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2015/01/12

今の値上げはアベノミクスの成果なのに

最近なぜかマスコミが値上げラッシュとか騒いでいる。
私にはまったく理解できない。
アベノミクスを是とするのならば、問題どころか、相次ぐ値上げはアベノミクスの効果として期待されている現象の一つであり、大いに歓迎すべきことであり、肯定的な報道をしないとおかしな話のはずである。

もちろん従来より“安倍政権批判・アベノミクス否定”の姿勢の報道番組であれば「ほらみたことか、値上げラッシュが来たぞ」で構わないが、普段はアベノミクス肯定で値上げ否定はおかしい。

その話も含めて、選挙がなされて年が明けたところで、ここまでのアベノミクスの動向とそれへの報道を振り返ってみたいと思う。

政権発足後の景気動向

円安誘導、多額の公共事業復活が株価上昇を引き起こし、初期に一定の効果を上げたのは事実だ。
逆に言えばそれだけ。
円安・公共事業は多くの人がいうように「カンフル剤」であり、誰が打っても効く。
しかしそれは長続きしないでマイナス成長に戻ってしまう。
だからカンフル剤が効いているうちに根本的治療、つまり第三の矢の成長戦略を二年のうちにやっておかなければならなかった。

実際に安倍政権後のGDP動向をみればわかるのだが、テレビに出る殆どの人がおかしな解説をしているのには驚く。
グラフの推移をみれば明らかのはずだが、不可思議な読み方をする人が殆どだ。

政権交代後はぐんと景気が良くなっているのだが、そこから下がり、2013年の10~12月期で既にマイナスに落ち込んでいる。
消費税なんかまだ見えない時点で既にマイナスに落込んでいるのだ。
実際には第一・第二の矢の効果は二年すら持たなかった訳だ。
そこをなぜか見て見ぬ振りをして飛ばし、消費税前後の話にもっていくのが共通するパターンだ。

2014年1月~3月は駆け込み需要で大幅プラス、4月~6月はその反動で大幅マイナスとなることは誰だって予想がつく。
問題はその合計(平均)がマイナスとなったことだ。
消費税前の買いだめ、つまり余分にすら買うのはずなのに、合計でプラスにならない。
このことも深刻な事態であるはずだ。

なぜかこのこともスルーされる。
仮に消費税が導入されていなかったとすれば、2014年1月~3月および4月~6月ともにマイナスで推移したと考えるのが自然である。
7月~9月もマイナスとなったし、10月~12月もそうなるだろう。
先入観なしでグラフの推移としてみればそれがごく自然な推移である。

むしろそれを反転させるのは大変なことであり、相当頑張らないといけない。
もう第1・第2の矢は効かなくなっているのでいよいよ第3の矢をやらなければ、事態が好転する道理が全くない。
「今年はなにがなんでもやる」とか言っているらしいが、やらなければ経済優先内閣として明確にアウトだから「当り前だ、つか、おせえよ」といったところだ。

本当にバカなのか見ぬフリなのか

馬鹿なマスコミ(評論家)は“消費税がアベノミクスの腰を折った”とか、言うに事欠いて何を言い出すのか、である。
“普通”にすらグラフを読まないで何を言っても説得力が無い。

だいたい安倍政権が発足する以前の民主党時代に消費税の増税は決まっていたのだから、それを折り込み済みでのアベノミクスの筈である。

なぜか安倍総理の周辺ですら2回目の消費税を決める時点の景気動向は「最低でもプラス」という楽観論が支配していたらしい。
本当だとすればそれこそが致命的問題だ。

安倍総理の周囲(ブレーンだか官僚だかは知らないが)による景気動向(予測)の判断が大きく読みを外したということが何よりも問題である、ということだ。
景気対策というものは実施してから効果が出るまで時間がかかる。
つまり的確に先読みをして先手を打つ必要がある。

景気動向の読みを外したことは経済を一番に掲げる安倍政権にとって大問題と言わざるを得ない。

円安続行

もう一つの懸念はさらなる金融緩和発動(円安誘導)だ。
円安・円高には双方ともメリットデメリットがあるからどちらがいいとは一概に言えない。
しかし過剰な円安・円高は日本の経済・産業構造を蝕む。

諸説あるが概ねの意見では百円前後がバランスが良い説のようだ。
私もそれには同意する。

自民党末期から民主党時代に至る八十円台の持続や七十円台突入は輸出企業にとっては悪夢でしか無い。
どうやっても利益が出ないし、諸外国の企業と闘うことは不可能だ。
だからこそ殆どの企業の工場が海外に移転してしまった。
結果として国内企業の製品すらどんどん「輸入品」となってしまった。

結果として「原材料の費用の高騰」以前に国内で売る国内企業製品自体の価格が自動的に高騰している。
しかし国内企業が自分の作った製品です、として売っているものを安易に「円安だから値段を上げます」なんてできるわけが無い。

当然そのしわ寄せはそれらへの部品を作る国内中小企業にも向けられる。
もちろん彼らの工場もその製品を作っている企業に寄り添って海外に出て行っている。
回り回って日本の本社の経営を圧迫することになるのは大手中小関係ない。

こんな状態で「円安で輸出が増えて儲かる」なんてことは起きるわけが無い。
実際に「輸出額は増えた」が「輸出数は変わらない」そうである。
円安分の収入は増えただけで、成長に必要な産業構造は変わっていない。

そこに更なる円安を進めればデメリットである国民負担が増すばかりである。

インフレになるのか

日銀黒田総裁は「物価上昇が続くように金融緩和を続ける」と言っている。
確かに円安を更に強行すれば物価が上がるだろう。
しかしそれは“インフレ”となるのだろうか。

円安で燃料・原料・製品の値段が上がり、それに連動して値段を上げても企業の儲けが増える訳ではない。
いや、連動なんかできるわけがなく利益を圧縮しながら仕方ない分をあげているのが実態だろう。

利益を呑んで親会社の要求やお客様の要望に応えている、そんな話ばかりだ。
それでは社員の給与を上げる方向にはならない、むしろ遠ざかっているのでは無いか。
給与が増えなければ“インフレ”は成立しない。

本来のインフレは給料が増えるのでものが少なくなり価格が上がる、という好循環である。
価格が上がるというか、ぎりぎりまで削り込んで下げる必要は減るので結果として多少上げて出しても大丈夫、という感覚だとは思う。
電力会社じゃあるまいし、コストがあがったから製品の値段を簡単にあげられるようなお気楽な企業なんかそうそう世の中には無いのだ。

だからなんとか販売価格を維持しようとするわけで、結果だけみれば日銀としては思ったほど値上げが起きない。
そしてさらなる円安で値上げ“圧力”をかけ続けることになる。
最悪である。

大手でとりわけ円安で儲かっているところのお偉いさんは「給与をあげるよ」とは言っているが、その目標数値すらプラス反転にすら程遠い数字だ。
しかもインフレに必要なベースアップとも言っていないのだ。
国家全体の数字を押し上げるに足りうる道理が全くない。

そんな状況で“トリクルダウン”なんか期待できるのだろうか。
本来のインフレならともかく、このやり方では、私には絵に描いた餅にすら思えないのである。

例えば食品関連では批判されながらも一袋の量を減らしたり分かりづらいように涙ぐましい努力をしている。
そんなのばれるのは当然なのだから批判されるのは本当に可哀相だと私は思う。
その一方で「プレミアム」商品を展開したりしている。多分そっちで頑張って利益を確保しようとしているのだろう。
インフレからは程遠いとしか思えない。

 

マスコミはなぜまともに報道しないのか

マスコミの報道もおかしい。
値上げ値上げと騒いでいるが、金融緩和による物価上昇の誘引はアベノミクス第一の矢の効果であり、日銀総裁、ひいては安倍政権に期待されている結果であると国民全部が正しく認識すべき事である。
「アベノミクスを是とするなら現在進行している値上げラッシュはごく当然のことである」ときちんと説明しないとダメであり、「値上げを理由に消費を控えてはいけない」としないといけない。

マスコミももちろんだが政府もきちんと説明しないとダメだろう。
さもないときちんとインフレにならない。
そのことが最悪のシナリオである。

怖い今の原油安

原油安自体は円安で苦しむ事態を緩和してくれている。
だから誰も問題視をしていない。

問題のひとつは今の原油安は異常事態である、ということである。
例えばロシアはこの価格では経済悪化を招くと言っているし、米国のシェール産業に影響を与えるとも言われるし、中東では空気が険悪になっているようだ。
お互いに「誰かが誰かを苦しめるためにやっている」という陰謀説が流れるような状態であり、どれが本当かはともかく、まともな状態では無いことは確かなようだ。

この原油安によって物価上昇率が鈍るのは当然の理である。
もちろん普通ならば良いこと以外は無い。
しかし、問題なのは今は物価上昇を強制的に引き起こす行動を日銀がやっているということなのである。
この原油安を見て(これを含めて)さらに円安を進行させようとするのが怖い。

現実には円安を進行させた直後はまだ問題は無いから余計始末が悪い。
しかし今の原油安は“実力通りでは無い”ので、近いどこかで反転して高くなるのが道理である。
その時にとんでもない原油高として直撃することになる。
理論的にはごく普通に起きえる想定であるが、なぜか誰も言わない。

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