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2007/09/12

"壊れ上手”は解決策にならない

”壊れ上手”な家電品をつくれ

まぁ、ヨタ記事なら目くじらを立てるほどの話でもないが、「プロの視点」などとほざいているのできちんと突っ込みを入れておかないといけなさそうだ。

壊れ上手などという言葉を弄しているが実にアマチュアっぽい思考といわざるを得ない。

まず最初にいっておくと、今回のような事件は「万が一」どころか「億分の1」でもまだ確率が高いぐらいの偶発事故であるといえる。
ここが重要なポイント。
頻発したり傾向不良と呼ばれるような顕在要因によるものであれば対策を打つことは非常に重要かつ必要なことである。
が、今回の話はまったく異なる。

アマチュアレベルの思考であれば設計段階で仕込む、とかそういう発想はできる。
しかしながらそれを億分の1の確率でおこるようなことに対して「保証」しろとなると頭を抱えるしかない。
そんなことは不可能だからだ。

壊れる仕掛けを組み込む、と言葉では簡単であるが、単純にその壊れる仕掛けが壊れることだって十分に考えられる。
それが設計や生産の現実というものである。
そしてコストがそこにはかかる。

・机上の空論=コスト度外視ならできるけどね
例えば決して失敗してはならない、医療機器や軍事関係、航空機や宇宙機器などであれば何重にもフェールシステムを組み込み、そのために十分な相応なコストをかけることは可能であり、対策を打つことが可能である。
そうでなくても家電に近い業務用の機器では同様に相応のコストをかけて対策をとることができる。(業務(プロ)用の機器は民生機器と比べて性能などは大差ないのに高価なのだが、これがその要因の一つなのである)

・日本で騒いでも無意味
この記事の一番の問題は日本の機器だけやれば済むような言い方をしていることにある。
実際に過去に暖房機器のうち韓国や中国からの輸入品で問題を起こしているのではないか。
普通に輸入された機器で問題をひきおこしており、しかも製造会社や輸入業者がとんずらしている例もあったのである。
日本の機器は過剰な対策を盛り込みコスト高になる。一方でそんなものを無視している国の製品が輸入され安価で販売される。
そんな状態になって何の意味があるのかまったく私には理解できない。

繰り返すが、このような問題は億分の1より低い確率で起こるような話なのである。
輸入機器だってちゃんと法律を守らせれば良いなどという安直なレベルの話ではないのである。
実際に日本の安全基準をきちんととらずになかば摘発の目をかいくぐって販売される事例さえあるのだ。実際問題として即座に事故に直結するわけでもないから当局も真剣には摘発しないだろう。
いや別に当局を責めるつもりはない。例えばごく地方の市のどこかで数百台だけ輸入して一ヶ月程度で売り切られでもしたらそんなのは追いきれるものではない。
しかし現実にはそういう機器でも発火事故は起き得るし、むしろ危ないといえる。
このような事例をどうすべきか、その議論のほうが重要ではないのだろうか。

つまり本気で論議したいのであれば全世界規模で考えるべきことだと思う。
グローバルな時代なんだし。

・・・・・実際に議論をはじめようとした段階で鼻で笑われると思いますけれどもね、こんなこと。

・家電製品は100%安全なのか
現実に家電製品なんてそんなレベルのものなのだからそもそも「家電製品は安全だ」なんて幻想を持つほうがそもそも危険でなかろうか。
実際にそんな幻想を持っているのは日本人程度ではないのかと思うのだが。
100V(欧州や中国は200Vを越えるが)を通している以上、使い方を間違えれば発火しても不思議ではない。
そもそもどんなものにも100%安全などというものはない。
もちろん安全策をとる必要はない、などという論議はない。
安全対策とそれにかかる費用対効果はかならず吟味して考察すべき事項である。
それは家電製品に限った話ではなく、すべてのモノにいえることであろう。

・トラッキング火災を覚えていますか。
ちょっと話が変わるがコンセントにほこりがたまって発火するトラッキングと呼ばれる火災事故がひとたび問題になったが、さて、この対策としてブレーカー等の給電装置に対策をとるべきだ、という論議は果たして起きたのだろうか。
ハイテクが進んだのだから発火する前に未然に大元で切れるようにすべきではないのか、と同じ観点に立つのならそういう結論も必要だと思うのだけれどもね。
結局は単純に「ちゃんとお掃除しましょうね」ではなかったか。

・ICタグは有用か?
ICタグやトレーサビリティに関しても同じである。こんなものをきちんと処理する、という前提にもってきているほうがおかしい。
しかもこのICタグ・トレーサビリティが今回のような件の安全性の確保の対策においてなんの役に立つのかまったく論じていない。
私には海外輸出や不正廃棄・投棄による環境破壊にもなんら役に立つとは考えられない。
ICタグとはよくいったもので、所詮はタグ、つまり「商品につけられた伝票」に過ぎないのであって、その伝票を利用しようという意思、書き込もうという意思がなければ何の役にも立たない。
自動的に情報が蓄積されるような魔法の仕掛けではないのである。
結局は「正直者が馬鹿をみる」だけである。

・使用期間の表示
使用期間の表示という考えには大きく賛成する。
メーカーが保証するのはここまでだ、というだけであって、持ち主が大事に使う、気をつけて使う分には別に使ってもらって構わないわけである。
食べ物などでも賞味期限が記載されている。
別に食べちゃいけないわけでもないが味や安全性の保証がされないだけのことである。
例えば万一発火しても周囲に燃え移らないような場所に置くとか、人がいないときにはつけっぱなしにしないとか、そんなもんである。
「使用期限が恣意的」とかいっているが、あまりに短い数値を書けば購入時に避けられるし、逆に長ければ保証のリスクが大きくなる。かならずどこかにバランス点が存在するのであろう。
常識的には10年あたりになるのだろう。修理部品の保持期間が7,8年に設定されていることや、通常の製品は10年程度で壊れるのなら妥当という通念があるのではと思うからだ。
例えば15年は平均的には持つようにつくり、保証は10年にもっていく。こういう姿勢が最も楽であるといえる。
自動車の車検も昔は10年が一つの目処でそれ以降は1年毎の車検となって厳しくなって通常は買い換えの目安とされた。

・メーカーと消費者の負担
そんな制度はメーカーにとっては望ましいだけで消費者の負担と切っているが、その責任回避が妥当であるかを評価しないで消費者負担を盾にする言い方は極めて一方的であるといわざるを得ない。
そもそも消費者にとっては負担自体はさほど変わらない。
一方、メーカーにとってはとんでもない負担となる。
社告、例えば新聞内広告は数千万円単位である。松下ははがきを全家庭に出したがそれだけで1億円を優に超えただろう。
表向きにははっきりいわないがそれはまわりまわって商品の価格に反映されざるをえない。
もちろんえらく遠回りでの話であるが、利益があればもっと価格を早期に下げられる可能性があったかもしれないし、より付加価値がついた商品となったのかもしれない。

・それこそ小手先の発想
まさに壊れ上手やICタグなどは小手先の発想に過ぎず、ごくわずかな効果しか現れないとしか思えない。
効果がないとはいわない。
しかしそんなことは指摘されるまでもなく、とっくに現状でも壊れ上手の発想で設計はされているわけだ。(ただしそれを評価するとされるのはそのこと自体が本質的に極めて困難であるのが問題なのである)
そもそも安全に関する検証、例えば壊れても発火を未然に防ぐなどの処置は経験の積み重ねによって行われている。
発火事故を起こした30年前とはそもそもレベルがまったく異なる。
品質管理の考えもずいぶんと進んでいる。

・ハイテクな仕掛けで事故を防げない
記事による「ハイテク」の代表はマイコンやロジックICなどを指しているのではないかと推察する。しかしこれは鼻で笑うレベルである。
ハイテクな仕掛けにおいてはなんらかのセンサーも必要になるわけだがセンサーが壊れて正常状態を維持したとの仮定も当然ありえる。つまり、異常検出できずに正常であると誤判定することも当然ながらある。
よってマイコンが電流を止めるとかいうのはナンセンスどころの話ではなく、前提条件にすらならない。
さらにいえば安全保証の検証レベルではそもそもそのマイコンさえも偶然が重なって最も悪い状態を周辺の機器に指示したまま壊れて状態が固定した、という前提でのテストを行っている。
つまりはマイコンなどまったく信用ならないというのが大前提になるわけだ。
では実際にはどうしているかといえば、電流を切るという点では部品をわざと焼損させて切ったりもっと積極的にはヒューズを使用したり復元を期待するのならバイメタルなどメカニカルに近い仕掛けで切断するようにするわけだ。
一方の発想としては電流を止めれなかったと仮定して、電流がながれっぱなしになって加熱が続いても発火しないというものにするわけである。
そもそも素材を難燃性にして部品が発熱して発火に至ったとしても筐体(外側)で押さえ込んでしまうということである。

つまりハイテクを駆使して安全に、などという論自体が素人論であるといわざるを得ない。
むしろ安全事故というのはローテクで防ぐことが肝要であって実は最も確実である。
ハイテクというのは事態をむしろ複雑化して予期しないことを引き起こす。
単純こそ、ものごとを根本的に解決する手段であるというのは現場の人間なら誰でも経験から学んでいることなのである。

結局このレベルでは「とりやすいところから税金を取ろう」という発想と大差がない。
わかりやすく叩きやすいところをたたいているだけの話である。
ICタグを持ち出すに至っては「あんたICタグの利権者?」と疑いたくなってしまう。
問題の本質はもっと別のところにあるのに、総量で見てもっと効果があげられる・あげるべき・対策すべきところがあるのに、そこを故意か思慮不足か知らないが看過してしまっているわけだ。

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