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2011/07/07

原子力擁護論の稚拙さ

リンク: 原子力論考(6) 「原子力以外のエネルギーなら人間が制御できる」と思いますか? - 読解力図解力と教える技術の謎解きブログ.

原子力擁護というのはこんなレベルなのだろうか。
結構ましな方ではあるが。

問いかけに対する答えは「イエス」だ。
記事になにか裏付けが書いているかと思いきや何にも無し。
話にもならない。
まあ、書いていることに自体に対する反論は後で書くことにして問いかけに対する話。

まず原子力以外の発電所で今回の福島もしくは東海村などで起きた騒ぎレベルの問題が起きたかどうか。

私には全く記憶が無いし記事もみつからない。
とりあえずは擁護論を言っているこの記事にも書いていないぐらいだから無いと考えて妥当だろう。
つまり(発電所レベルの)エネルギー制御ならば原子力以外は人間が制御できている、ということ、つまり「イエス」だ。
単純に原子力は発電所以外での活躍は殆ど無い(要するに社会的に存在が薄い)が故に大事故が起きていないだけの話ではないのか。

色々書いているのはその範疇を遙かに超えている論が含まれているしまったく的外れの論も入っており精査していくとなにも裏付けとして成立していない。
筆者はノーといいたげだがその論拠が何も無いという残念な記事になっているわけだ。

いうまでもなく石油は発電所の燃料としてももちろんだが化学工業製品(ビニル・プラスチックはその花形だ)としての重要度・社会への浸透度はいうまでもない。

ガソリン・灯油もそうだ。
灯油ストーブは寒さ厳しい北方では相変わらずの需要で代替えが無い。(あるとすれば石炭・薪・木炭になるだろうか)
ガソリンは地方の主要交通手段の中核を担うし、運送流通でも欠かすことはできない。

火力発電と言うよりはこれらの重要度が極めて高い。
脱ガソリンで自動車が進んでいるが、それよりも脱ビニル、脱プラスチックのほうが深刻なのになぜかあまり議論されない。
リサイクルの代表格とされるペットボトルでさえリサイクルされるのはたった10%という。つまり9割は新規に石油から作られているのだ。
ぶっちゃけ火力発電はこれらの絞りかすを燃やしておりオマケみたいな物。
仮に火力発電所を全廃してもなおリスクを背負って大量に輸入して貯蔵は続けなくてはいけない。
それを火力発電は原油事故があるから危険とか、論理のすり替えというか馬鹿馬鹿しすぎる。

LNGの事故は1944年の事故を出しているがもう65年も前の話を出してくるとは。
たった一度の教訓で対策がとられ今まで無事故というほど安全といえる。
1944年といえば米国は第2次世界大戦、日本とも交戦のまっただ中。
戦中というのはたいがいが安全の箍が外れてしまうものだ。
その中での事故で論ずるとは苦しすぎる。
それにLNGも都市ガスや化学工業製品としての原料として石油ほどではないにしろ必要な物なのだ。
仮に火力発電を全廃してもなおLNGは必要なのも同じ事だ。

危険化学物質にいたっては「エネルギーの話じゃ無かったの?そこまでネタ切れ?」と突っ込みたくなるような展開。
それでも反論すると、そもそも様々な“危険”な化学物質というのはどれも代えがたいからこそ危険を承知で扱っているのだ。
誰だって可能ならば危険な物質なんか扱いたくない。
それを承知でメリットが上回るからこそ扱っているのだ。

原子力に戻ればリスクを上回るオンリーワンのメリットが果たしてあるのだろうか。
放射性治療という医療の分野があるが余りに規模が小さすぎる。
原子力で作られた電気と火力等で作られた電気はなんら違いが無い。
別に原子力で作る必然は全くないのだ。
コスト面の有意さでも極めて怪しいと指摘されている。

もうひとつ擁護論があったのであげておく
リンク: 原発を擁護する : アゴラ - ライブドアブログ.

燃料中東依存の危うさをいうが既に述べたように発電所の次元だけではなく、化学工業製品レベルで欠かすことができないほうがはるかに社会的に重い。
電気は節約できてもこれらを節約する方がはるかにきつい。
レジ袋NO運動などカスほどにも役に立たない。
スーパー等で個別にビニールで丁寧に梱包された野菜ばかり買っていながらレジ袋程度で削減もないものだ。
せいぜい昔の八百屋みたいによくて新聞紙にくるむかそのまま買い物かごにいれて変えるような形態に戻るほうが重要だ。

社会に対する影響度でいえば仮に火力をなくしても中東依存はたいして変わらないのだ。

なるほど、安全保障の意味ではメリットはあるのは確かだ。
“ウラ”理由としてよく言われてきたことだ。
原子力爆弾なぞいつでも作ろうと思えば作れますよ、という国力の誇示だ。
まあ、そんなことを正面切って言えば猛反発をくらうのは必至だ。
この観点で世論を味方につけることになるわけだが擁護・推進論者には是非頑張ってみて欲しいものだ。

非核三原則などという荒唐無稽な政策をぶちあげるほどの国だ。
広島長崎の原爆の禍根はまだ消えていない。

まあ近代においては原爆は長距離ミサイル技術とセットで無いとあまり意味が無いという点も無視できないと思うのだが。
劣化ウラン弾とか日本は使える場面がないわけだし。

日本だけ原発をやめても意味が無いというのも語るに落ちている。

世界規模でみればそれこそ日本が原子力に傾倒して二酸化炭素排出を減らすことなど全く意味がない。
原子力の大きなメリットといわれるものを自ら否定してしまっている。
日本が仮に全排出量を半減させても世界中でみれば2%しか減らないのだ。なお、半減というのは絶対に不可能(世界中のどこの国でもだ)な意味として言っているので勘違い無きよう。
排出の大多数は米中であり、彼らがたった自国中の数%消費量をあげれば日本の必死の努力など軽く吹き飛んでしまうほどなのだ。

原子力発電所を作ることより壊すことの方が難しい、という論には賛同する。
だからこれ以上は作っては駄目なのだ。

止められるところから順に止めていく。
燃やしきったところから止めていき、新たに燃料を投入することはしない。
それで良いと思う。
性急に全部止めようという今の流れは私も賛同はしない。
理由も記事と同意見だ。
炉を“止めた”からと言って安全度がさほど上がるわけでも無いという原子力発電の本質的な欠点があるからだ。
今はクルマで言えばアイドリング状態。走行時と大差は無い。
やるなら再開を無期限延期にするのではなく“停止”を勧告しなくてはダメだろう。

だから私は、原子力の新規建設はもう止める、他の方法を性急に模索した方が良いんじゃないか、という立場だ。
今すぐに他の方法が見つかるわけが無いし代替えレベルまで成長するにも時間がかかるので、その間は原子力を使い続けなくては損だ、というのも現実論だ。
ただし燃料が燃え尽きるまで、もしくは炉が老朽化するまでには見つけなければならないという期限もついてきてちょうど良い。(期限がないと人間動けないものだ)

性急に、というのは国の金の流れとして、というのが具体的な意味だ。
原子力関連の予算は他の方法への新規開発に突っ込んでいく。
そうすれば原子力シンパも他の方法へ流れていくかもしれないという副次効果もある(笑)

さて、最後にせっかく記事で書いてくれているので引用しておくと

原発を止めて、核燃料廃棄物を適切に処理し、廃炉にすることは極めて難しく、その技術もまだ確立されているとはいえない。

実は原発はこんなひどい状況で実用化され運用され続けているのだ。
福島の報道でご存じだと思うが、原発が実用化されてからもう40年も経過した。
要は見切り発車をしたといえる。
それなのに未だに解決する技術(手段)が無いのだ。
ひどい話だと思わないだろうか。

そんなひどい物質・建造物などこの世に類を見ない。
どんな危険な化学物質でも処理方法は確立されており廃棄できない物は皆無だ。(コスト問題で不当廃棄され問題が起きることはあるが別問題だ)

どんなに金をかけても適切に廃棄できないものを発電で生み出しておきながら、発電コストが安いというのは根本的に間違っている。
単にコストを先送りしてごまかしているだけではなかろうか。

原子力が劣等生な発電方法だと私が思っている大きな理由の一つはこのことだ。

ガラスに封入して地下深くに埋めるという非常に原始的な手法しか無い。
40年経っても解決されなかったものが、少なくとも私の生きている間に解決されるとは到底思えない。
もっというと見通しさえ立っていないという。

世界中のどんな偉い人でも、いつこの技術が確立されるか予測すらできないのだ。
高度成長期でもあった40年前ならいざ知らず、いまは環境問題、つまり廃棄まで考慮してものを作る時代だ。
廃棄、つまり適切な処理をできないものを生み出すのは社会的に悪だ。
それが現代社会の大原則では無いのだろうか。

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