whなら年間237円になり10年間で2370円と言えば気にする人が出てくるかもしれません。、

また、「クイックスタートは切りましょう!!」と言うべきです。
せっかくわざわざこの機能をつけたメーカーに配慮しているのかも知れませんが、省エネ、特に待機消費電力を議論するなら間違いなく“悪”です。

これらを抜きにしては「コンセントを抜こう」といったせせこましい話や小難しい話(エコ機能がどうたらとか)を並べてわかりにくく、誤った行動、茶番劇になりかねません。
テレビは“規制”のおかげで1W以下のものばかりですが、ほかの機器ではほぼ似たような機種なのに待機状態で10Wと1Wの違いぐらいのものはいくらでもあります。
年間で数千円か数百円かぐらいの差は出るのです。

これも元の情報からきちんとその意図を引用出来ていない、という問題が見えます。
表面的な情報だけ転用して、背景の意図をきちんと伝えていません。
悪く言えばこれは“情報操作”“情報捏造”とすら言えてしまいます。

さて、ようやく「省エネカタログ」の本旨である個別の機器についての話に続きます。
機器は多岐に亘るので私の一番詳しいテレビの話で説明をいれて行きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「省エネ性能カタログ」にみるエネルギー政策問題

経産相が発行する「省エネ性能カタログ」というものをご存じでしょうか。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/
これは一般家庭向けに、電化製品を買うときの参考にして欲しい情報を提供しているもの、一般向けのカタログ雑誌です。

家庭用電化製品の省エネに関する様々なデータが載っているのですが、ある一定の知識を持つ人が読むと違和感を感じると思います。

ある意味、とても興味深いものです。これは「問題も多いので注意」という意味です。
載っているデータはもちろん正しいのでしょうが、そこから巧みにおかしな見解、解釈に誘導しているようにしか見えない部分が多々あると言うことです。
しかし一方でデータを読み解くと「一般的に言われていることは違うのでは無いのか?」という気付きにもなるのも事実です。

上記のリンク先にある2017年度版を参考にして話をしていきたいと思いますので興味のある方がダウンロードして参照しながらご覧下さい。
なお、この記事中で特に言及をしていないグラフはこの省エネカタログからの転載(抜粋)であることをここで明記しておきます。ご了承ください。

まず2ページ目から、ツッコミどころ満載でどこから突っ込んでいいものやら、という感じしかしません。
特に「画面のおそうじをしましょう」はむしろ反対です。画面が汚いと暗くなるからという理屈らしいですが、正直よほど酷い家庭でも画面が暗くなるほど汚いことはありえません。
むやみに画面を拭いたりするほうが画面の劣化を進めてしまいます。
特に単なるぞうきん、しかもぬれていたりすると故障の原因となります。

そもそもそこまで酷いくなるのなら「まず部屋の掃除をしろ」「テレビの周りをきちんと掃除しろ」です。

昔のブラウン管テレビは原理的に電気をいれたり切ったりすることで静電気が発生するため周囲のホコリを吸い付け画面がすぐに真っ黒になりました。
しかし液晶テレビでは原理的に皆無です。普通の壁と同じような話で、壁が汚れていないレベルならテレビの画面も汚れていません。
問題なのはテレビの台がホコリだらけの場合で、そのホコリをテレビが吸い上げて中に溜まり、壊れる要因となることです。まずはそこをきちんと掃除しましょう。

つまりこれは「時代錯誤の感覚でものを言っている」としか思えないのです。
こういう点はこのカタログ本編のあちこちに見られます。
ひとえに担当者の勉強不足および役所の悪しき前例主義の結果であり、非科学的・根拠なき前例だけでものを言っているとしか思えず、それは極めて害悪ですらあります。

ただ、すべてが間違いではなくエアコンのフィルター掃除についてはその通りです。
フィルターは周囲の空気を吸い込んでいるわけで、その時にホコリを吸い付けています。
これは簡易的な空気清浄機とすらいえます。
またエアコンの売り文句の一つである「部屋中の空気を循環させている」のなら、部屋中の空気をかき集めてそこからホコリを濾しているのです。
日頃こまめに部屋の掃除をしていてもけっこう“集められて”います。

これを詰まらせてしまうと空気の吸い込みが悪くなり、吐き出す空気の量も減り、冷暖房の効果が悪くなり、結果としてより強く動作するようになり、電気を余計に食います。
またカビ等の温床にもなり、部屋中にバイ菌をばらまく原因となりがちという健康面でも問題があります。

壊れたかと思って修理を依頼されたが実はフィルターがホコリやカビびっしりで目詰まりしていただけ、というのはよくあることのようです。
本当かどうか知りませんが、修理店によっては「なんか最近調子が悪い」という問い合わせの時は予めクリーニング一式も持って行っているという話も聞きます。まあ、掃除の出張対応に主旨が変わるだけなのでどっちで呼ばれたとしても構わないという面もあるようですが。お客さんにしてみれば“エアコンの不調”という意味では同じですし。

さて、余談が長くなりましたが、5ページにいきます。
Photo
このグラフは興味深いです。よく「東日本大震災以降省エネ機運が高まった」と言われるのですがこのグラフからは違うように見えます。
右肩上がりはいうまでもなく高度成長時代、バブル時代で、落ち着いてきたのが1995年あたり。
バブルがはじけて、あぶく銭も尽き、皆が落ち着いてきた頃ではないでしょうか。
「失われた20年」のはじまりになります。

落下しはじめたのは2007年「リーマンショック」が契機とみるのが常識的でしょう。
会社自体の落ち込み、工場操業の低下もあります。リーマンショックの直接影響もあるでしょうし、それ以前からの円安が重しとなっており、輸出製品を作ってきた工場が次々に海外移転に踏み切らざるを得なくなった時期でもあります。
工場がなくなれば、操業による消費電力も0になります。

2010年で一度持ち直そうとしましたが、そこに大震災が来た、というように見えます。
茶番ではありましたが実際問題として「東京都心を含めた輪番停電ショック」も少なからずあったと思われます。
これは環境団体が時々呼びかける「電気を消して生活を見つめ直そう」キャンペーンの強制版と言えます。
「意外と電気が無くても暮らせるんだ」と思ってしまうことで、悪いことでは無いとは思いますが、消費電力の低下にも寄与しますし、景気という意味では悪化させることになります。

また雇用の悪化・平均賃金の低下があり、家庭でも電気代の倹約に走るのは当然のことであり、省エネ意識は環境問題と言うよりも月々の電気代を減らして家計を助ける、という短期的目標となって当然のことでしょう。
アベノミクスで景気が上向いても消費は増えていないですから、電気代の引き締めが変わるわけもありません。省エネ家電はそのウリになるのは当然です。
自動車も省エネ、つまり維持費が安いということにつきます。
実際に現在は軽自動車(車検が安い)かエコカー(燃料費が安い)しか売れない、という市場になっています。

さて、家庭単位で見てみましょう。
40年以上前の大昔との比較です。
2
「冷房」と「動力・照明ほか」に赤字が書いてあります。
これは何の意味があるのでしょうか。
というか、冷房がわずか2%ということに違和感を持ちます。
エアコンが相当普及しているはずの現代で、そんなに使っていないのでしょうか。

一方でそもそも「動力」とは何か、という不可思議さがありますが、どうやら自家用車などのことのようです。
「ほか」を含めて数十%もあるような分類をする自体が疑わしいのですが。

これらを考える上でもう一つ重要なデータが同ページにあります。
「わが国の主要耐久消費財などの普及率」とあるデータです。
3
乗用車は75年で40%、近年で80%くらい、つまり2倍になっています。
燃費が良くなった、エコカーが売れている、といっても市中を走るクルマをみるとまだ入れ替わっているとは言い難く、さほど燃費の良くは無い軽自動車が走っているケースも多々あります。
増えた分燃費が良くなって相殺している、とまでは考えがたいものがあります。
つまりは自動車の数が増えたことにより増加が大きいと考えるのが妥当でしょう。
これは個々の家庭が裕福になったというより、地方の過疎化、国鉄民営化を含めて公共交通の減退が進み、地方がより個々の家庭が持つ自動車に依存せざるを得ない社会になってしまったという面が大きいでしょう。

「照明ほか」というのはテレビや冷蔵庫、パソコンもこれに含まれると見られます。
このこと自体が家電製品(エアコンを除く)の消費電力などは「家庭におけるエネルギー消費」という観点からは“ほか=些細なもの”なのと語ってしまっています。

つまりこのデータによってこの冊子の意義「家庭用電化製品の省エネ性能を考える」ということを自己否定してしまっているわけなのですがどういうつもりなのでしょうか(笑)

もエアコンは75年でわずか20%足らず、近年で80%ですから4~5倍にも数が膨らんでいます。一方で冷房では1.3%から2.0%と1.5倍程度です。
それだけ「買ったはいいが使われていない」のか(まあ、実家でもそうなので否定出来ません)、よほど効率・性能が良くなったのかということでしょう。
40年前のエアコンというのはオンにすると冷房が噴き出しオフにすると止まるというレベルでエアコン(空気をコントロールする)というより単なる冷房機でした。

昨今のエアコンはまさしく空気をコントロール(制御)するにふさわしい性能・機能を備えており、もはや「冷房が贅沢」ではなく、暖房も灯油方式よりも実質コストが安いといわれるほどになってもう久しいです。(室外機の効率は外気温によるため冷寒地はまだまだというところはあります)

ところでこの円グラフをみても意義があるとは到底思えません。
仕方が無いので円グラフの数字を拾ってExcelでグラフ化してみました。
随分と見える景色が違います。
4
いかに冷房によるエネルギー消費が少ないか、ということが分かります。
ちょっとエアコンを使うと「もったいない」とか言う人がいますが、仮に倍にしても大した影響はありません。
むしろ暖房や給湯によるエネルギー消費が突出しているのがよくわかります。
給湯というのは風呂やシャワーでしょうが、ここの効率が悪いということです。
また給湯が変わっていないことが目立ちます。原理的に効率は上がらないでしょうし、節約と言っても大差ないのでしょう。
冷房を半分にするより、冬の暖房や給湯を数%ケチった方がよっぽど効率が良いのです。
また、ここに「革命」が起きると格段に数字が改善されることがわかります。

暖房については多いと言ってもこれは全国平均であり、北海道や東北の暖房量はハンパないですからそれらの数字が思いっきり数字を押し上げている可能性も考えられます。
そうするとこの意味自体がなんであろうか、という話になります。

「そのほか」については「自動車と(冷暖房を除く)家電が含まれ、それは倍加している」ということは言えます。
確かに自動車は倍増しているのです。一方でこの間の自動車の燃費の動きも非常に分かりづらいのです。つまり差し引いた家電がどうなのかということは不明瞭です。

この冊子は「家電の消費電力」を扱っているはずにも関わらず、その推移が実際は見えない情報を提供しているという不可解なものなのです。
普及率グラフを出して家電が増加していることを言いたいのでしょうが、それはミスリードです。
全体数量が倍になっても、消費電力は半分以下になっている、そんな家電はいくらでもあります。

で、結局、なにがなんだか訳が分からなくなったと思います。

何が言いたいのかと言えば「経産省はこのような意味の無いデータを吐いてどうしたいのか?」ということなのです。
そして問題なのは「こんなものが税金を使って作られている」という紛れもない事実なのです。

「よくわからないけど、節電をしないといけないってことなのかなあ?」などというミスリードを狙っているとしたらとんでもないことです。
誤った知識で混乱させ、印象操作をしているだけであり、問題ではないでしょうか。
こういう“トリック”に対する不信が「原発問題」にも繋がっているというのは、うがった見方なのでしょうか。

さらに次の7ページではもっと些細な話に展開、ミスリードをしており呆れてしまうのですがそれは次の記事に続きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年7月 | トップページ | 2017年9月 »