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2017/08/05

「省エネ性能カタログ2017」にみるエネルギー政策問題(3)

引き続き「省エネ性能カタログ」を元に話を続けていきます。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/
画像はすべて上記からの引用です。

まず目につくのはわざわざ赤線が引かれている「一般的に、視聴距離は液晶・プラズマテレビの場合、画面の高さの3~4倍程度が推奨されています。」という文字です。
これはまさに「大きなお世話」で一番好きなサイズを選べば良いのです。

この数字はブラウン管テレビ、というかいわゆるSD画質(アナログ放送やビデオ端子(いわゆる黄色端子)時代の画素が粗かった時代の話です。
これ以上近づくと画素が見えてしまうため、それ以上離れて見てね、というのがその主旨だったようです。(目が悪くなるとかいうデマもありましたが)

「でかい画面を近くで見るからいいんじゃないか」という人もいますが、全くその通りです。
どうみようが趣味嗜好の問題なのですから。

9
「明るくしたり」というのは大正解で、ちょっと明るさを変えただけで数Wもの違いが出ます。
(うちの40V/47Vのテレビの場合。片方はアクオス、片方はレグザ)
一方で「音を大きくしたり」というのは間違いです。いや、もしかしたら設計によって違うのかも知れませんが、うちのテレビでは2つとも音量の大小で電力計に全くの差が見られませんでした。
もっとも「音量0」と「これ以上でかいと近所迷惑だろ」で止めたのでそのレベル以上なら数Wの差が出るか分かりませんが。まあちょっと調整した程度でどうこうではないでしょう。
10
これはとても正しいです。
目が慣れてしまうので自分でいったん明るくしてしまうとそのままだったりしまいます。
明るさセンサーで調整させるのがなによりも楽です。
また無信号・無操作OFFはゲーム機やレコーダーなどを使っている人は有効にすると切り忘れを最小限にできて助かることが多いでしょう。
私もたまにお世話になっています。
海外ではこの機能が必須でオンにして出荷すべし、という国もあるようです。

さて、各メーカーの機種一覧をみていくと、不思議に思うことがでてきます。
それは「画素数」に「FHD」と「FHD以外」しかないのです。
そう、「4k」(かそれらしき)ものが無いのです
よく見るといわゆる4kテレビは機種にありますが、なぜか「FHD」と書かれています。
これはどういうことでしょうか。
戻って解説(表示の意味は?)を見ると
B
なるほど。FHD以上はすべて「FHD」ということらしいです。
調べると言語の意味を辿ると確かにこの定義は正しいです。
NHKが定義したのがそもそもらしく、もう何十年も前のいわゆる「ハイビジョン」が研究されていた時代のことです。
当然ながら当時は1920x1080画素表示の開発をするのすら難しく、これ以下の「ハイビジョン」つまりHDが多くありました。
そこで目標として1920x1080が掲げられ、これを超えることが出来れば、晴れて“フル”ハイビジョンを謳うという名誉に預かれたのです。

いうまでもなくこんなのはもはや昔話。
スマートフォンにすらFHDがありますし、PCモニタはFHD未満なんか特殊用途扱い、それ以上のものはゴロゴロしています。
そんななかで「それ以上はFHD」なんて言葉だと訳が分からなくなるので「QXGA」やら「WQXGA」やら様々なものが存在し、ご存じの「4k」が登場しています。
昨今はコスト面から「4k」に収束しつつあるようです。
この中で「FHD」とは1920x1080の解像度である、という暗黙の了解(業界慣例)になったというのが一般的な考えでしょう。

ところがこの冊子ではいまだに「昔話の時代」の定義を引きずっているのです。

このせいで「4kテレビ」と「FHDテレビ」が同じ土俵で比較されているという結果になっています。
全く解せない、というかこのカタログをみてもどれがFHDテレビか4kテレビか分からないので「4kテレビで一番省エネが高い奴」を探すことはこの冊子の範囲内では不可能です。

同じ土俵と言えば「機能が違うと土俵(カテゴリー)が違う」ことになっています。
その機能というのは定義されていて下記の4つのようです。
C
今時「DVDレコーダー内蔵」なんてないのにこんなものが残っています。
一方で、最近は「ネット動画対応」は普通にあります。
「ダブルチューナー」は評価されるのに「ネット動画対応」は評価されません。
また、いわゆるアンドロイドテレビの類も評価されません。

これらを悪意を持ってやっているとは思いませんが、時代への追従があまりにも遅いのはいわゆる「不作為の罪」です。

「テレビは国策」とすらされ、NHKを主導とする国策推進(ハイビジョンは典型例です)で進化を続けた一方で、それ以外は後進国となりつつあります。
「4k」や「8k」も同様です。
省エネが評価されるのは構わないことですが、このように「4k」すら別枠できちんと評価されないのはどうかと思います。
また「そのほか」の機能でなにかやろうとしてもなにかと足を引っ張っており、このような評価で優遇することもしません。

「トップランナー方式」も不透明で分かりにくい方式ではとも感じてしまいます。
海外のモニターやテレビを見てみると、この手の評価は、画面サイズから一定の式で導かれる「目標値」が設定されているものが目につきます。

また、「定格消費電力」と「年間消費電力量」の相関が不可思議な機種があります。
「定格消費電力」というのは
F
というように測定方法がかなりきっちりしており、条件も厳格に決められているようです。
この冊子を“作った”省エネ庁が決めたものではありません。
一方で「年間消費電力」というのはこの“省エネ庁”が作ったもので
G
とあります。
待機時消費電力もある程度は左右されますが、基本的に定格消費電力にほぼ比例してくるはずです。しかしどうみても無理があるものがあります
カラクリはどうやら「その条件」にあるようで
H
この「標準状態」とやらが要因では無いのか、というところに思い当たります。
既に書いたように画面の明るさでちょっと変えただけで数W変わります。
やりようによっては数十Wでも変わります。

つまり、いくら暗くしても「標準状態だ」と言い張れば何でも通るのです。

「そんなの店で見れば、バレルじゃん」というのは素人考えです。
まず「店頭モード」というのが存在し、当然ながら「下駄を履かせて」います。
とりあえず「店頭は明るいから下駄を履かせないと家で見たときと印象があわない」というのが理由はつけられそうですが、怪しいとしか思えません。
じゃあ「店頭モード」を解除すれば?と思うかも知れませんが、店頭では「特殊CASカード」(店頭専用カード)を使用するのが通例で、それを認識して自動で「店頭モード」にするのが一般になっているようです。(カードの抜き差しで管理出来るのでトラブルも減らせる)
CASは普通は抜けないようにしていますし、抜こうとすれば店員が全力で制止しますからまずバレません。(「フリーパス」らしく盗用されると大問題になるでしょう。)

取説には明るくしたいときのQ&Aを用意しているのは当然であり、それでお客さんが変えるのはこの件には無関係であると主張出来ます。

また、最近は「どれが好みですか」と最初の設定時に“並べて”選択させるものもありますから、「どれもうちとしては推奨状態です」と言い張れば問題ありません。

最後のは大分うがった見方ですが、それだけ“不明確な”条件で、(この冊子としては)購入の第一条件として提示しているわけで、罪が重いのです。

おそらくは「なるべく実際の使用状況に近い状態での消費電力(消費者の“負担”)」を締めそうとしたのでしょうが、それが曖昧さを招いている、という結果になっています。
結果として現実と乖離し、結局は消費者のための正しい情報からずれてしまっているのです。

とりわけ日本メーカー(大手)であれば「プライド」や「世間体」、「業界内同士の牽制」もあるでしょうから自制するでしょう。
しかし海外系メーカーやら店舗ブランドやらが「規則のギリギリ」をついてくるのは“グローバルスタンダード”です。

問題なのはそういうメーカーでは無くて隙だらけのルールを作っているほうです。
以前から問題は指摘されていると思うのですが、そろそろ猛省して変えないとかなりヤバイ気がしてならないのです。

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