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2016/08/19

問題点が多すぎる環境省の「COOL CHOICE」

環境省の「COOL CHOICE」が酷い。
「家庭ででききる節電アクション」なるものがあるのだが、酷い。
https://funtoshare.env.go.jp/setsuden/home/

賛同できる部分もあるが、あちこちに技術的・科学的に問題が散見される。
これではとてもではないが「賛同」しかねる。
7つのポイントで分類しているのでそれに沿って指摘していこう。

環境省にはもっと真面目に取り組んでほしいものだ。

①こまめにスイッチオフ!

◎エアコン:「冷房・暖房は必要な時だけつけよう」
「外出する場合は早めに切る、長時間使わないときはプラグを抜く。」
長時間というのは長期不在(数日レベル以上)という前提だろう。
それならまあ、これは良い。
問題は「必要な時だけつける」くだりである。
暑くなったら、寒くなったらこまめにつけたり消したりするのは非効率である。
まず起動時に消費電力が高くなる。また、希望温度との温度差が大きくなってから、人間の都合でオンオフされるのが一番困る。

エアコンの気持ちになってみよう。
必要な時だけ呼ばれて常に全力で動けと言われたらそれが一番つらい。
楽なのは常に普通に電気をいれておいてもらい、温度をエアコンが自分で監視して、自分のペースで冷暖房することだ。それがトータルで消費電力量が少なくて済む。
昔は全力で動くか、止まるしか能がなかったが、今は違うのだ。

◎テレビ:見ないテレビはこまめに消す
まあ、当り前だ。だらだらつけているのはそれ自体がムダ。

「リモコン待ち状態でも消費するので消すときは主電源から」はミスリードといえる。
確かに消費するが、テレビによっては「待機消費電力」は0.1W以下である。
通常使用時で50Wとすれば500倍の開きがある。一日8時間使うとしても、一分短くすれば良いだけの話だ。
主電源でなくても例えばトイレに立つだけでもリモコンで切る習慣がつけばその方がはるかに効果が高い。

ただし昨今の傾向として待機消費電力がだらだらと上がっている。
設計技術力低下に伴う設計性能の低い製品やコストダウン機種が増えているせいなのだろう。
特に海外メーカーは特に、各社はもっと真面目に取り組んでほしいものである。
もちろん買う方ももっと気を遣うべきである。
まあ、リモコンで切るだけでも高い効果があると考えよう。

また、主電源を切るデメリットとして電子番組表が消えてしまうことが挙げられる。
テレビに録画機能がついているものもあるが、番組表がないと録画ができない機種が殆どだ。
せっかく録画予約をしていても主電源を切ってしまったら予約録画されない。

夜中だけ主電源を切った場合は、主電源を入れた後にリモコンで電源を切った時、電子番組表を取得するために電気を食ってしまう。
それは夜中に節約した電気代を軽く帳消しにしてしまう。
ざっくり計算すれば50時間程度で釣り合う、つまり約4日以上待機状態を続けるなら主電源を切った方が得になる、といえる。

要するに主電源を切るとメリットが殆ど無いばかりかつまらない面倒(気を遣うこと)が増えるのである。

②待機電力を削減!

どういう数字なのか意味不明だが、待機時消費電力量は全体の6%という。
家庭内で使う電気機器で、なおかつ「待機時消費電力」という考えがあるものは少ない。
そしてコンセントを抜いて良いものは意外と数が少ない。

まずエアコンは切れない。
コンセントは高い位置にあるものが多く頻繁な抜き差しは危険である。

テレビはどうか。一日サイクルで考え、8時間使ったとして
50W×8+0.1w×(24-8)=400Wh+1.6Wh
1.6Wh÷(400Wh+1.6Wh)=0.3%と6%には程遠い。

仮に24時間365日、ずっと待機時としよう。
0.1×24×365=876Wh=0.875kWh

一方で例示しているのは285kWhであり、言葉通り全くの桁違いだ。

むしろ多いのはレコーダーかもしれない(環境省の「ビデオデッキ」とはレトロな言い方だ・・・)
これは時計などの表示をさせていると数W程度食っているので、本当にそれを時計として使っている以外は消しておいた方が良い。

また『「オートOFF機能」を使う』は「待機時消費電力を減らす対策」」としてはおかしいが、テレビ(一部レコーダーもある)の「無信号オフ」「無操作オフ」等は入れておいて損は無いだろう。これは後述のゲーム機問題にも繋がる。

ところで合わない数字のカラクリだが大きいのはエアコンと思われる。
また「電気便座」や「電気ポッド」を待機状態と勘定しているのだと思われる。
そうでもないとこの大きな差は説明できない。
節約が困難なものを入れて大きく数字を見せ、誤差レベルのいいところの節約を迫るのはまったく理にかなっていない。
ミスリードであると断罪せざるを得ない。

③エアコンで節電!

◎「カーテンで窓からの熱の出入りを防ごう」
確かにその通りであり、一定の効果はある。
ただし夏に、より大きな効果があるのは、家の中のカーテンよりも、外の“カーテン”である。

ひところ流行った「グリーンカーテン」がその一つであるが、あれは植物であるが故に面倒だ。
ある程度の敷地があって、地面があって、勝手に生えて勝手に枯れて勝手に土に帰る、そして落ちた種が翌年又芽を出す、のなら良いのだが、集合住宅や狭い住居では面倒この上ない。
というか私自身やってみて「これは無理だわ」と諦めた。

もっと簡単な手段がある。
外に日よけをつけるのだ。
日傘や帽子だけでもかなりの暑さ対策になるのと同じ話である。
日陰に入るだけでもひんやりするではないか。

実際に実験したが、昔からの「すだれ」は思った以上に効果がある。
それでも直射日光が気になるのなら、レジャーシートやビニールカーテン等を外につるす。
背の高い物干し台などを流用しても良いだろう。
窓はもちろんのこと、壁に直射日光を当てないで何かで遮るというのは非常に効果がある。

実際に測ってみたのだが、アルミサッシのフレーム(枠)に直射日光が当たるとかなり高熱になる(触ってみただけでも判るだろう)。
夏場で朝8時前ですら直射日光が当たると50℃以上もなる。
それが直射日光を遮るだけで35℃にもならない。(この時、室内は27℃、外気は32℃程度)
室内カーテンでもこれを緩和できるが、50℃の“物体”が室内にあることには変わりはない。
もっと根本的に押さえた方が効率的だ。

根本的対策としては断熱住宅仕様にすることだ。
窓を二重ガラス+断熱フレームにするととても効果がある。
可能なら二重窓にすると更に良い。
壁や屋根から伝わってくる冬の冷気や夏の熱気を断熱加工で遮るのが効果が高い。

④冷蔵庫で節電!

◎『設定温度はできるだけ夏は「中」、冬は「弱」に設定しましょう。』

意味が分からない。
確かに消費電力は下がるのかも知れないが、それが「節電」なのか?
「ただし食品の傷みにはご注意下さい」などと逃げを打っているのが無責任である。

設定温度をするのは本来は食品に合わせて温度設定を変えるものである。
つまり中に入れるもの、実情では詰め込み具合に応じて設定するものである。

冷蔵庫というのは購入時に電力を最も考慮すべき家電である。
大きいほどに消費電力が低いという事実を知らない人が意外と多い。
逆に言えば小さいほど消費電力が高い傾向にある。
(缶クーラーレベルになるとまた話は別だが)

でかいほどに断熱をしっかりできるし、効率よく設計しやすいのかもしれない。
また、同じ量を保管するとして、詰め込み状態になりにくいのでその点でも効率的だろう。
ただし、これは閉めっぱなしの想定であって、大きいと扉も大きいので開けたときに外部に流出する冷気が多くなり、実測でどうなのかは微妙だ。

⑤照明で節電!

◎「蛍光ランプは頻繁に点滅させると寿命が縮む」
昔聞いた話では「一回つけるとだいたい5分相当くらい寿命が減る」らしい。

こまめといったってパチパチやって遊ぶものでもなければまあ問題ないだろう。
退室時には電気を消す、これは既に習慣化している人も多いのではないか。

リモコン機能の待機消費電力の削減が書かれているが、待機時1Wという。
驚くほど高い電力だ。
いい加減な設計のものが多いのだな、と悪い意味で感心してしまう。
こういうところにきっちりと「規制・指導・誘導」をすべきなのではないだろうか。

「省エネ型の」と書いているが、調光機能のある照明は確かに効果が高い。
60Wの照明で、10%落とせれば6Wも落ちる。
明るさというのは意外と順応してしまうので、こういう微妙に落すことは効果が高い。

つけた瞬間はぱっと明るくするが、じわじわと明るさを落す機能をつけた照明器具もある。
LED照明は、実は蛍光灯型よりもいうほど省エネでもないのだが、こういった機能が充実している。

また調色機能が可能なものは、これも省エネに繋がる。
暖色と寒色という言葉がある。
人間は周囲の色によって体感温度が変わる、要は勘違いするのである。
つまり夏場は寒色、冬場は暖色にすれば冷暖房を弱めにできる。
また、暖色は眠気を誘う。夜早く寝て朝早く起きれば根本的に照明時間を減らせる。

これは早寝早起きは「朝チャレ」として推奨されているが、なかなかできないのが実情である。
なぜならなかなか夜寝付けないからだろう。自然に眠くなればこれほど楽なものは無い。

⑥テレビで節電!

この部分は突っ込みどころが多すぎて閉口する。
どれだけ無知なのだろうか。
ブラウン管時代の古い“言い伝えを伝承”しているのだろうか。

主電源OFFについては既に述べたので省略する。

「ゲームが終わったら」はその通りだが忘れ対策として「無信号オフ」を薦めるべきだ。
ゲーム機を切ったら信号がなくなるのでしばらくするとテレビも切れる。
少なくともずっと電源が入ったままということは避けられる。

それにしてもなぜか日本のテレビというのは信号がなくなると画面が真っ暗なままなのが不思議だ。
パソコンのモニターや海外のテレビは「無信号です」表示が出るものも多い。
(モニターだと無信号表示は一瞬ですぐに電源が切れるものが多い)
おそらく慣習なのだと思うが、つまらない慣習だと思う。

画面掃除についても、ブラウン管やプラズマなら画面が帯電して(静電気が発生して)ホコリを吸い付けるからこまめな掃除は重要だろう。
液晶は普通に窓ガラスよりも汚れない。
よほどホコリっぽい部屋にあるのならともかく、軽くなでるだけで十分だ。
一週間なんて私にはまったく考えられない。

音量については事実無根としか言いようが無い。
想像で書いたのだろうか。
もっとも私自身も自信は持てなかったので実際に測ってみた。
ほぼ無音状態と、ご近所迷惑レベルまで上げてみたが、電力計数値の違いは測定不能レベルである。(テレビ自体の消費電力はだいたい100W以下程度)
「必要以上に大きくしない」レベルで省エネに有為な効果があるとは思えない。
ちなみにシャープと東芝のテレビの2台で測ってみての結果である。
他の会社のものは違いがあるのだろうか。到底そうは思えない。

なお、とても効果があるのが「画面を明るくしすぎないように」である。
これは電力計で測っても十分に違いが分かる。
たいがいは周囲の明るさに適応して画面の明るさを制御する仕掛けがついている(初期設定でそうなっている)のだが、ちょっと体で影になるレベルでも、電力計で数W変わる。

テレビに直射日光を当てるなどは省エネの観点でも論外である。
照明をちょっと落したり、カーテンをかけて部屋の明るさを落すだけでも、テレビにとっては省エネ効果が高いといえる。

⑦他にもこんなところで節電!

◎炊飯器の保温
私は保温機能を使ったことはない。(一時間程度なら別である)
だいたい乾燥するし、糠臭さが強まる。
上等の炊飯器なら大丈夫なのかもしれないがうちのは比較的安物である。
食味の問題で御飯専用のトレイを買ってきてそれに入れて冷凍している。
思ったよりもおいしさを保っている。すくなくとも保温よりはおいしい。

◎電気ポット
「保温を控えましょう」ってそれなら電気ポットの意味が無いのでは?
意味不明である。

私はもはや電気ポットは使っていない。
少なくとも電気ポットの水を一日に一度以上足すぐらい使うのでもないと不要と思う。
では何かといえば、私が使っているのは電気ケトルである。
コップ一杯程度なら一分もあれば沸騰までいく。
衛生面でも良いし、ムダが少ないのではと思う。
一時的な暮らしで電子レンジが既にあるのなら、電子レンジで湯を沸かしても良いだろう。
沸騰よりも80度くらいのお湯の方がたいがいの飲み物はおいしい。

◎食器洗浄機
乾燥機能は控える、と書いているが、確かに私自身乾燥機能は使っていない。
洗浄直後はかなり高温になっているので、扉を開けていればすぐに乾燥する。
乾燥機はただの電気のムダではないかとすら思っている。

なぜこれらが問題なのか

問題なのはミスリード、事実無根、論理的、科学的、統計的に不可解、論旨のすり替えが目立つことである。
環境省などどうでもいい役所とは言えないからこその苦言である。

一つは原発に大きく関わる官庁であることである。
原発は放射性物質という健康被害が大きい特定危険物を扱う一方で、二酸化炭素排出という点で優良面も持つ。
環境省マターである面もあり、非科学的・非論理的な言動は致命的ですらある。

今回の話は「たかが省エネ」なのでぶっちゃけどうでもいいことである。
しかし、原発論議においてこのようないい加減な論理展開や説明、ミスリードを行うことはまったく許容できないし、受け入れられない。

これから環境問題というのは、少なくとも小さくはならない。
このようないい加減なことでは困るのである。

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