« 働き方改革?残業問題は解決できるのか | トップページ | 高齢者交通事故防止策はどこに問題があるのか »

2017/01/22

統計値になぜ騙されるのか

「嘘は言っていないが、本当のことも言っていない」という言葉がある。
最近はこういうのが多い。

国会の質疑・討論でも、質問に対して答えていない事例が多く問題である。
私が見ていると質問の主旨を念頭に置いて回答を聞くようにしている。
まあ、最初は関係ない話で始まるかも知れないからその質問の枠に入る言葉を探しながら聞いている。
なのに結果として回答がないまま、答弁が終わってしまうことが実に多いのだ。
私からしてみれば「あれ?答えは?」ということになる。
困ったことに些末議員ならともかく、総理大臣たる安倍総理に多いし、最近は各大臣も見倣っているのかどんどん悪化している。

また、論旨をすり替えている事例も多い。
その中で、統計の数字自体は間違っていないのだが、間違った適用をしていることが多いのだ。(わざとなのか無知なのかは知らないが)

そして聞く方も統計のことをよく知らないが問題である。
統計の手法はいくつもあり、それがどのような意味を持つかを考えないといけない。
グラフの一つをとっても、印象が全く違ったものになる。
言いたいこと、自分の主張を表わすグラフを作るのが普通である。

しかし、統計を信用するなということではない。

その数字自体はおそらくは間違ってはいない。
しかしそれが、どのような意味を持つのか、、それが主張に合っているのか、ねじ曲がった解釈をしていなおか、その数字は別の意味にも読み取れるのではないか等を考えることが重要なのだ。

今回はひとつだけ典型的な例を挙げておこう。

「平均」という言葉

「統計の数字」というだけでころっと騙される人は多い。
「平均」という言葉は分かっているようで分かっていないケースが多いからなおさらだ。

平均というと一般的には「全部足して、足した数で割る」ことを連想する。
そこそこ統計を勉強すると「算術平均値」「中央値」「最頻値」のどれなのか、ということを考えるようになる。(というか、高校の数学で学ぶ話である)
これは非常に重要なことである。

「平均年収」という言葉は良く出てくる。
いわゆる貧富の格差がでかくなればなるほど問題となる。
算術平均で見ていると実態の感覚と乖離していき、また現実が見えなくなっていくからである。

簡単のために10世帯で考えてみよう。
A地域では1世帯が10億円、後の9世帯は100万円とする。算術平均では約1億円である。
B地域では10世帯とも100万円とする。算術平均では100万円である。

A地域は「セレブばかりの地域」でB地域は「貧乏人ばかりの地域」に見えてしまう。
しかし実態はいうまでもなく、AもBも(一世帯を除いて)同じである。

もちろん統計としての数字は間違っていないが、本当のこと(多分議論している根拠となる実態)を表していない。

地域の年収や税収を知りたいのなら適切な統計だが、その地域の暮らしぶりを知りたいのなら統計手法の適用が間違っているのだ。

年収の実態を知る場合は中央値という平均値が採られる場合が多い。

中央値というのは、全部の値を大きさで並べ替えてその中央にある値を調べる。
大きい順に並べれば10億、100万、100万、…とならぶから、中央(5番目か6番目)は100万になる。
つまり平均値(中央値)は100万円ということになる。

実態に合っているではないか。
突出したごく一部の億万長者の存在が平均値を引き上げてしまうことがないからだ。

様々な統計で「平均」という言葉が出てくる場合は、このどちらなのか、どちらが適切なのかを考えて見ると騙されなくなる。
そして騙そうとする人がいることにきちんと気がつくことが重要なのである。

|

« 働き方改革?残業問題は解決できるのか | トップページ | 高齢者交通事故防止策はどこに問題があるのか »

「ニュース」カテゴリの記事

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47063/64794128

この記事へのトラックバック一覧です: 統計値になぜ騙されるのか:

« 働き方改革?残業問題は解決できるのか | トップページ | 高齢者交通事故防止策はどこに問題があるのか »