「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んでみた
なんかドラッカーというのが流行りモノでこの本もなんか人気らしいので読んでみた。
結構面白かった。
半年で12刷なのだから売れているほうだろう。
厚いし疲れたら放り投げようと思っていたのだが存外に最後まで読むことが出来た。
文章のテクニック的にはなんか素人くさい。なんか説明的なのだ。
特に台詞が少なく、かつあまり上手ではなく人物を書き分けられていない。
文学作品としてはいまひとつというところだろう。
しかし設定や伏線、話の展開などは上手なのでそれが最後まで読めた要因だろう。
著者のプロフィールをみると、なるほど放送作家さんとしての経歴が長いようだ。
ドラッカーの経営(マネジメント)理論を、高校野球にあてはめようという若干無茶な試みも成功していると思う。
適用が無茶だからこそ、より深いところで考えないといけない。
文字面どおりに捉えることは出来ず、ドラッカーが、そもそも「マネジメント」でなにをいわんとしているのかを考えないといけない。
つまり背景・思想のレベルで考えをめぐらせることになる。
無理やりに引用するのではなく、話の展開にあわせて(作中人物の理解度もあわせて)少しずつ文を引用し、当てはめさせていく。
いわゆるハウツーものではない。
ひとつの文に対してそれがどのような意味なのか、高校野球の運営のなかでどう適用できるのか、それをメインにして話をめぐらさせていく。
その辺がなかなか面白くて考えさせられる。
著者の方のドラッカーへの理解度が発揮されている。
ドラッカーのマネジメントには、ある意味、哲学的な部分(問いかけ)が含まれているようだ。
ある意味で理想論を掲げてもいるようだ。
色々な捉え方が出来るし考えさせられる余地を含んでいる。
この本では「マネジメント」を齧ってみたというレベルなのだろう。
要は入門書ですらないのだと思う。
ドラッカー「マネジメント」が必要ならそれをきちんと読むべきだと思う。
「マネジメント」を読んでなんかよくわからない、なんか腑に落ちない人が読む本のような気がする。
「マネジメント」をまだ読んでいない私がいうのはおかしいとは思うけれども。
まあ、細かい話は抜きとしてとりあえず読み物としても結構面白いので興味のある向きは読んでみても良いのではと思う。
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