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2014/03/09

東北防潮堤事業は疑問だらけ

東北太平洋側に連なる一大防潮堤計画が明らかになってきている。
復興予算から8000億円を越える予算がつぎ込まれることもあり、ニュースになっている。

10mは妥当なのか

まず10mという高さについて
今回の様な千年に一度の大地震と大津波に対しては無力な地域が多いという。
ニュースでなぜかやたらと引っ張り出されている県知事が言っていたが、そもそもそういう巨大津波ではなく50年に一度程度の津波を想定しているのだという。
確かにネット上にある公的資料でも50年に一度程度の大津波があり、地域により10mを越える領域もあるぐらい、のようだ。

防潮堤の寿命

防潮堤はどうもコンクリで建造されるようだ。
盛り土では10mは難しいから妥当かもしれない。
しかしコンクリの建造物は大概が60年程度がせいぜいであり、防潮堤も同じくらいのようだ。
普通の建造物でもきちんとメンテして100年が精一杯だろうか。
当然防潮堤は雨風はもちろん潮風が当たり続けるので劣化は早いと考えられる。

50年に一度の防災のために60年の寿命の建造物というのはアンバランスとは思わないのだろうか。
しかも国家事業クラスの巨額が投資されるのだ。

壁?盛り土?

景観を損ねるという反論に対して、内陸の方を盛り土をするという回答がされている。
とても不思議なのは10m近くまでの盛り土をするだけの土をどこからもってくるのか。
周囲を山で囲む集落ならまだしも、かなり内陸まで平地が続くような土地でどうやってそんな盛り土ができるのか。

海岸近くに壁なり小山を作ったら“谷”となったところに豪雨台風などで降水が集中して水没しないか。
堤防を作ると言うことは内陸からみれば今までは水が流れ出る方に壁を作ってその流水を止めてしまうということである。
また元からある川はどうするのか。暗渠にするのか。
どちらにしろ大規模な自然環境破壊となる。
それなのに“環境アセスメント”の声が聞こえてこないのは不自然に感じる。
川をいじると言うことは、その下流の海に影響を及ぼす。
盛り土を取るために山を削ることによる海への影響は無視できない。
小規模漁業、つまり比較的近海で漁業をしているケースのおおい地域で問題がないと言えるのだろうか。

事業として大丈夫なのか

報道を聞いているとハテナマークがたくさんついてしまう。
想像力(脳内シミュレーション)不足にも程がある。
話を聞いて頭の中で景観を描いているとあちこちに破綻を感じてしまう。

本当に大丈夫なのだろうか。
副作用への検証であるとか計画の予算自体がずさんではないのか。

ただでさえ復興住宅建造が遅れに遅れている。
その理由のひとつは資材の高騰である。
直接には入札不調だが、入札不調の理由のひとつは資材の高騰である。
もうひとつは建設をする現場の人もいないし技術の人もいない。

現在の所8000億円台といっているが、本当にそれだけで済むのだろうか。
やってみたら一兆超えちゃいました、とかなるのではないか。
入札不調は、色々な意見があるが役所の想定額の1.7倍とかじゃないと無理、とかいう報道もあった。
そんな状況で2割以上余分にかかって一兆超えても不思議でもない。

そびえ立つ壁になってしまうと景観を損ねると言うことで、内陸部に盛り土をするというがそのお金は入っているのか。
住宅や建造物を考えればそんなのは固め作業も含めてとんでもないお金が掛かる。
だからこそどこも防潮堤以前に盛り土をしてから家を建てるとかいっても進まないし、高台移転前の高台の整地すら進まないのだ。
こんなのはどこまでいってもお金の問題なのだ。

次の世代で大丈夫なのか

もう一つ問題なのは、今回特別復興予算枠でこの事業は行われる。
つまり千年に一度の大災害だからこそ、これだけのお金が国から出るのだ。
この防潮堤の寿命は60年程度できてしまう。
当然だが、60年後の立て直しの時に同じ規模のお金が国から出る理由はないのだ。
自助努力とか言ってもただでさえ貧乏な東北各県が立て直しのための積み立てができるわけもない。
メンテナンスの費用すら捻出できるか疑問視されているのだから。
きちんとメンテナンスをしないと、こういうコンクリ建造物の寿命は縮むというのは常識である。
その点でも不安がある。

防潮堤の側に海岸(砂浜)を残すと言うが、それを聞いて不安が想像できてしまう。
防潮堤というコンクリの壁がボロボロになって危険だが、それを修繕する金もない。
暫定的に落下物危険のフェンスでも作って立ち入り禁止にする、なんて滑稽なことは起きないで欲しい。
お金のない過疎の地域ではそういう対策が取られることをよく見るからすごく心配なのだ。

コンクリというのは施工業者によってばらつきが大きいのはある意味常識とも言える。
下手をすると30年、いや10年程度からやばくなってくる場合もある。
定期メンテで早めに対策を打てるかどうかも重要である。

そしてコンクリ建造物の厄介なところは壊すのにも莫大なお金が掛かるということがある。
負の遺産になりかねない懸念もあるのだ。
金のない東北だからこそすごく心配なのだ。

国民への説明もなし

以上、主だったところを適当に書き連ねたが、疑問山積である。
調べれば調べるほど心配になってくる。

例えばほとんど0m海抜の漁村で10mの防潮堤を作ったとしよう。
景観を考えて9mの盛り土をしたとしよう。
では船までどうやっていくのだろうか。1m登って10m降りるスロープを作って海岸線まで行くのだろうか。
普通に考えてとんでもなく鬱陶しい。

マスコミの報道のやりかたなのかわからないが、地元と行政の温度差を報じている。
県知事や国会議員は「一部の人」と言っており、報道の仕方に疑問を感じているような言い方もしている。
そこはどちらが本当かは分からない。

どちらにせよ、もう国の事業としてまとめに入っている段階のようだ。
まったく不可思議な事業である。
国民の金をつぎ込むのだから国民への説明義務もあるはずなのにそこは無視である。

もう一つの疑問は「なんでそんなに急ぐのか」である。
これは国としての復興予算計画の問題と言うことらしい。
報道で国会議員が言ってることがよく分からなかったのだが、要は5年経つとお金は出せないからさっさとやれという意味らしい。
が、そんなのは役所か国会かで勝手に決めたことではないのか。
意味が分からない。

まあ、私なんぞが思ったことは全部杞憂なら良いのだが。

どうせ福島から青森まで防潮堤を繋げるのなら、直通のシーサイドラインでも作ってしまえば良いのに、とか思ったりする。
全ての地域で海抜10mは譲らない、のだから高低差も無しで信号もなしになる。
途中の山とか削って道を作る場所も出てくるので大変ではあるが。
そうすれば海沿いの交通の動脈ができるわけで一石二鳥である。
もちろん上下で1車線づつで60km/h制限の普通の道幅で十分である。
今の道の大動脈である国道4号や高速道路はかなり内陸の方なので海岸方面への利便は低いのだ。

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