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2014/01/13

4kテレビに対する私の見解(1)

リンク: 家電・薄型テレビ市場の2014年を占う(1) 期待の「4Kテレビ」平均単価を押し上げに寄与、課題はコンテンツ GfKジャパン・山形雄策さんに聞く : J-CASTニュース.

4kテレビについては色々言われているが、興味深いのは「4kテレビは立体感を感じる」という意見がちらほら見られることである。 4kテレビ“否定派”の中には「これ以上高解像度になって意味があるの?」というものがあるのだが、その意味というのを立体感という観点で考えてみたいと思う。

メガネ方式3Dはやはりダメだった

メガネ式3Dは案の定冷めた。
メガネ自体が問題では無いとは思う。
メガネをかける自体が嫌いな人もいるだろうが、多くの人は一日中メガネをかけて生活をしているのが現実である。
ファッションのために伊達メガネをかけている人さえいる。
しかし液晶シャッター方式のメガネは重く、ダサく、顔に合わないメガネが受け入れられないのは当然だ。
偏光式だって大差ない。
それに画面も暗くなるし色々と不快だ。

メガネ不要のものも出たが選定にあげられないほど値差が大きくバリエーションが無い。

私は「カキワリ感」と呼んでいるのだが本当の意味で立体的にする目的の一つである臨場感がなく、書き割りで作った平面の絵が何枚かあってそれらの前後関係がある、という認識が強いのである。

そもそも人間は何で立体感を感じるのか。

ひとつは先に述べたメガネ方式でやっている「視差」と呼ばれる仕組みである。
人間は二つの眼を持っており、その二つの“映像”に差がある。
その差から立体感、遠近感を脳内で作り出し感じるのである。

当然要素はこれだけではない。
ひとつは単純に大きさの大小で遠近感を感じる。
ある物体が大きさ自体が変わるわけがないと認識すれば、それが小さくなっていくと遠くに動いていると感じる。
逆に距離感を失わせれば大小関係を錯覚する。“トリックアート”の常套手段の一つである。
距離感は例えば普通なら生じる影を感じる部分もあるので非日常な照明を当てて狂わすのである。

ひとつは“フォーカス(焦点)”“ぼけ具合”の違いである。
人間の眼はカメラでいう自動フォーカスシステムを持っていて、近くと認識しているものにフォーカスを合わせれば遠くのものはボケて見える。
ボケている遠くのものを見ようとすればそこに焦点が合って近くのものがボケる、というのを人間は期待するのだが、テレビ画面ではそれはできないのそもそもテレビ画面で立体映像を見ると疲れる、という議論にもなる。

それはさておき近くのものと遠くのものでボケ具合が異なることで立体感を得るのだ。
例えば片目を塞いでも完全には立体感覚、遠近感を失うわけではない。
ちょっと慣れれば普通に机の上の箸も取れるし食事もできる。

写真で立体感(臨場感)があるのは、近く(対象物)と遠くのもの(背景)とでボケ具合の違いを絶妙に出せるということも要素のひとつであろう。
ケイタイのカメラや入門クラスのコンパクトに物足りなさを感じて一眼とかに手を出す理由の一つがこの手法を使えるからと考えられる。
用語的には被写体深度というのだが単純にレンズ性能の話になるので“本格的なカメラ”が要求されるのだ。

テレビというか映像の話になるが、フォーカス感を出すというのは実は難しい。
そこまで要求すれば、たかが200万画素のフルHDでももの足りないというのが現実だ。
普通の写真で200万画素と言ったらどの程度かは想像すれば分かることである。

本来のハイビジョンはどうだったのか

ハイビジョンの黎明期(1990年代前半)には“ベースバンドハイビジョン再生機”というのが存在し○○ショーとか展示会とかにはお目見えしていた。
ベースバンドというのは圧縮をせずにハイビジョンそのものである。
写真で言えばRAWであり音声で言えば非圧縮WAVとかに相当する。
その代償としてレーザーディスク一枚に数十分とかしか記録できなかったようだ。

その映像を見た人は“ハイビジョンって凄い”と誰もが思ったはずだ。
実に美しく精彩で、立体的(リアリティ)すら感じる場面もあった。
これが映像の未来なのかと感動すら覚えたのである。
(ちなみに当時はアナログ放送であり記録もぼけぼけのビデオテープである。VHSかβかなどと言っていた時代で今なら見るに堪えない3倍モードすら普通に使われていたのである)

しかしながらどう見ても一般民生品にするのは不可能である。
ベースバンドはいくら特注品同様とはいえ、なにせ再生だけで一台数千万もする機械だ。
放送するにも圧縮は必須で、MUSE方式という圧縮方式で放送やらプレイヤーがでてからは皆が落胆した。(とは言っても当時の技術で言えば最高峰であり精一杯ではあった)
静止画はともかく動画になるとガタンと解像度が落ちる。
激しい動画ではない。ゆっくりとパンニングしただけである。
かくしてこのハイビジョンは現在では“アナログハイビジョン”と括られているが、BS衛星による試験放送のみで一旦はお蔵入りしたのである。

そしてデジタルハイビジョン時代

時代は移り技術面でデジタル時代になってからは様々な技術革新があって価格面や画質面でもなんとか目処が立ち今に至る。
もっとも様々な妥協があった。一つは地デジで14Mbps程度という低いビットレートである。
BSでも17bps程度であり、配布メディアのBDでも50Mbps程度である。
ハイビジョンを圧縮するにはどう見ても足りない。
しかもMPEG2という今から見れば旧方式であり、どう考えてもブロックノイズが起きるし動画ボケも起きる。
液晶で動画ボケ云々を言う人も多かったが、ブラウン管のアナログ放送と比べれば液晶自体のもあるが圧縮による動画ボケも存在していたことは否めない。
そうなるともはやフォーカス感を再現する云々以前の問題である。

ブロックノイズというのは簡単に言えば局所的に画素が大きくなって解像度が落ちることである。
もう少し厳密に言えば例えば2×2の4画素の部分のどこもが同じものを表示してしまう。
その現象は空間周波数の高いところ、映像の平面的な変化点であり、要するに物体の縁(輪郭部分)に起きてしまうのである。
フォーカス感はまさにその物体の縁(輪郭)がはっきりしているかぼやっとしているかで認識するのだから肝心カナメのところが破綻していることになる。

もう一つは動いているものもブロックノイズが発生しやすくなる。
見る人は正にそこに注目しており、大概は近いものであり、カメラ的にもフォーカスが合っているはずであり、はっきり見えることを期待している。
しかしながら動くことでブロックノイズが発生してしまうことで少なくともはっきりとは見えなくなってしまう。
これも動きボケというものの一因であり、立体感以前の問題になってしまっている。

つまりはハイビジョンの解像度すら保てていないのが現実なのだ。

実は4kが本来のハイビジョン画質

では4kではどうなるのか。

仮に同様にブロックノイズが発生して2x2の4画素で同じものを表示したとしてもハイビジョン画質程度を維持できるということになる理屈である。
つまりは4k放送(コンテンツ)で最悪でもハイビジョン画質を保てれば結果として立体感を感じられることになるのだ。
最初に言ったように本来のハイビジョン画質があれば立体感を感じる場面がでてくる。
4kを見て立体感を感じた、という人がいるという状況と、本来のハイビジョン(ベースバンド)を見た当時の状況が重なるのも道理である。

さらに良いこととしてはビットレートそのものが上がる。
当面は地デジではなくCS放送のみになるのもそのせいである。
情報量は多くなるだから解像度が上がるのは当然の理である。
さらに圧縮方式もMPEG4をベースとしたものになり、従来のMPEG2方式と比較して感覚的・実質的に2倍以上はビットレートが上がったように感じられるであろう。

皮肉ではあるが、4k時代になってやっと本当のハイビジョン画質を一般に体験できるようになった、ということであるというのが私の捉え方である。

4kと非メガネ(視差)方式3Dの両立

ここまでの話とちょっと路線がずれるが、興味深い話も出てきている。
非メガネ式では左右用の映像のために横か縦に2倍の解像度の映像が必要となる。
それ故に高額であったしバリエーションも少なかった。
2倍の解像度が必要というのはまさに4kの話ではないか。
基本的には4kテレビであるが、FHDの立体モードにもなるパネルを作ればいいじゃないか、という発想である。
実は東芝が出したのは2倍ではなく視野角を取るためにもっと何倍もの解像度があったのだが、原理的、簡易的には2倍でも構わないという考え方もできる。
3D/2Dを切り替える技術というのは例えば任天堂3DS等で実用化はされている。(これは2Dの時に解像度を二倍にしているわけではないが)
視野角を制御するのは例えば携帯電話ののぞき見防止機能として電気的に切り替えられるということで実用化されている。
もっと単純に考えて、視野角で問題があれば偏光メガネ方式にするという考えもある。
偏光メガネはパネルの方を二倍解像度にするので生産面からくるコスト的に厳しかったのだがそもそも解像度が二倍なのだからコストアップは少なくなる。

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コメント

4k映像は、片目で見た方が立体感がある。
両目で見ると視差がなくなり、単なる絵となる。

投稿: 片目 | 2016/06/18 11:53

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