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2009/08/22

食料自給率

これもいろんな議論があって興味深い話なのだが、そもそもこの数字について報道されていたのでメモしておく。
率、というのは扱いが難しい。
市場占有率、いわゆる市場シェアでも台数ベースか売り上げベースかというので違ってくる。

食料自給率には「カロリーベース」と「金額ベース」という考え方があるらしい。
日本では「カロリーベース」で語られる。少なくとも農水省がこれを使って発表している。
一方、先進諸国(とりあえず食料自給率で比較される諸国)は金額ベースで公式発表がされているらしい。

農水省の言う49%とかいうのはカロリーベースの話で、比較している国はカロリーベースではなく金額ベースで発表されているのにわざわざカロリーベースで計算をして比較しているらしい。
ちなみに金額ベースで日本のを計算すると70%程度になるらしい。(それでも先進諸国よりは低いほうではあるが、極端にとはならず、イギリスよりは高くなる)

どちらを“自給率”という捉え方をするべきなのは議論の分かれるところであろうか。

この2つの違いは政策の違いにも現れてくる。
数値目標はその数字で表現されるのであるから当然、その数字をあげるために色々な政策がたてられ遂行されていくわけだから。

さて、カロリーベース、という言葉を聞いてどう思うだろうか。
私には時代錯誤にしか思えない。
戦後・高度成長期、つまり食糧難の時代なら「なんでもいいから食えるものが欲しいカロリーを取りたい」だからカロリーはすなわち食べ物だったろう。
今はいうまでもなく、カロリーオフとか0とか半分とかそういうことがむしろ価値になる時代である。
カロリー表示がされるようになり、高いカロリーの料理が避けられる時代である。
油っぽいものや炭水化物ではなくヘルシーに野菜をもっと食べないととかいわれる時代である。
しかしローカロリーな野菜はカロリーベースの食料自給率にはほとんど寄与できない。

自給率50%以下という数字。
実際にスーパーで買い物をしている人には凄く違和感があるのではないだろうか。

まず野菜。国産品どころか県別で表示がされるぐらいで生鮮野菜は海外産を探すほうが難しい。
最近は以前輸入食料品店でしかみられなかった野菜類も国内生産されるようになったりしている。
果物は比較的輸入品もあるが、これも国内生産化されたものもある。
キーウィフルーツやマンゴーなどは代表的なものといえる。
これらは生産農家の努力の賜物なのだが、野菜はローカロリー食品の代表でもあり、カロリーベースではいくら自給率を上げようとしても全体に対して寄与してくれない。

魚は微妙だ。冷凍技術の発達や遠海ものや海外養殖の輸入ものも多い。
国産ものも頑張って欲しいが一般庶民の口に入るものは輸入になりやすい面もある。
嗜好の多様化もあるし「採れるもの」が多数あるから安定供給のためにはどうしても輸入品も必要ではある。

肉はどうか。国産肉を売りにしているケースは多い。
ところが肉のカロリーベースの自給率は低い。
そのからくりは、飼料を海外産に頼っているとその肉は海外品として自給率計算してしまう。
飼料のカロリーを肉に転換しているから、仮に飼料を絶たれたら自給できなくなるから、という理由あたりだとは思うがちょっと違和感がある。
これは牛乳でも同様で、国産100%であるにもかかわらず、自給率計算では著しく低い数字になってしまう。
当然ながら乳製品加工品も同じことになる。

つまりカロリーベースで自給率を上げるには飼料の国産化が急務という理屈になる(それの是非は別の話)。

そこで米の飼料転化が行われている、ような話が報道されていた。
これもか、なのだが補助金ジャブ付けであるようだ。
米にはなんとも簡単に補助金がつくものだとあきれてしまった。
おかげで飼料用のとうもろこしを作っている農家に打撃を与えているというなんともあきれる話になっていた。
これは一部局面をあらわしているだけかもしれないが、難しい問題であるようだ。

カロリーベースでいえば米と小麦粉を避けては通れないだろう。
米はまあ農業の重点施策だから良いとして(本当はいろいろあるが)、小麦粉が全く駄目だ。
いうまでもなく小麦は海外品が圧倒的に強く、日本品はプレミアム商品だ。何割、ではなく何倍もの値段がする。
先の不況で先物取引が大きく動き、世界小麦価格が高騰したが、それでも日本製はまだ高いというレベルになる始末であった。
米は保護・補助金ジャブ付け、の一方で小麦へは無策という状態しか伝わってこない。

カロリーベースの自給率をあげるのなら小麦の国産化、飼料用のとうもろこし等の国産化は避けて通れないはずである。
小麦は多種多様な麺類、また菓子やパン類など用途が多く消費量は多い。
米が十分なら次は小麦の自給率を上げるのが先決ではないのか。
つまりは小麦を国内で海外に対抗できる価格で生産するという政策になると思うのだがそんな話は報道にも一切なかった。

報道のほうもなにかつっこむところが非科学的・非論理的で困ったものだったが、断片的なところはみせてもらったし興味深い話題も多かった。

とりあえずは農水省が「自給率アップ!」といくら国民に叫んでもらってもわれわれ一般消費者がなにもできないに等しいことがわかった。
タレントを呼んでキャンペーンを打つというのは茶番なのだ。
1%あがったとかそんなことを一喜一憂してもナンセンスにしか思えない。
もしかしたら消費者の意識向上でも1,2%ぐらいはあげられるのかもしれないが、逆に言えばいくら頑張ってもその程度が限界としか思えない。
例えば個人で小麦を直接購入する量などたかがしれており加工品がほとんどだからその産地など指定できない。
ではなんのためにキャンペーンをしているか。
農水省が自給率向上のために何百億と予算確保していると事実。
この予算を国民に理解してもらうため、と考えたほうが良さそうだ。

ただ、確かに地産地消は大事である。
これは自給率云々ではなく、流通面での問題である。
流通コストもそうだしその燃料だって馬鹿にならない。
そのコストを転化するために野菜の品質に影響を与えている可能性だってある。
生鮮野菜は特に産地で早めに収穫して発送、というより、地元の畑で完熟した取れたてを食べたほうが良い。

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