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2017/08/05

「省エネ性能カタログ2017」にみるエネルギー政策問題(2)

引き続き「省エネ性能カタログ」を元に話を続けていきます。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/
以下の画像はすべてここからの引用です。

これの7ページから引用します。
5
なんと待機消費電力量が5%にもなるという私の感覚からは驚きの結果が出ています。
そこで出典元(上で出所)となっている「報告書概要」なるものを確認してみました。
概要にも関わらず218ページ(表紙目次含む)の大作です。
ポイントを列記すると
①給湯器・エアコン・電話機FAXなどの普通は元電源を切れない機器を含んでいること
②テレビやレコーダー等はクイック、高速モードなどの“待機”消費電力の高い状態を含んでいること(実地調査結果でこのモードの設定になっていたものが相当数あるためらしい、ただしこれは工場出荷時では切られているのが通常)
③CATV等のTA(受信機・変換器)が含まれていること
④オーディオ製品が含まれていること
これらが数値を押し上げているようです。

特に②においてはこの設定は問題が多く、通常は0.1W程度なのに、このモードにすると20W等と言った通常使用時動作とほぼ変わらない電力になるものすらあります。
つまり、「このようなモードにもし設定がなっていたらまずは切る」がポイントです。
しかしこのページにはその言及が一切ないのが大問題です。(おそらくこの報告書をきちんと読んでいないか、知識が無いのでしょう)

6

これを見て「おお、すごい、早速実践しよう」と錯覚しまいかねません。
まったく質(たち)が悪い騙し話です。
この記事の出所を見てみましょう。(図はクリックすると拡大します)
7

なんと映像機器が58.6kWh/年もあるのが前提なのです。

例えば液晶テレビで(アクオスでは普通の)0.1W/hであれば一年中待機時でも0.876kWh/年にしかなりません。
最低クラスではこの10倍である1W/hのものもありますが、それでも8.76kWh/年です。
いったいどこからこんな莫大な数字が出てきているのか不可思議です。

いえることは、2つあります。

ひとつは先に述べたように「クイックスタート」にしているものが勘定に入っているためで、これは主電源オフにすると切れるものが多く、確かに効果があります。しかしそれ以前にやるべき事は、こんなモードは切るということです。

もうひとつはいわゆるオーディオ機器が入っていると言うことです。
この場合、いわゆる“待機消費電力”が高い、またはその概念すらないものも多くあります。
これは“オーディオ”という機器は趣味嗜好の極めて高いものであり、待機消費電力低減とかいう努力は極力排除し、コストもしくは音質のどちらかを追求する二極化した世界になっています。

ほかのカテゴリーに目を移すと注目すべきは給湯器です。
給湯器には「オンオフボタン」がありますが、普段は面倒なのでオンにしたままだと思います。
これをオフにすると例えば洗面台のお湯も出なくなります。またうっかり切って風呂に入ると水しか出ません。(風呂を沸かしたときは無いですがシャワーのみは時々やります)
確かに待機電力は減らせるという点はあります。しかしデメリットが大きすぎるのです。
ところで待機電力はどれくらいなのでしょうか。給湯器の説明書らしきものには見当たりません。ほかのどこかにあるのでしょうか。

さて、これらのことは「省エネ性能カタログ」のほうから読み取れるでしょうか。
実際に出来るのは「テレビのオンオフ」ぐらいしか思いつかず、がんばって毎日こまめに主電源をテレビのところまで行って切るぐらいしか思いつかないでしょう。
説明したように、そんなもの年間で数十円にもならない(1kW以下=27円以下)のに、なんとも茶番です。
一方で“クイックスタート”を切らねば「ちょっと電源をリモコンで切った時」にも電気がダダ漏れです。こまめに主電源を切るという努力なんて文字通り桁が違うので軽く帳消ししてしまいます。

さて、「コンセントから抜く」を見てみましょう。
大きいのは「冷暖房・空調機器」です。この時も0.7Wありますからこれはエアコンのことと考えるのが妥当でしょう。

つまりこれ以外の冷暖房空調機器というと・・・何があるのでしょうか?
温風ヒーターやらは使わないときはコンセント毎抜かれるのが普通なので待機電力を考えていないものが多いそうです。
これには違和感は無く、使っているか抜いているか、が普通では無いのでしょうか。
つまり基本的に「待機状態」自体がほぼ存在しないものを「ある」と仮定して計算しているのでは?という疑いをせざるを得ません。
過大評価して(大目に見積もって)おいて「こんなに引けました」という詐欺的行為です。
こういったものの積み重ねが「5%も減った」になっているのでしょう。

もう一つ問題があるのは先にも書いた「CATV受信機」です。
今であればHDMI連動でテレビに連動してON・OFFできると思うのですがそういう機能があるものは少ない様子です。
これはコスト最優先でケーブルテレビ業者が作らせているためと思われます(パナとかNECが作っているようなので技術力はあるはずなんですがね)。
うちの実家にあるものは電源ボタンが非常にわかりづらく、実際に切ったことが無いようです。
また、切ってしまうと「アンテナ線が切れた状態」と同様ですから録画もできなくなる=クレーム続出という事情もあるのでしょう。
録画に連動して受信機がONになるというのは技術的には困難です。
要するに通常考えて「切れない機器」なのです。

本来の主旨に戻りましょう。

ここで一ページも割いて「待機消費電力」の話をしているのだから、「待機消費電力に注目して少ないものを選びましょう!!」と声高にすべきです。(もちろんコンセントを抜けば良い機器は構いません)
上で述べたように、0.1Whなら年間23.7円程ですが、1Whなら年間237円になり10年間で2370円と言えば気にする人が出てくるかもしれません。、

また、「クイックスタートは切りましょう!!」と言うべきです。
せっかくわざわざこの機能をつけたメーカーに配慮しているのかも知れませんが、省エネ、特に待機消費電力を議論するなら間違いなく“悪”です。

これらを抜きにしては「コンセントを抜こう」といったせせこましい話や小難しい話(エコ機能がどうたらとか)を並べてわかりにくく、誤った行動、茶番劇になりかねません。
テレビは“規制”のおかげで1W以下のものばかりですが、ほかの機器ではほぼ似たような機種なのに待機状態で10Wと1Wの違いぐらいのものはいくらでもあります。
年間で数千円か数百円かぐらいの差は出るのです。

これも元の情報からきちんとその意図を引用出来ていない、という問題が見えます。
表面的な情報だけ転用して、背景の意図をきちんと伝えていません。
悪く言えばこれは“情報操作”“情報捏造”とすら言えてしまいます。

さて、ようやく「省エネカタログ」の本旨である個別の機器についての話に続きます。
機器は多岐に亘るので私の一番詳しいテレビの話で説明をいれて行きます。

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