« 年金改定法案でおかしな報道・論議 | トップページ | 「やめられない理由 原子力発電所」 »

2016/12/18

原子力事業のツケを国民に転嫁へ

リンク: 原子力事業の弊害さらに増大、政府と東京電力の責任を国民に転嫁へ (1/2) - スマートジャパン.

一部マスコミでも取り上げられたが、原発事故費用を国民に押しつける方策が出された。

問題なのはこの方策が、経済産業省の内部で勝手に決まり、閣議決定されることである(福島の復興というオブラートに隠してやるらしい)。
内部というのは非公開という意味である。(ラジオで河野太郎衆院議員が言っていた)

 合わせて22兆円になるが、賠償費用は新電力にも0.24兆円を負担させる方針だ。この点に関して、委員会が策定した骨子案では次のように説明している。

  • 賠償に係る資金は、事故事業者と原子力事業者の負担金から充当されるという原則は変えない。ただし、賠償制度は2011年に機構法(原子力損害賠償・廃炉等支援機構法)で追加措置。福島事故への対応に関しては準備不足。この制度不備を反省しつつ、電力の全需要家から公平回収する仕組みを検討する。

全くおかしな日本語である。国語のテストであれば×であろう。
こんな日本語を日本省庁のトップである経産相のエリート官僚が書いていると思うと、日本の教育程度の低さを大きく危惧してしまう。

「事故事業者と原子力事業者の準備不足」の準備不足であり、負担が少なかったことが制度不備であるから、不足とならないようにこの両事業者による負担(適切な積み立て、もしくは保険でも良い)を行う、とするのが正しく論理的な日本語である。
「電力の全需要家」が唐突に出てきており、意味不明である。
そして原発の発電コストとして加算されるのがごく自然な形である。

賠償制度の不備を言うのであれば、それを5年近くも放置してきた、経済産業省や行政の長たる安倍政権の責任である。
その点では税金投入という文脈であればまだしも、全需要家はおかしい。
なお、税金投入時には記事にあるように国民への謝罪は大前提である。

国民の負担増加は福島第一原子力発電所の事故費用にとどまらない。原子力発電所の廃炉費用に関しては、電力会社(原子力事業者)が電気料金で回収する制度になっている(図2)。従来は運転開始から60年以上で廃炉する規定を設けていたが、福島の事故後に原則40年以上に短縮した。そのために発電設備の資産償却と廃炉に必要な解体引当金が不足する。

これも同じく託送料金という形で国民全体の負担にしようとしているらしい。
そもそも予定通りでも不足しているという実態が露見したが、そこはきちんと分別されるのだろうか。

私が原発再稼働反対なのは、これらのスキームがこのようにまだきちんと決まっていないままだったことも1つである。
やっと出てきてこのような“結論”とは呆れるしかない。

問題なのはただでさえ高い託送料金が、このような本来の主旨ではないコストを転嫁されて高くなることである。
託送というのはコストカットしやすい部分であり、ジリジリと設備(メンテナンス)品質を落し、送電ストップなどの事故に繋がる。
それは社会負担となるのである。

うがった見方をすれば、これによって「やっぱり停電が多くなったじゃないか、発送電分離は間違いだったんだよ」とか言い出す輩が出てくることがおきやすくなる。
発送電分離というのは日本では初めての試みであり、諸外国でもマイナス面も認められているのだから、マイナス要素は極力排除してスタートすべきである。
それなのに外部責任問題を突っ込んでくること自体の神経を疑うのである。

私は原発という発電方式自体をさほど否定はしていない。
将来性に関して、いわゆる再生可能エネルギーより劣るが、化石燃料よりはましと思っているのだ。
日本という自然災害が障害になりやすく、燃料自体も結局外国頼み、日本全体の地表を見れば工業国よりは農業国、自然環境に敏感な方、科学的リテラシーは低いが意識は高い、等々の特性を持つ日本ではコスト的に見合わないのではないか、と思っているだけなのである。

しかし、このような奇妙奇天烈な制度を設計して理念的、論理的に全体をぶち壊すようなことをすれば、原発自体を大きく恨まざるを得ないのだ。
そもそも原発関係にはおかしな制度がたくさんあり、それが私の原発に対するマイナス評価を顕著にしている要因なのである。

今回の件で、さらにマイナス評価を更に高める、醜態の上塗りをするのかという感しか無い。

|

« 年金改定法案でおかしな報道・論議 | トップページ | 「やめられない理由 原子力発電所」 »

「原発問題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47063/64637085

この記事へのトラックバック一覧です: 原子力事業のツケを国民に転嫁へ:

« 年金改定法案でおかしな報道・論議 | トップページ | 「やめられない理由 原子力発電所」 »