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2016/12/17

年金改定法案でおかしな報道・論議

賃金連動の“賃金”って何?

年金カット法案とか本質をつかない議論や報道には辟易する。
今回の顛末の意味を理解しているマスコミがあったのだろうか。
私自身もなにをいっているのかすら殆ど理解できず、ごく一部のまっとうな“識者”や“ジャーナリスト”の意見の断片を集めてようやく理解ができた。

一言で言えば「賃金連動型」である。
物価条項もあるが、物価よりも賃金の支配が大きい。

問題なのはその“賃金”って何?ってことである。
賃金に関する指標は様々なものがあり、その時々の議論に応じた都合の良い数字が示される。
“本当の”賃金でみれば下がるというのはほぼ確実であろう。
「大手企業の(労働組合に所属するいわゆる正社員のみの)平均賃金(よく都合の良い数字としてでてくるのはこの数字)」または「国家公務員の平均賃金」であればおそらく下がることはないだろう。
つまり“賃金”なるものの指標を実際にどこに置くかによって上がるか下がるかが変わるのだ。
だからこの観点で言うのなら、指標をどうするかという議論は非常に重要なのにも関わらず、一切その話が出てこない。

本当は「賃金」連動ではない

結論を先に言うと「賃金」ではなく、直接的には「年金保険料の総収入」のようだ。
ただこの年金保険料は賃金に連動するから、間接的には賃金連動であるという理屈のようだ。
この辺も一部の議員含めておかしなことを言う人もいるので混乱するのだ。

年金方式の根本がいつの間にか変わっている

そもそもこの話の前提としては、一つ押さえておかないといけない話がある。
今回の改正以前に、年金に関する国民への説明があまりに足りず、“勘違い”している人が多数いるようだ。

過去の年金は積み立て方式といって、自分の代わりに年金が積み立て貯金・運用をしてくれていてそれを定年=満期になったら今度はそれを崩す形で月々のお金を貰う方式(少なくとも制度としては)だった。
この話が前提だと、年金の運用で損した得したと一喜一憂しなければならない。

ところがいつの間にかこの方式を転換した。(識者に言わせれば「常識」らしいが私のような一般人にはいつの間にかなのである)
なぜ転換となったかと言えば、過去には僅かな支払いで、とてもそれでは積み上がっていない額の年金を支払う時代になってしまったからだ。
年金初期では月々100円程度の掛け金でという時代もあったそうだ。
いくらインフレ・高度成長の時と時代が違うと言っても、いくら高金利時代があったとしても、それはいくらなんでも足りなくなるのは明白である。
常識に考えて、月々最低限暮らせるお金の、数分の1程度は金額を積み立てないと足りなくなるだろう。
つまり“破綻すべくして破綻した”といえる。
これを民間でやったら“詐欺”である。
ではなぜ“詐欺”にならない、訴えられないかと言えば、払えているからである。

今の年金方式

いつのまにやら「年金を徴収して、それを受給者に分配する。不足すれば税金を投入する」という方式に変えたのである。
この説明をきちんと受けたことのある(そういう覚えがある)人はどれだけいるのだろうか。
一般的な年金の説明では上記の積み立て方式をなんとなく行う人が多いので、なんとなくおかしいなと重いながらも、そう思い込んでいるだけではないのだろうか。

本来は徴収と分配はトントンでなければならない。
しかし前述のように老人が“増え”て、労働者が“減った”ので破綻寸前である。
でも、この方式は税金部分が耐えきれなくならない限りは破綻のしようがない。
そしてこの税金部分を「福祉のための消費税」と言葉の上でごまかしたのである。

さらに将来的に更に厳しくなるので消費税は上げなくてはならない、と言っているのである。
根本のごまかしを言わないでいるから、そこから発展した理屈を理解できないために殆どの人が「なんとなく納得して(ごまかされて)」いるだけである。

そもそも年金は年金で解決する問題であり、年金は“福祉”ではない。
もし税金で賄うのは何ら問題は無く、福祉だというのなら掛け金(保険料)も税金と同様に強制徴集にすべきである。

税金投入によるごまかしの限界

ところが、税金投入自体も耐えられなくなってきている。
老人が増えすぎたから、とごまかす人もいるが、その人がきちんと国に貯金をしていたらそれに見合う額が貯金残高としてあるはずではないか。

そして頼みの綱だったはずの消費税も景気への悪影響が見過ごせないと流石に判って二度も見送りしている。
一回目は“景気条項”があったので見送ってもなんら問題は無かったが、安倍政権では二回目はわざわざ見栄を張ってその条項を外したので解散選挙までして(何十億というお金を浪費してまで)見送りを正当化するという失態をしている。

消費税に関しては、多分次は安倍政権末期の“上げ逃げ”があるだろう。
「安倍政権下では景気が上向いたが、安倍政権が終わってからはまた景気が下がった」という話を作るには最適な手法である。

徴収分はどうなっているのか

そうなれば本来は徴集分に手をつけなければならない。
実は年金という一括りでいうが、国民年金と厚生年金の2つがある。
後者はいわゆる会社員(源泉徴収される人々)のためのものであり、それ故にきちんと収支が収まっている。
つまり仮に厚生年金だけなら何ら問題は無い。
(ただし徴収額は年々上がっており、賃金上昇率を上回る。つまり可処分所得は減っているのが実態なのだ。国民感覚で賃金が上がっていないのはこれも原因だろう)

問題なのは国民年金の方なのだ。
未納率が高いという問題もあるし、いわゆる扶養者、配偶者の扱いもある。
“その他”扱いなので扱いが難しいという本質的なところもある。
ともあれ、将来受給者となる人に対して、徴収している額や人数が明らかに足りないという問題があるのだ。
根本的な問題はここなのだが、当然、とても難しい問題なので“先送り”である。

では支出を減らそうということ

ではどうするかといえば「入ってくるお金が下がったら、出すお金も減らす」というシンプルな話である。
政治的に(税金的問題で)下げると決めれば反感が凄く出る。
だから賃金に責任転嫁をすると同時に“自動的に下がる”ようにするのである。

年金徴収額は税金と同じように、給与(賃金)が上がれば徴収額が上がり、下がれば徴収額が下がる。
これが「賃金連動」という意味合いである。

本当は賃金連動でさえないのだが、判りやすくするために賃金連動という言葉を使ってさらに判りづらくしている。

さて、そういう深慮はせずに、知らんぷりしてストレートに捉えてやるのも手である。

いくら総理大臣や各大臣が「賃金が上がった」などと言い張っても、その年の「年金が下がった」らそれは「賃金が下がった」といってやればよい。
ただし「賃金が上がった」と吹聴している安倍総理はもう嘘はつけないねえ、ざまあ、というのは間違っている。
これが実施されるのは3~4年後である。つまり安倍総理はもういないのだ。
実はこれも「時限爆弾」なのである。

ちなみに10年ほど遡って今回の方式で試算すると年金額は毎年下がる一方なんだそうだ。
つまり「賃金が上がっている」というのは大嘘で論理的整合がとれていないのである。

ちなみに現在の“積立金”は?

年金基金運用団体が株で儲けたの損したの論議も、もはや馬鹿馬鹿しい状態なのだ。
その積立金で賄っていた時代ならまだ問題とすべきだが、もはや年間支払総額の半分にも満たない。
いってみれば収入を断たれたら、半年待たずに貯金が尽きてアウトという状態なのだ。
この現実も知っていないと今回の論議の意味が分からないだろう。

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