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2016/08/18

原発安全基準の地震規模予測問題

川内に続き、伊方でも原発稼働が始まった。
みんなフクシマ原発事故の惨状を忘れてしまったのだろうか。
マスコミの扱いも小さい。
関心が少ないか、もう原発関係はやって欲しくないのだろうか。
そのことが私は一番悲しいし憤りを感じる。

まったく原発問題は片付いていないし、なんの反省もされていない。
「廃炉ビジネス」なる新たな産業が出来たと喜んでいる連中が発生したのが腹立たしい。
問題なのはそれが“新技術”と称して税金にタカり始めているのが大問題なのだ。

そして原因を追及し問題を解決しなければまた同じ事は起こる。
感情論ではない。ごく当然のことである。

これから書く話の発端はテレビで取り上げられていたことだが、なんの感情も湧かなかった。
言ってみれば「諦観」である。ああ、やっぱりその程度だったかというところである。

想定地震の基本的考え方問題

私は知らなかったのだが、「原発安全設計の想定地震」というのは“その場所”での最大想定なのだそうだ。

てっきりせめて日本の、可能ならば世界で最大の地震(当然記録のある、になるが)を想定しての話だと思っていた。
「これで大丈夫?」というシステムでも通っていて不思議に思っていたのだが、これを聞いて「なるほど」と思わざるを得ない。

そもそも「設備が活断層の直下」であるかどうかで揉めているのも私には奇妙に思えていた。
論点がそこなのか?
直下でなくても、少なくとも周辺数百メートルぐらいはヒドい惨状になるのでは?
直感的(科学常識的)にそうなることは想像に難くない。

そして4ヶ月前に“現実が”熊本で起きてしまった。
多くの人はテレビ映像でだがその惨状を目の辺りにしているはずだ。
断層による直下型地震。
熊本市内も酷かったが、震源の上にあった町は想像を絶する惨状であった。

原発であれば、施設全体の下レベルならアウトではないのか。
あの地域と原発の敷地内を取り替えて、その惨状を想像してみれば良い。
私には背筋が凍る思いだ。そういう想像力がないのか。
もっと心配をするのなら敷地内付近に活断層があったらアウトではないのか。

地震学は未だ浅い

地震学というのはまだ日が浅い。
別に否定しているわけではない。
そもそも地震を学問・科学の対象にするのは難しいのは容易に想像がつく。

科学の一つという観点でも、科学の根本である、実験や事実測定が圧倒的に足りない。
なにせ地中深く、掘りづらい固い岩盤の下、何万℃のマグマの動きが関係している。
表面的に見えるものでも断層といった過去の結果、火山の動き、年に数cm程度も動かないプレートの動き等から推定するのである。
震源も遠洋レベルの深い海底であることも多い。
現場に行って調べると簡単に言えても途方もない機材や人力等々、要するにお金が必要である。

最近の測定技術や解析能力の向上によってようやく実現することがある。
未だに日々進歩している。
まだまだこれからの学問であると言うことだ。

巨大地震となると数十年に一度のレベルであるから、研究者が一生に数度程度である。
場合によっては“古文書”を探るような話になる。
東日本大震災では千年も前に同様な記録があったことが大きく話題になった。
つまり千年に一度の大地震が、フクシマ原発事故の要因になったというレベルなのだ。

科学のもう一つの根本である「モデルづくり」もまだブラックボックス部分が多い。
まだまだ様々な仮説を立てて実証している段階だろう。

地震警報というのは科学的知見で地震を予知して鳴らしているのではない。
考え方は火災報知器と同じ話で、ある程度の火災(ぼやともいうが)になって始めて警告が鳴る。
震源から「あの場所」に揺れが届く(伝わる)までは秒単位のタイムラグがあり、一方、電気・電波なら一瞬なので、震源(近く)で発生した地震を検出し、その情報を瞬時に警報として届けるという考えである。

実際は地震の揺れではなく震源から電波(電気的パルス)が飛んでくるためそれを察知する方が一般のようである。
また、誰かの承認を得てから発するわけでもなく、機械的に瞬時に発する仕掛けになっている。
先の「東京震度7の誤報」も、「雷を誤検出したから」というのはそのためと考えられる。

地震想定方法の科学的誤り発見

このようなまだ日が浅い学問であるから、予知という自体が難しいし、日々覆ったりする。
それはある意味当然のことだ。

そこで今回の熊本地震の話になる。

日本全地域で地震予想がされる昨今、当然ながら熊本でも行われていた。
様々な学者が様々な方法(仮説)で行われていたのだろう。
その中で「活断層の規模から最大地震規模を予想する」方法があるそうだ。
残念ながら、その予想よりも大きな地震が起きてしまった。
最大で震度7という驚くべき震度を記録したのは記憶に新しい。

では他の地震で当たったことはないの?と思うかも知れない。
残念ながらこの考え方ができてからの初めての大きな直下型地震が熊本地震ということとらしい。
このことからも地震学、特にこの方法が未熟であるといえる。
厳しくいえばこの方法自体が「仮説」でしかなく、最初の実証で「失敗」したという言い方にもなる。
おそらく計算手法自体か係数が修正されるのが科学として当然であろう。

問題なのは、現在の「科学的見地に基づいた原発安全基準」の「最大地震予測」がこの方法と同じ考えで行われているらしいことだ。
繰り返しになるが、その地域で最大起こりえると予測する地震に耐えられれば基準クリアである。
その基準自体があの熊本地震で正確さを実証できなかった(過小評価となった)のである。

このことが元規制委員会でこの地震関係の責任者であった方から「問題では無いか」という提言がなされたという。
もちろん規制委員会でも論議されたらしいが「現状で問題なし」ということらしい。
何が問題ないのか非科学的な理由としか私には全く理解できないがそういう結論らしい。
なんなのだろうか。

話がそれるが、実はこの地震予想というやつは他の災害予測と同じく色々と経済的に問題があるそうだ。
うっかり大きな値を出すとその辺りの時価が下がってしまって“損害問題”になるという。
それはそうだ。
例えば「最大で震度7が起こりえる」なんて予想を出したら誰がそこに住むだろうか。
当然ながら公表される値は「控えめ」になるだろう。

この点からしても、正確な値を出せば出せすほど、良いというものでもない。
社会から必ずしも歓迎されるものでも無い。
むしろ少なめに出る方を信じたくなってしまう。
これは科学者としてはとてもつらいジレンマであると察する。

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